これ以上はいやだ ― 2015-06-11
≪- В таком случае ваша хозяйка могла бы по крайней мере припомнить, что у неё пропала эта вещь?
- Вовсе нет, она и не хватилась. Старая тряпка, говорю вам, старая тряпка, гроша не стоит.
- А иголку откуда взяли, нитки?
- Я прекращаю, больше не хочу. Довольно! - рассердился наконец Митя.
- И странно опять-таки, что вы так совсем уж забыли, в каком именно месте бросили на площади эту... ладонку.≫
＜試訳＞ 「そうであれば、おかみさんがその品物を失くした事を少なくとも思い出せますね？」
「ありえません、気づきもしなかったんですから。古いぼろ切れですよ、何の値打もない古いぼろ切れだと言ってるんです」
「では針はどこから手に入れましたか、糸は？」
「僕はもうやめます、これ以上はいやだ。うんざりです！」 とうとうミーチャは怒り出した。
「それにしても妙ですね、広場でその･･･ お守り袋を捨てたのが、どのような場所だったかを、それほどすっかりお忘れになるとは」
・ 当局はドミートリィの記憶の曖昧さをたたみかけるように突きます。それに対する彼の説明が心もとないのです。答えに窮して苛立たせる、これこそ容疑者を追い詰める手法なのでしょう。
- Вовсе нет, она и не хватилась. Старая тряпка, говорю вам, старая тряпка, гроша не стоит.
- А иголку откуда взяли, нитки?
- Я прекращаю, больше не хочу. Довольно! - рассердился наконец Митя.
- И странно опять-таки, что вы так совсем уж забыли, в каком именно месте бросили на площади эту... ладонку.≫
＜試訳＞ 「そうであれば、おかみさんがその品物を失くした事を少なくとも思い出せますね？」
「ありえません、気づきもしなかったんですから。古いぼろ切れですよ、何の値打もない古いぼろ切れだと言ってるんです」
「では針はどこから手に入れましたか、糸は？」
「僕はもうやめます、これ以上はいやだ。うんざりです！」 とうとうミーチャは怒り出した。
「それにしても妙ですね、広場でその･･･ お守り袋を捨てたのが、どのような場所だったかを、それほどすっかりお忘れになるとは」
・ 当局はドミートリィの記憶の曖昧さをたたみかけるように突きます。それに対する彼の説明が心もとないのです。答えに窮して苛立たせる、これこそ容疑者を追い詰める手法なのでしょう。
あなた方のせいじゃない ― 2015-06-12
≪- Да велите завтра площадь выместь, может найдёте, - усмехнулся Митя. - Довольно, господа, довольно, - измученным глосом порешил он. - Вижу ясно: вы мне не поверили! Ни в чём и ни на грош! Вина моя, а не ваша, не надо было соваться. Зачем, зачем я омерзил себя признанием в тайне моей! А вам это смех, я по глазам вашим вижу. Это вы меня, прокурор, довели! Пойте себе гимн, если можете... Будьте вы прокляты, истязатели!≫
＜試訳＞ 「それなら明日広場を掃除するよう命じるんですね、見つかるかもしれませんよ」 ミーチャは薄笑いした。「たくさんだ、皆さん、もううんざりですよ」 彼は疲れ切った声で言ってのけた。「あなた方が僕を信じちゃいなかったのが、はっきり分かります！ 何についても、これっぽっちも！ 僕のせいなんだ、あなた方のせいじゃない、出しゃばる必要なんてなかった。なぜ、なぜ僕は秘密を打ち明けて自分を汚したんだろう！ あなた方にはこれはお笑い草でしょう、目を見れば分かります。あなたが僕を陥れたんです、検事さん。何なら凱歌でもお歌いなさい･･･。呪われるがいいんだ、拷問者め！」
・ 矢継ぎ早の追及に耐えられずドミートリィは答える気力を失います。分かってもらえない無力感です。
