窓が開いているのに気づいた2013-09-10

 ≪Это был человек аккуратнейший и точнейший, человек раз установившегося порядка и многолетних привычек. Хромая и корчась от боли, сошёл он с крылечка и направился к саду. Так и есть, калитка совсем настежь. Машинально ступил он в сад: может быть ему что померещилось, может, услыхал какой-нибудь звук, но глянув налево, увидал отворенное окно у барина, пустое уже окошко, никто уже из него не выгдядывал.≫

<試訳> グリゴーリィはこの上なく几帳面で生真面目な人間で、一度定めたやり方と永年の習慣を頑なに守る男だった。痛みに足を引きずり、身をよじりながら彼は表階段を出て庭へ向かった。やはりくぐり戸は開け放しだった。無意識に彼は庭の中へ踏み入ったが、もしかしたらぼんやりと何か見えたのかも知れないし、あるいは何らかの音を聞いたのかも知れないが、左を見て主人の部屋の窓が開いているのに気づいた。窓はもうがらんとしていて、もはや誰もそこから覗いてはいなかった。

・ 何かが起こっているという緊迫感がグリゴーリィの思考、動作、視線と共に伝わってきます。義務感からとは言えひどい腰痛に耐えながらですからはらはらします。

コメント

_ 慎之介 ― 2013-09-11 08:28

Rioさんとのやりとりから、翻訳本を興味本位に読んでいたものとして訳者の苦心の一端を知りました。いろいろ翻訳本を読みながら途中でやめたものもいくつもあります。読んでいて????こんな言葉あるのとか前文との関わりがあるのなどと思い止めてしまったのです。きっと、同じ本でも訳者によりかなり違ってくるのでしょう。古典と言われるものは、より困難な作業になるでしょうね。発見もあり、楽しいブログです。

_ mir→慎之介さん ― 2013-09-11 10:40

例えば “ 母 ” を意味する単語を訳すとして、母、母さん、お母さん、おっかさん、お袋、母ちゃん… のどれを選ぶかによって母のイメージも話し手の人柄もすっかり変わってしまいます。作者の真意にできるだけ近づこうと苦闘しながら日本語力の貧弱さをいつも思い知らされます。原作の素晴らしさを損ねたくないのですが・・・。

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