聖なる愚者なんだ ― 2025-03-01
≪С новым, странным, почти болезненным, чувством всматривался он в это бледное, худое и неправильное угловатое личико, в эти кроткие голубые глаза, могущие сверкать, таким огнём, таким суровым энергическим чувством, в это маленькое тело, ещё дрожавшее от негодования и гнева, и всё это казалось ему более и более странным, почти невозможным. "Юродивая! юродивая!" - твёрдил он про себя.≫
<試訳> あらためて不思議な、病的なほどの思いで、ラスコーリニコフは、この青白く、痩せて整わないとがった小さな顔を、また、これほど激しい炎や、峻厳で力強い感情が激しく輝く柔和な空色の目を、そして、なおも憤慨と怒りに震えているこの小さな身体に見入った。しかもこれら全てが彼にはますます不思議で、ほとんどあり得ないように思われた。“ 聖なる愚者! 聖なる愚者なんだ!” 彼は心の中で繰り返した。
・ ラスコーリニコフにはソーニャが柔和でありながら強い意志を持っている特別な存在に感じられます。そして彼女を、“ 聖なる愚者 ” だと決めつけます。ロシアでは愚者や精神障害者を神に近い存在とみなす伝統がありました。他の作品の中でもこのような人物が登場します。「白痴」の主人公、ムイシュキン公爵にもそれが感じられます。
<試訳> あらためて不思議な、病的なほどの思いで、ラスコーリニコフは、この青白く、痩せて整わないとがった小さな顔を、また、これほど激しい炎や、峻厳で力強い感情が激しく輝く柔和な空色の目を、そして、なおも憤慨と怒りに震えているこの小さな身体に見入った。しかもこれら全てが彼にはますます不思議で、ほとんどあり得ないように思われた。“ 聖なる愚者! 聖なる愚者なんだ!” 彼は心の中で繰り返した。
・ ラスコーリニコフにはソーニャが柔和でありながら強い意志を持っている特別な存在に感じられます。そして彼女を、“ 聖なる愚者 ” だと決めつけます。ロシアでは愚者や精神障害者を神に近い存在とみなす伝統がありました。他の作品の中でもこのような人物が登場します。「白痴」の主人公、ムイシュキン公爵にもそれが感じられます。
ロシア語訳の新約聖書 ― 2025-03-02
≪На комоде лежала какая-то кгнига. Он каждый раз, проходя взад и вперёд. замечал её; теперь же взял и посмотрел. Это был Новый завет в русском передоде. Книга быда старая, подержанная, в кожаном переплете.
- Это откуда? - крикнул он ей через комнату. Она стояла всё на том же месте, в трёх шагах от стола.≫
<試訳> 箪笥の上に何かの本が一冊のっていた。ラスコーリニコフは行きつ戻りつしながら、その度にその本を目に留めていたが、今度は手にとって見た。それはロシア語訳の新約聖書だった。古びて手ずれのした革表紙の本だった。
「これはどこで?」 彼は部屋の端からソーニャに大声で言った。彼女は相変わらず、机から三歩ほどの元のところに立っていた。
・ 彼は聖書が気になり、吸い寄せられるように手に取ります。この聖書は特別な意味を持っています。
- Это откуда? - крикнул он ей через комнату. Она стояла всё на том же месте, в трёх шагах от стола.≫
<試訳> 箪笥の上に何かの本が一冊のっていた。ラスコーリニコフは行きつ戻りつしながら、その度にその本を目に留めていたが、今度は手にとって見た。それはロシア語訳の新約聖書だった。古びて手ずれのした革表紙の本だった。
「これはどこで?」 彼は部屋の端からソーニャに大声で言った。彼女は相変わらず、机から三歩ほどの元のところに立っていた。
・ 彼は聖書が気になり、吸い寄せられるように手に取ります。この聖書は特別な意味を持っています。
誰が持って来たんです ― 2025-03-03
≪- Мне принесли, - ответила она, будто нехотя и не взглядывая на него.
- Кто принёс?
- Лизавета принесла, я просила.
"Лизавета! Странно!" - подумал он. Всё у Сони становилось для него как-то странее и чудеснее, с каждою минутой. Он перенёс книгу к свече и стал перелистывать.≫
<試訳> 「持ってきてくれたの」 ソーニャは気がすすまないように、ラスコーリニコフを見もせずに答えた。
「誰が持って来たんです?」
「リザベータですわ、私が頼んだんです」
“リザベータだと! 奇妙だ!” と彼は思った。ソーニャの全てが彼にとって刻一刻、ますます何か奇妙で不思議になったきた。彼は本を蝋燭の方へ持って行き、ページをめくり始めた。
・ ラスコーリニコフは、手にした聖書が、あのリザベータのものと知り、それがソーニャの手許にある事を奇妙に思います。まるで彼はこの聖書に引き寄せられてここに来たかのようです。“ 聖なる愚者 ” だと彼が感じるソーニャ、告解室のような部屋、聖書…、彼の心を揺らす雰囲気です。
- Лизавета принесла, я просила.
