罪と罰・試訳　一線を越えた人間の苦悩と愛が、時空を越えて今日もここに響く…

　≪Странно это, казалось, повидимому, что он действительно не знает какой теперь год.
- Может быть знаете однако, сколько у вас на руке пальцев?
- Я человек подневольный - вруг громко и раздельно проговорил Грикорий, - коли начальству угоддно надо мною насмехаться, так я снести должен.≫

＜試訳＞　グリゴーリイが本当に今年が何年なのか知らないらしいのが、どうも妙な感じだった。
「それでも、あなたの手の指が何本かは、多分知っていますよね？」
「私は奴隷のような人間です」 グリゴーリイが突然大声で、言葉を区切って話した。「もし当局が私をからかう必要があるのなら、耐え忍ばねばなりません」

・　弁護士の侮辱的な質問にグリゴーリイが憤然としたようです。手の指の数に関して思い起こすのは、彼の子供が手に奇形を持って生まれ、すぐに亡くなった事です。それまで平静だった彼が突然大声で答えたのは、その深い傷に触れられた悔しさのように思えてなりません。