＜試訳＞ 「それなら明日広場を掃除するよう命じるんですね、見つかるかもしれませんよ」 ミーチャは薄笑いした。「たくさんだ、皆さん、もううんざりですよ」 彼は疲れ切った声で言ってのけた。「あなた方が僕を信じちゃいなかったのが、はっきり分かります！ 何についても、これっぽっちも！ 僕のせいなんだ、あなた方のせいじゃない、出しゃばる必要なんてなかった。なぜ、なぜ僕は秘密を打ち明けて自分を汚したんだろう！ あなた方にはこれはお笑い草でしょう、目を見れば分かります。あなたが僕を陥れたんです、検事さん。何なら凱歌でもお歌いなさい･･･。呪われるがいいんだ、拷問者め！」
・ 矢継ぎ早の追及に耐えられずドミートリィは答える気力を失います。分かってもらえない無力感です。
取り返しのつかない絶望 ― 2015-06-13
≪Он склонился головой и закрыл лицо руками. Прокурор и следователь молчали. Чрез минуту он поднял голову и как-то без мысли поглядел на них. Лицо его выражало уже совершившееся, уже безвозвратное отчаяние, и он как-то тихо замолк, сидел и как будто себя не помнил. Между тем надо было окончивать дело: следовало неотложно перейти к допросу свидетелей. Было уже часов восемь утра. Свечи давно уже как потушили.≫
＜試訳＞ ドミートリィはうなだれて両手で顔を覆った。検事と予審判事は押し黙っていた。しばらくして彼は顔を上げ、何かぼんやりと彼らを眺めていた。顔はもはや取り返しのつかない絶望を表し、妙に静かに口を閉ざして、我を忘れているかのように座っていた。それにしても事を片付けなければならなかった。迅速に証人の尋問に移る必要があった。すでに朝の８時頃だった。もう大分前から蝋燭は消されていた。
・ どうやらドミートリィへの尋問は終わるようです。結局彼は決定的な反証もあげられないまま茫然自失の状態です。夜通しの取調べは双方の人権の侵害がはなはだしく、現代であればとても許されないでしょう。
＜試訳＞ ドミートリィはうなだれて両手で顔を覆った。検事と予審判事は押し黙っていた。しばらくして彼は顔を上げ、何かぼんやりと彼らを眺めていた。顔はもはや取り返しのつかない絶望を表し、妙に静かに口を閉ざして、我を忘れているかのように座っていた。それにしても事を片付けなければならなかった。迅速に証人の尋問に移る必要があった。すでに朝の８時頃だった。もう大分前から蝋燭は消されていた。
・ どうやらドミートリィへの尋問は終わるようです。結局彼は決定的な反証もあげられないまま茫然自失の状態です。夜通しの取調べは双方の人権の侵害がはなはだしく、現代であればとても許されないでしょう。
外を眺めてもいいですか ― 2015-06-14
≪Михаил Макаоросич и Калганов, всё время допроса входившие и уходившие из комнаты, на этот раз оба опять вышли. Прокурор и следователь имели тоже чрезвычайно усталый вид. Наставшее утро было ненастное, всё небо затянулось облаками и дождь лил как из ведра. Митя без мысли смотрел на окна.
- А можно мне в окно поглядеть? - спросил он вдруг Николая Парфеновича.
- О, сколько вам уголдно, - ответил тот.≫
＜試訳＞ 尋問の間、絶えず部屋を出たり入ったりしていたマカーロビッチとカルガーノフが、今回もまた一緒に出て行った。検事と予審判事もやはりひどく疲れた様子だった。訪れた朝は陰鬱で、空一面が雲に覆われ雨が降りしきっていた。ミーチャはぼんやりと窓を見やっていた。
「窓の外を眺めていいですか？」 ふと彼はニコライ予審判事に尋ねた。
「ええ、いくらでも」 相手が答えた。
・ 夜通しの尋問で、双方ともに急に疲れが出た感じが伝わってきます。ドミートリィが昨夜決意をした時に思い描いた夜明けの太陽は昇らず、どしゃ降りの朝です。
- А можно мне в окно поглядеть? - спросил он вдруг Николая Парфеновича.
