剣に口づけするドミートリィ2010-04-06

カテリーナが去った後のドミートリーィの興奮した様子

≪Когда она выбежала, я был при шпаге; я вынул шпагу и хотел-было тут же заколоть себя, для чего - не знаю, глупость была бы страшная, конечно, но должно быть от восторга. Понимаешь ли ты, что от иного восторга можно убить себя; но я не закололся, а только поцеловал шпагу и вложил её опять в ножны, ≫

<試訳>彼女が走り出た時、僕は剣を帯びていた。僕は剣を抜いた、そしてその場で自分を突き殺したかった。何故かはわからない、もちろん怖ろしく愚かかも知れないが、歓喜からに違いないんだ。分かるかい、歓喜によっては自殺できるんだぜ。でも僕は突き刺さなかったよ。ただ剣に口づけしただけで鞘に納めたのさ。

歓喜極まって自殺しようとする、何という激しい感情でしょう。「歓喜」と訳しましたが「狂喜、感激、有頂天」などの訳語がありどれが適切か迷います。彼はカテリーナの父の部下の陸軍士官なので軍刀を持っているわけですが、軍服を着ていたのかも知しれません。アリョーシャに語り聞かせているのに、読者がドラマチックなシーンに立ち会わせられます。