"Лизавета! Странно!" - подумал он. Всё у Сони становилось для него как-то странее и чудеснее, с каждою минутой. Он перенёс книгу к свече и стал перелистывать.≫
<試訳> 「持ってきてくれたの」 ソーニャは気がすすまないように、ラスコーリニコフを見もせずに答えた。
「誰が持って来たんです?」
「リザベータですわ、私が頼んだんです」
“リザベータだと! 奇妙だ!” と彼は思った。ソーニャの全てが彼にとって刻一刻、ますます何か奇妙で不思議になったきた。彼は本を蝋燭の方へ持って行き、ページをめくり始めた。
・ ラスコーリニコフは、手にした聖書が、あのリザベータのものと知り、それがソーニャの手許にある事を奇妙に思います。まるで彼はこの聖書に引き寄せられてここに来たかのようです。“ 聖なる愚者 ” だと彼が感じるソーニャ、告解室のような部屋、聖書…、彼の心を揺らす雰囲気です。
ラザロの復活はどこだろう ― 2025-03-04
≪- Где тут про Лазаря? - спросил он вдруг.
Соня упорно глядела в землю и не отвечала. Она стояла немного боком к столу.
- Про воскресение Лазаря где? Отыщи мне, Соня.
Она искоса глянула на него.
- Не там смотрите... в четвёртом евангелии... - сурово прошептала она, не подвигаясь к нему.≫
<試訳> 「ラザロについての箇所はどこかな?」 不意にラスコーリニコフが尋ねた。
ソーニャはじっと床を眺めて、答えなかった。彼女は机にいくらか横向きに立っていた。
「ラザロの復活はどこだろう? 探してくれないか、ソーニャ?」
彼女は横目で彼を見やった。
「そんなところじゃありませんわ… 第4福音書です…」 彼女は彼の方へ近寄ろうともせず、険しい口調で囁いた。
・ ラスコーリニコフも小さい頃からロシア正教の教えのもとに育てられたはずです。それは意識的にではないにしても身体に沁み込んでいるでしょう。キリストの奇跡、ラザロの復活の箇所を、不意に彼は探そうとします。
Соня упорно глядела в землю и не отвечала. Она стояла немного боком к столу.
- Про воскресение Лазаря где? Отыщи мне, Соня.
Она искоса глянула на него.
- Не там смотрите... в четвёртом евангелии... - сурово прошептала она, не подвигаясь к нему.≫
<試訳> 「ラザロについての箇所はどこかな?」 不意にラスコーリニコフが尋ねた。
ソーニャはじっと床を眺めて、答えなかった。彼女は机にいくらか横向きに立っていた。
「ラザロの復活はどこだろう? 探してくれないか、ソーニャ?」
彼女は横目で彼を見やった。
「そんなところじゃありませんわ… 第4福音書です…」 彼女は彼の方へ近寄ろうともせず、険しい口調で囁いた。
・ ラスコーリニコフも小さい頃からロシア正教の教えのもとに育てられたはずです。それは意識的にではないにしても身体に沁み込んでいるでしょう。キリストの奇跡、ラザロの復活の箇所を、不意に彼は探そうとします。
聖書を手に取った ― 2025-03-05
≪- Найди и прочти мне, - сказал он, сел, облокотился на стол, подпёр рукой голову и угрюмо уставился в сторону, приготовившись слушать.
"Недели через три на седьмую вёрсту, милости просим! Я, кажется, сам там буду, если ещё хуже не будет", - бормотал он про себя.
Соня нерешительно ступила к столу, недоверчиво выслушав странное желание Раскольникова. Впрочем, взяла книгу.≫
<試訳> 「見つけて僕に読んでくれ」 と彼は言って、腰をかけてテーブルに肘をついて片手で頭を支えて聞こうと身構え、陰鬱な目で脇を見据えた。
“ 3週間もしたら精神病院へどうぞだ! 僕は多分、そこに行くだろうな、もし、もっと悪い事にならなければだが ” 心の内で彼は呟いた。
ソーニャはラスコーリニコフの奇妙な望みを訝し気に聞くと、ためらいがちにテーブルに近付いた。それでも聖書を手に取った。
・ それまでソーニャの事情を心配していたラスコーリニコフが、自分自身に目を向けます。完全犯罪に綻びがあり、既に予審判事に疑われているのを感じて覚悟している彼ですが、その終幕はまだ予測できません。ソーニャに聖書のラザロの復活の箇所を読むように頼み、彼女に感じる不思議な力に救いを求めているかのようです。
"Недели через три на седьмую вёрсту, милости просим! Я, кажется, сам там буду, если ещё хуже не будет", - бормотал он про себя.