- О, сколько вам уголдно, - ответил тот.≫
＜試訳＞ 尋問の間、絶えず部屋を出たり入ったりしていたマカーロビッチとカルガーノフが、今回もまた一緒に出て行った。検事と予審判事もやはりひどく疲れた様子だった。訪れた朝は陰鬱で、空一面が雲に覆われ雨が降りしきっていた。ミーチャはぼんやりと窓を見やっていた。
「窓の外を眺めていいですか？」 ふと彼はニコライ予審判事に尋ねた。
「ええ、いくらでも」 相手が答えた。
・ 夜通しの尋問で、双方ともに急に疲れが出た感じが伝わってきます。ドミートリィが昨夜決意をした時に思い描いた夜明けの太陽は昇らず、どしゃ降りの朝です。
こんな朝の方が良かったのかも ― 2015-06-15
≪Митя встал и подошёл к окну. Дождь так и сёк в маленькие зеленоватые стёкла окошек. Виднелась прямо под окном грязная дорога, а та дальше в дождливой мгле, чёрные, бедные, неприглядные ряды изб, ещё более, казалось, почерневших и победневших от дождя. Митя вспомнил про "Феба златокудрого" и как он хотел застрелиться с первым лучем его: "пожалуй, в такое утро было бы и лучше", усмехнулся он и вдруг, махнув сверху вниз рукой, повернулся к "истязателям":≫
＜試訳＞ ミーチャは立ち上がって窓に近寄った。雨が青みを帯びた小さな窓ガラスを激しく打ちつけていた。窓のすぐ下にはぬかるんだ道が、その先には、雨にけぶるもやの中に、雨でいっそう黒ずんで貧相に感じる、黒々とした哀れなみすぼらしい農家の家並が見えた。ミーチャは “ 金髪のアポロン ” と、その曙の光と共にピストル自殺しようと考えていたのを思い出した。“ こんな朝の方が良かったのかも知れないな ” ミーチャは薄笑いを浮かべ、急に手を上から振り下ろして “ 拷問者たち ” の方を振り向いた。
・窓外の情景がドミートリィの虚脱感と重なり合っています。事実の供述がことごとく相手に通じない空しさに力尽きた感じです。
＜試訳＞ ミーチャは立ち上がって窓に近寄った。雨が青みを帯びた小さな窓ガラスを激しく打ちつけていた。窓のすぐ下にはぬかるんだ道が、その先には、雨にけぶるもやの中に、雨でいっそう黒ずんで貧相に感じる、黒々とした哀れなみすぼらしい農家の家並が見えた。ミーチャは “ 金髪のアポロン ” と、その曙の光と共にピストル自殺しようと考えていたのを思い出した。“ こんな朝の方が良かったのかも知れないな ” ミーチャは薄笑いを浮かべ、急に手を上から振り下ろして “ 拷問者たち ” の方を振り向いた。
・窓外の情景がドミートリィの虚脱感と重なり合っています。事実の供述がことごとく相手に通じない空しさに力尽きた感じです。
彼女をどうなさるのか ― 2015-06-16
≪- Господа! - воскликнул он, - я ведь вижу, что я пропал. Но она? Скажите мне про неё, умоляю вас, неужели и она проподёт со мной? Ведь она невинна, ведь она вчера кричала не в уме, что "во всем виновата". Она ни в чём, ни в чём не виновата! Я всю ночь скорбел, с вами сидя ... Нельзя ли, не можете ли мне сказать: что вы с нею теперь сделаете?≫
＜試訳＞ 「皆さん！」 ミーチャは叫んだ。「僕は自分が破滅したのは分かっています。でも彼女は？ どうか教えて下さい、彼女も僕と一緒に破滅するんじゃないでしょうね？ 彼女は無実です、昨日は思わず “ みんな私のせいです ” と叫んでしまったんです。いっさい、何についても彼女に罪はありません！ あなた方と過ごしていて僕は夜通し悲しい思いでした･･･。これから彼女をどうなさるのか、教えていただけませんか、だめでしょうか？」
・ 自分の無実の訴えが通らない事を知ったドミートリィは、グルーシェンカが道連れになる事を懸念します。彼女を思う心情が哀切です。
