好いてないのはわかっとる2010-05-08

イワンを非難する父がアリョーシャにたしなめられる

≪- Не сердитесь на брата! Перестаньте его обижать, - вдруг настойчво произнёс Алёша.
- Ну что ж, я пожалуй. Ух, голова болит. Убери коньяк, Иван, третий раз говорю. - задумался и вдруг длинно и хитро улыбнулся: - Не сердись, Иван, а старого мозгляа. Я знаю, что ты не любишь меня, только всё-таки не сердись.≫

<試訳>「兄さんに腹を立てないでください! 兄さんの気に障ることを言うのはやめてください」 突然、アリョーシャがしっかりと声を発した。
「そうか、まあよかろう。ああ、頭が痛いわい。コニャックを片付けてくれ、イワン、3度も言ってるな」 フョードルは考え込んでいたが、急にずるそうににやりとした。
「怒らんでくれ、イワン、老いたる役立たずをな。お前がわしを好いてないのはわかっとるが、とにかく怒らんでくれ」

イワンにからむ父に対してアリョーシャが強くたしなめます。「役立たず」と訳した語は「弱々しい男」の意味もあり迷いました。自分を「道化」と言うなど、卑下して気を惹くところのあるフョードルの言い方です。嫌われながら生き抜いてきた彼が身につけたものでしょう。