奇跡を信じる2010-04-20

ここに至ってドミートリィは神慮を期待する

≪- Чуду? - Чуду промысла божьего. Богу известно моё сердце, он видит всё моё отчаяние. Он всю эту картину видит. Неужели он попустит совершиться ужасу? Алёша, я чуду верю, иди!≫

<試訳>「奇跡をですって?」 「神の御心たる奇跡をだよ。神は僕の心をご存じで、僕の絶望をすっかりお見通しなんだ。この全光景を見ておられるんだ。悲惨なことが起こるのを神が放っておかれるはずがないよ。僕は奇跡を信じる、アリョーシャ、さあ行くんだ!」

追い詰められたドミートリィが神の奇跡に望みを託しています。アリョーシャのほうが驚いています。ここに神を持ち出すのは身勝手なような気がしますが、放蕩な彼の一つの側面でしょう。信仰の深さから見ると、アリョーシャは聖職者を目指した程、イワンは無神論者でありながら内心で葛藤、ドミートリィは一般的な信仰者という感じです。