さあ、行きなさい、よるべなき子よ2010-08-06

パイーシィ神父がアリョーシャに語りかける

 ≪Запомни сие особенно, юный, ибо в мир назначаешься отходящим старцем твоим. Может, вспоминая сей день великий, не забудешь и слов моих, ради сердечно тебе напутствия данных, ибо млад еси, а соблазны в мире тяжёлые и не твоим силам вынести их. Ну теперь втупай, сирота.≫

<試訳>「このことを特に覚えておくのだよ、みまかろうとしているお前の好きな長老が俗界で働くよう定めたのだからな。きっとこの大いなる日を思い出す時は、お前への心からの励ましと送った私の言葉も忘れずにいることだよ。若いからな、俗世間の誘惑は苛酷でお前の力で耐えられんこともあるぞ。さあ、もう行きなさい、よるべなき子よ」

 僧院を出ようとしたアリョーシャにパイーシイ神父がキリスト教に関する確信に満ちた教えを語りはなむけとします。そして、長老の逝去の日を思い出すことで、その教えも忘れずにと見送ります。前途の試練に向かおうとしているアリョーシャにはどんなに心強く、感慨深かったことでしょう。