＜試訳＞ 「皆さん！」 ミーチャは叫んだ。「僕は自分が破滅したのは分かっています。でも彼女は？ どうか教えて下さい、彼女も僕と一緒に破滅するんじゃないでしょうね？ 彼女は無実です、昨日は思わず “ みんな私のせいです ” と叫んでしまったんです。いっさい、何についても彼女に罪はありません！ あなた方と過ごしていて僕は夜通し悲しい思いでした･･･。これから彼女をどうなさるのか、教えていただけませんか、だめでしょうか？」
・ 自分の無実の訴えが通らない事を知ったドミートリィは、グルーシェンカが道連れになる事を懸念します。彼女を思う心情が哀切です。
ご心配なさる女性を ― 2015-06-17
≪- Решительно успокойтесь на этот счёт, Дмитрий Фёдорович, - тотчас же и видимою поспешностью ответил прокурор, - мы не имеем пока никаких значительных мотивов хоть в чём-нибудь обеспокоить особу, которою вы так интересуетесь. В дальнейшем ходе дела, надеюсь, окажется тоже... Напротив, сделаем в этом смысле всё, что только можно с нашей стороны. Будьте совершенно спокойны.≫
＜試訳＞ 「その事に関しては決してご心配なさらずに、ドミートリィさん」 即座に、見るからに急いだ様子で検事が答えた。「あなたがそれほどご心配なさる女性を、何事であれ、煩わせるような大きな理由はさしあたって、こちらには何らありません。事件のこの先の経過を通じてもおそらくそうでしょう･･･。反対に、この点に関しては当方としてできる限りの事はいたします。全くご安心のほどを」
・ グルーシェンカに影響が及ぶのではと気遣うドミートリィに対して検事がその懸念を否定します。当局としては、彼を攻め落とし有罪を確信して一件落着といった感じです。反証をあきらめて冤罪に屈した彼の心境が察せられます。
＜試訳＞ 「その事に関しては決してご心配なさらずに、ドミートリィさん」 即座に、見るからに急いだ様子で検事が答えた。「あなたがそれほどご心配なさる女性を、何事であれ、煩わせるような大きな理由はさしあたって、こちらには何らありません。事件のこの先の経過を通じてもおそらくそうでしょう･･･。反対に、この点に関しては当方としてできる限りの事はいたします。全くご安心のほどを」
・ グルーシェンカに影響が及ぶのではと気遣うドミートリィに対して検事がその懸念を否定します。当局としては、彼を攻め落とし有罪を確信して一件落着といった感じです。反証をあきらめて冤罪に屈した彼の心境が察せられます。
覚悟はできています ― 2015-06-18
≪- Господа, благодарю вас, я ведь так и знал, что вы всё-таки же честные и справедливые люди, несмотря ни на что. Вы сняли бремя с души... Ну, что же мы теперь будем делать? Я готов.
- Да вот-с, поспешить бы надо. Нужно неотложно перейти к допросу свидетелей. Всё это должно произойти непременно в вашем присутствии, а потому...
- А не выпить ли сперва чайку? - перебил Николай Парфенович, - ведь уж, кажется, заслужили!≫
＜試訳＞ 「皆さん、感謝します、何かとありましたけれど、とにかくあなた方が誠実で公平な方々だという事は分かっていました。あなた方は心の重荷を取り除いてくれた･･･。さて、これからどうするんですか？ 覚悟はできています」
「そうですね、急がなければなりません。緊急に証人尋問に移る必要があります。これは全てあなたの立会いのもとに行わなければならないのです、と申しますのは･･･」
「ですが、まずはお茶を飲みませんか？」 ニコライ予審判事が遮った。「そのぐらいは働きましたからね！」
・ グルーシェンカに咎めがないと知りドミートリィは安堵します。自分の事は抗弁するのを諦めきった様子です。
- Да вот-с, поспешить бы надо. Нужно неотложно перейти к допросу свидетелей. Всё это должно произойти непременно в вашем присутствии, а потому...
