文壇に乗り出そうとしている2016-10-02

 ≪- Подлец какой-нибудь, всего вероятнее, да и все подлецы. А Ракитин пролезет, Ракитин в щелку пролезет, тоже Бернар. Ух, Берналы! Много их расплодилось!
- Да что с тобою? - настойчиво спросил Алёша.
- Хочет он обо мне, об моём деле статью написать, и тем в литературе свою роль начать, с тем и ходит, сам объяснял.≫

<試訳> 「いい加減な卑劣漢だよ、きっとな、どいつもこいつも卑劣漢さ。ところがラキーチンはうまく立ち回って隙間に潜り込んでる、あいつもベルナールなんだ。ベルナールの一派だぜ! そんな連中がいっぱいはびこってるんだ!」
「兄さん、どうしたんです?」 しつこくアリョーシャーが尋ねた。
「あいつは僕の事や事件について評論を書いて、それでもって文壇に乗り出そうとしているのさ。だからしょっちゅう面会に来るんだ、自分でも言ってたよ」

・ ラキーチンが足しげくドミートリィに面会に来るのは、事件をネタに世に出るための情報収拾なのです。ドミートリィは、そんな下心が不愉快なのです。

コメント

_ YS ― 2016-10-02 13:49

卑劣漢、という語は小説内でミーチャがよく使っていて印象的な語ですが、ロシア語ではどういったニュアンスの語なのか、よろしければ少し解説を頂きたいです。

_ mir→YSさん ― 2016-10-03 09:10

ご指摘の通り、作品の中で何度も “подлец: パドレェーツ ” という語に出会います。“ 卑劣漢 、卑怯者 ” の意味ですが、面前の相手に ” ろくでなし、下司野郎 ” と罵るかなり強いニュアンスもあります。この場面ではラキーチンを軽蔑して使っていますが、イワンやドミートリィが自分自身の振舞いを良心に恥じるものとして責める場面で発するのが印象的です。宗教的なニュアンスはないようで、道義的な語感があります。また別の単語になりますが “ 侮辱する・嘲笑する・される” の語も大きな意味を持って人物を動かします。これらの感情は時代や国を問わずありますが、作者の道徳観や人間観を強く感じます。

_ YS ― 2016-10-03 18:48

よくわかりました。ありがとうございます。

_ mir→YSさん ― 2016-10-03 21:00

こちらこそコメントをいただくと考えを深める機会になり、感謝しています。今後もよろしくお願いします。
日本は「恥の文化」と言われますが、キリスト教の関係で「罪の文化圏」だとされるロシアにだって、このように宗教とは別に「卑劣ではありたくない」という強い意識の人はいて、それは変わりがないと思い知らされます。

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