頭よりも善き心がある2010-05-06

イワンと議論していたフョードルが急にアリョーシャに向く

≪Я Алёшу оскорбил. Ты не сердишься, Алексей? Милый Алексейчик ты мой, Алексейчик!
- Нет, не сержусь. Я ваши мысли знаю. Сердце у вас лучше головы.
- У меня-то сердце лучше головы? Господи, да ещё кто это говорит? Иван, любишь ты Алёшку?
- Люблю.
- Люби. (Фёдор Павлович сильно хмелел.≫

<試訳>「わしはアリョーシャを傷つけちまったな。怒らんでくれ、アリョーシャ。アレクセイチック、かわいいわしのアレクセイチック!」
「いいえ、怒ってませんよ。あなたのお考えは分かっています。あなたには頭よりも善き心があります」
「このわしに頭よりも善き心だと。何と、だれがこんなことを言ってくれるもんか。イワン、お前はアリョーシカを好きかね」
「好きですよ」
「愛してやるんだ」(フョードルはひどく酔っていた)

イワンと「神も悪魔もない」とやりとりしていた彼が、敬虔なアリョーシャを傷つけたのではと気付いて話しかけます。酔いのせいか急に穏やかな父親の呼びかけになり、アレクセイを、アリョーシャ、アリョーシカ、アレクセイチックなど愛称を変え親愛の情を表しています。「頭より善き心」は、父の考え方(無神論)はともかく、全うな心情を信じているアリョーシャの気持ちでしょうか。