- А не выпить ли сперва чайку? - перебил Николай Парфенович, - ведь уж, кажется, заслужили!≫
＜試訳＞ 「皆さん、感謝します、何かとありましたけれど、とにかくあなた方が誠実で公平な方々だという事は分かっていました。あなた方は心の重荷を取り除いてくれた･･･。さて、これからどうするんですか？ 覚悟はできています」
「そうですね、急がなければなりません。緊急に証人尋問に移る必要があります。これは全てあなたの立会いのもとに行わなければならないのです、と申しますのは･･･」
「ですが、まずはお茶を飲みませんか？」 ニコライ予審判事が遮った。「そのぐらいは働きましたからね！」
・ グルーシェンカに咎めがないと知りドミートリィは安堵します。自分の事は抗弁するのを諦めきった様子です。
貪るように飲み干した ― 2015-06-19
≪Порешили, что если есть готовый чай внизу (в виду того, что Михаил Макарович наверно ушёл "почаевать"), то выпить по стаканчику и затем "продолжать и продолжать". Настоящий же чай и "закусочку" отложитьдо более свободного часа. Чай действительно нашёлся внизу, и его в скорости доставили на верх. Митя сначала отказался от стакана, который ему любезно предложил Николай Парфенович, но потом сам попросил и выпил с жадностью.≫
＜試訳＞ 階下に茶が支度されていたら （ミハイル署長はおそらく “ 茶を飲みに ” 出て行ったらしいので） 一杯飲んでから “ どんどん事を進める ” と決まった。正式の茶と “ 軽食 ” はもっとゆとりができてからに延ばされた。実際に茶は下で支度されていたので急いで上に届けられた。ミーチャはニコライ予審判事が親切にすすめてくれた茶を最初は断ったが、やがて自分から頼んで貪るように飲み干した。
・ ドミートリィの尋問を終えて一同一段落という雰囲気を感じます。一度断った茶を結局は飲み干すところに、当局に屈した彼の心情が象徴的に凝縮されているかのようです。
＜試訳＞ 階下に茶が支度されていたら （ミハイル署長はおそらく “ 茶を飲みに ” 出て行ったらしいので） 一杯飲んでから “ どんどん事を進める ” と決まった。正式の茶と “ 軽食 ” はもっとゆとりができてからに延ばされた。実際に茶は下で支度されていたので急いで上に届けられた。ミーチャはニコライ予審判事が親切にすすめてくれた茶を最初は断ったが、やがて自分から頼んで貪るように飲み干した。
・ ドミートリィの尋問を終えて一同一段落という雰囲気を感じます。一度断った茶を結局は飲み干すところに、当局に屈した彼の心情が象徴的に凝縮されているかのようです。
うわ言を言い出すかも ― 2015-06-20
≪Вообще же имел какой-то даже удивительно измуыченный вид. Казалось бы, при его богатырских силах, что могла значить одна ночь кутежа и хотя бы самых сильных при том ощущений? Но он сам чувствовал, что едва сидит, а по временнам так всё прдметы начинали как бы ходить и вертеться у него пред глазами. "Ещё немного и пожалуй бредить начну", подумал он про себя.≫
＜試訳＞ 全体に、なにかしら驚くほど疲れ切った顔つきだった。勇者のようなミーチャの体力からして、一晩くらいの宴は、たとえその際に極度の精神的打撃があったにしてもたいした事ではないはずと思われるが？ けれども、彼は自分がやっとの思いで座っていて、時折まるで目の前で全ての物が動き出し、回り始めるような気がしていた。“ もう少ししたらうわ言を言い出すかも知れないな ” と彼はひそかに思った。
・ これまでのドミートリィの行動を振り返ると、体力的にも精神的にも疲れ果てて当然です。とにかく今は十分な休息を与えてほしいものです。
＜試訳＞ 全体に、なにかしら驚くほど疲れ切った顔つきだった。勇者のようなミーチャの体力からして、一晩くらいの宴は、たとえその際に極度の精神的打撃があったにしてもたいした事ではないはずと思われるが？ けれども、彼は自分がやっとの思いで座っていて、時折まるで目の前で全ての物が動き出し、回り始めるような気がしていた。“ もう少ししたらうわ言を言い出すかも知れないな ” と彼はひそかに思った。
・ これまでのドミートリィの行動を振り返ると、体力的にも精神的にも疲れ果てて当然です。とにかく今は十分な休息を与えてほしいものです。
最近のコメント