密かにわしを殺そうと2010-08-11

イワンの真意を憶測するフョードル

≪- Незарезать же меня тайкой и он приехал сюда? Для чего-нибудь да приехал же?
- Что вы! Чего вы это так говорите? - смутился ужасно Алёша.
- Денег он не прсит, правда, а всё же от меня ни шиша не получит. ≫

<試訳>「密かにわしを殺そうとここにやってきたんじゃないかね。いったいどんな魂胆でやってきたもんか」
「そんなこと!何ということをおっしゃるんですか」、アリョーシャはひどく当惑した。
「あいつが金をせびらんのは確かだ、まあしかし、わしから一銭だって取れっこないがな」

「父帰る」のテーマの物語はいくつかありますが、これはその逆です。フョードルは長く離れていた息子達が急に現れた真意を測りかねて猜疑心を膨らませ、しかも殺意をさえ感じてしまうのは自分自身にもやましさがあるからでしょう。ドミートリィだけでなくイワンまでを疑っていることを父から明かされてアリョーシャは驚きます。ミステリー小説として見れば、殺意を持つのはドミートリィだけではないという提示です。