時に意地悪くかと思うと怯えるよう2010-11-05

 ≪В речах его и в интонации довольно пронзительного голоса слышался какой-то юродливый юмор, то злой, то робеющий, не выдерживающий тона и срывающийся.≫

<試訳> 彼の話し方や、ひどくかん高い声の抑揚には何かしら変人じみた滑稽さがあり、時に意地悪く、かと思うと怯えるようであり、調子を保てずに急に乱してしまうのだった。

・ 実に詳細な説明が続きます。室内の様子から始まって、容貌、性格、声の調子、服装とまるで、何一つ見逃すまいとする犯罪調査の捜査官のような眼です。読み進んでいるうちにほとんどその場に立ち会っているような錯覚に陥ります。作者のていねいな記述で、この深くて長い作品も、少なくとも状況については読み違えずに済みます。
ここでは男の語調を通して、やはり虚勢と臆病さが表現されています。おどおどしながら調子外れに鋭い声をあげる男の様子は、現実に身の周りで出会う事はないのにリアリティを感じます。