額を床につけるカテリーナ2010-04-05

証券を渡されたあとのカテリーナの様子が語られる

≪Она вся вздрогнула, Посмотрела пристально секунду, страшно побледнела, ну как скатерть, и вдруг, тоже ни слова не говоря, не с порывом, а мягко так, глубоко, тихо, склонилась вся и прямо мне в ноги - лбом до земл, не по-институтски, по-русски!≫

<試訳>彼女は身震いして一瞬じっと目を凝らし、そう、まるでテーブルクロスのようにひどく蒼白になったよ。そして突然、やはり一言もしゃべらずに、激してというわけじゃなく、むしろ実におだやかに心をこめ、静かに身を屈してすぐ僕の足もとで床に額をつけるじゃないか、女学生風にじゃなくてロシア流にだぜ。

ドミートリィは揺れ動く自分自身の気持ちと闘いながらも5千ルーブリの証券をカテリーナに渡し、戸を開けて恭しく彼女を送り出そうとします。それに続く場面なのですが、「身震い・・・蒼白・・」が屈辱感からなのか、カテリーナの心の動きは正直なところよくわかりません。この瞬間、彼は望み通り彼女より優位に立つのですが・・・。眼前で見ているかのように思わせる描写です。