おかみさんのナイトキャップ2019-03-10

 ≪- "Я не помню, может, не от рубашки, я в хозяйкин чепчик зашил". - "В какой такой чепчик?" - "Я у ней взял, у неё валялся, старая коленкоровая дрянь". - "И вы это твёрдо помните?" - "Нет, твёрдо не помню..." И сердится, сердится, а между тем представьте: как бы это не помнить? В самые страшные минуты человеческие, ну на казнь везут, вот именно эти-то мелочи и запоминаются. Он обо всем забудет, а какую-нибудь зеленую кровлю, мелькнувшую ему по дороге, или галку на кресте - вот это он запомнит.≫

<試訳> “ 覚えていない、もしかするとシャツじゃなく、おかみさんのナイトキャップで縫ったかも知れない ” と言い出します。“ ナイトキャップとは、どんなものです?” と聞くと、“ おかみさんのところから失敬しました、そこら辺に転がっていた古いキャラコのぼろ布ですよ ” と答え、“ ではそれは確かに覚えているのですね?” と問うと、“ いえ、はっきりと覚えているわけでは… ” という調子です。そして腹を立てて怒るのです。しかし考えてみて下さい、この事を覚えていないはずがあるでしょうか? 人間の最も恐ろしい瞬間、そう、刑場に曳かれて行く時などこそ、まさにこのような些細な事が記憶に留まるものです。全ての事を忘れているのに、なぜか途中でちらと見かけた緑色の屋根や、十字架にとまっていたカラスなどを頭に刻むものですよ。

・ 大雑把な気質のドミートリィは、お守り袋の布地に何を使ったか覚えていません。尋問への曖昧な答えがかえって、作り話だと印象づけられてしまいます。“ おかみさん ” は彼の下宿の女主人です。“ 刑場に曳かれていく… ” は、作者の実体験に関連しています。死刑執行の直前に減刑されたのですが、その時の心境は生涯忘れられない強烈なものだったでしょう。「白痴」 など他の作品の中に似た表現が見られます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
この小説が書かれた国の名をカタカナ3文字でご記入下さい。

コメント:

トラックバック