罪と罰・試訳　一線を越えた人間の苦悩と愛が、時空を越えて今日もここに響く…

フョードルはイワンの魂胆を邪推する

≪- Зачем он не говорит со мной? А говорит, так ломается; подлец твой Иван! А на Грушке сейчас женюсь, только захочу. Потому что с деньгами стоит только захотеть-с, Алексей Фёдорович, всё и будет. Вот Иван-то этого самого и боися и строжит меня, чтоб я не женился, а для того наталкивает Митьку, чтобы, тот на Грушке женился:

＜試訳＞「どうしてイワンはわしと話そうとせんのだ。話すと思えば気どりやがって、卑劣な奴なんだよお前の兄のイワンは。わしはしようと思えば今だってグルーシカと結婚できるんだ。望みさえすりゃ金でもって何でもそうなるんだからな、アレクセイ・フョードロビッチ。そこんところをイワンの奴が一番心配してな、わしを見張っとるのさ、わしが結婚せんようにな。そのためにミーチカをグルーシカと結婚するように仕向けとるんだよ」

イワンがどうして嫌っている自分の所にやってきたのか、最初からフョードルは疑問を抱いています。あれこれ思い巡らして、グルーシェンカとカテリーナを巡るドミートリィとの関係にあるのではと、アリョーシャに説明するのです。イワンの真意はこれまでのところ明らかではありませんが、フョードルの説は邪推ではないでしょうか。