新しい裁判の恩恵2016-08-01

 ≪Это как новые суды открыли, так сейчас и узнали про аффект. Это благодеяние новых судов. Доктор этот был и расспрашивает меня про тот вечер, ну про золотые прииски: каков дескать он тогда был? Как же не в аффекте: пришёл и кричит: денег, денег, три тысячи, давайте три тысячи, а потом пошёл и вдруг убил. Не хочу, говорит, не хочу убивать, и вдруг убил. Вот за это-то самое его и простят, что противилься, а убил.≫

<試訳> 「新しい裁判が開かれたので、今は心神喪失について鑑定される事になったのです。それは新しい裁判の恩恵ですよ。お医者はあの夜について、例の金鉱について、実際にドミートリィさんがあの時どのようだったか私に尋ねようとしましたわ。心神喪失に決まっていますのよ。だって、やって来るなり、金を、金を下さい、3千ルーブル、3千ルーブル下さいと叫ぶんですよ、その後で押し入って突然殺したんですもの。殺したくない、殺す気はないと言っていながら突然殺したんですからね。内心に抗いながらも殺したという、まさにこのところを理由にしてお兄さんは許されるんですわ」

・ 夫人がドミートリィの犯行を確信しているのは明らかです。その上で、心神喪失で罪を免れると言うのです。新しい裁判と言っていることから、それまでは心神喪失の概念が法廷で適用されなかった事をうかがわせます。

コメント

_ 慎之介 ― 2016-08-01 12:43

ブログから「心神喪失の概念」いろいろなことが学べます。日本の裁判では、いつごろから?自分で調べてみるのがいいですね。悪用される事の多いものです。

_ mir→慎之介さん ― 2016-08-02 14:32

刑法第39条の規定ですね。1907年(明治40)の刑法改正時にはもうあったようです。でもこれについては現在も論議があり専門的で複雑です。以前観た外国映画で、弁護士の献身的な努力で責任能力なしを理由に無罪になった被告が、ラストシーンで実は巧妙な演技をしていたと分かり衝撃的でした。凶悪な犯罪の実行時は普通の状態ではないのですから、この適用の可否の判定は難しいでしょうね。

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