罪と罰・試訳　一線を越えた人間の苦悩と愛が、時空を越えて今日もここに響く…

フョードルはイワンが兄の許嫁を奪おうと策していると語る

≪таким образом хочет и меня от Грушки уберечь(будто бы я ему денег оставлю, если на Грушке не женюсь!), а с другой стороны, если Митька на Грушке женится, так Иван его невесту богатую себе возьмёт вот унего расчёт какой! Подлец твой Иван!≫

＜試訳＞「こうやって、このわしをグルーシカから避けたがっとるんだ、（わしがグルーシカと結婚しなけりゃ、まるでわしがあいつに金でも遺すみたいじゃないか！）、そして一方じゃ、もしミーチカがグルーシカと一緒になったら、イワンは裕福な許嫁を奪い取ろうってんだ、これが何とあいつの魂胆だぞ！卑劣な男だイワンは！」

イワンがドミートリィの許嫁であるカテリーナを好いていて、ドミートリィはグルーシェンカを父と争っている。それで父を何としてもグルーシェンカから遠ざけドミートリィと結婚させて、イワンはカテリーナを得る、と言うのがフョードルの邪推です。蓄財の才があり儲けのために策を弄してきたフョードルは、どの人間も打算で行動しているとしか見えないのでしょう。