アリョーシャの追憶(3)2009-12-18

前回と同じ場面、聖像の前の母の様子が詳しく描かれる。

≪а пред образом на коленях, рыдающую как в истерике, со взвизгиваниями и вскрикиваниями, мать свою схвативщую его в обе руки, обнявшую его крепко до боли и моляшую за него богородицу, протягивающую его из объятий своих обеими руками к образу как бы под покров богородице...≫

<試訳> そして、聖像の前にひざまづき、金切り声で悲鳴をあげながらヒステリーのように泣きわめいている自分の母が、両の手に彼を抱え、痛いほどに彼を抱きしめているのを。
 そして、聖母の庇護を求めるかのように、聖像に向かって両手で抱擁していた彼を差し出して、彼のために聖母に懇願するのを覚えている・・・

 自分の死を悟り、ひざまづいて幼子の行く末を案じてマリアに一心に懇願する母の姿が、アリョーシャの追憶という形を借りて、まるで高みから静かな慈愛の眼差しで見るように表現されています。
 深い愛情が錯乱の激しさに重なって痛ましいほどです。母子の根源的な結びつきが伝わってきます。