Соня нерешительно ступила к столу, недоверчиво выслушав странное желание Раскольникова. Впрочем, взяла книгу.≫
<試訳> 「見つけて僕に読んでくれ」 と彼は言って、腰をかけてテーブルに肘をついて片手で頭を支えて聞こうと身構え、陰鬱な目で脇を見据えた。
“ 3週間もしたら精神病院へどうぞだ! 僕は多分、そこに行くだろうな、もし、もっと悪い事にならなければだが ” 心の内で彼は呟いた。
ソーニャはラスコーリニコフの奇妙な望みを訝し気に聞くと、ためらいがちにテーブルに近付いた。それでも聖書を手に取った。
・ それまでソーニャの事情を心配していたラスコーリニコフが、自分自身に目を向けます。完全犯罪に綻びがあり、既に予審判事に疑われているのを感じて覚悟している彼ですが、その終幕はまだ予測できません。ソーニャに聖書のラザロの復活の箇所を読むように頼み、彼女に感じる不思議な力に救いを求めているかのようです。
教会で聞いた事はないのですか ― 2025-03-06
≪- Разве вы не читали? - спросила она, глянув на него через стол, исподлобья. Голос её становился всё суровее и суровее.
- Давно... Когда учился. Читай!
- А в церкви не слыхали?
- Я... не ходил. А ты часто ходишь?
- Н-нет, - прошептала Соня.
Раскольников усмехнулся.≫
<試訳> 「本当にあなたはお読みになった事がありませんの?」 テーブル越しにラスコーリニコフを上目づかいに見て、ソーニャは尋ねた。彼女の声はだんだん険しくなった。
「大分以前に… 学校にいた頃に。さあ読んでくれ!」
「教会で聞いた事はないのですか?」
「僕は… 行った事がないんだ。君はしょっちゅう行くのかい?」
「い、いえ」 ソーニャが囁いた。
ラスコーリニコフはにやりとした。
・ ソーニャに朗読を頼んだ部分を巡って二人がやりとりします。ラスコーリニコフの不信心が分かります。ソーニャは、自分の職業では、教会に足を踏みいれるのが憚られるのでしょう。行きたくても行けないのが本音だと思います。
- Давно... Когда учился. Читай!
- А в церкви не слыхали?
- Я... не ходил. А ты часто ходишь?
- Н-нет, - прошептала Соня.
Раскольников усмехнулся.≫
<試訳> 「本当にあなたはお読みになった事がありませんの?」 テーブル越しにラスコーリニコフを上目づかいに見て、ソーニャは尋ねた。彼女の声はだんだん険しくなった。
「大分以前に… 学校にいた頃に。さあ読んでくれ!」
「教会で聞いた事はないのですか?」
「僕は… 行った事がないんだ。君はしょっちゅう行くのかい?」
「い、いえ」 ソーニャが囁いた。
ラスコーリニコフはにやりとした。
・ ソーニャに朗読を頼んだ部分を巡って二人がやりとりします。ラスコーリニコフの不信心が分かります。ソーニャは、自分の職業では、教会に足を踏みいれるのが憚られるのでしょう。行きたくても行けないのが本音だと思います。
神経がますます苛立ってきた ― 2025-03-07
≪- Понимаю... И отца, стало быть, завтра не пойдёшь хоронить?
- Пойду. Я и на прошлой неделе была... понихиду служила.
- По ком?
- По Лизавете. Её топором убили.
Нервы его раздражались всё более и более. Голова начала кружиться.
- Ты с Лизаветой дружна была?≫
<試訳> 「分かるよ… じゃあ、明日のお父さんの埋葬にも行かないのかい?」
「行きます。先週も行きましたわ…追善供養に」
「誰の?」
「リザベータの。あの人、斧で殺されたんです」
ラスコーリニコフの神経がますます苛立ってきた。頭がくらくらし始めた。
「君はリザベータと仲が良かったのかい?」
・ リザベータの名前は彼の精神を棘のように刺すだろうと想像します。老婆の殺害に続いて、ソーニャの友の命を奪った人間が、カテリーナや子供達の行く末を語る “ 資格はありません ” .。
- Пойду. Я и на прошлой неделе была... понихиду служила.
- По ком?
- По Лизавете. Её топором убили.
Нервы его раздражались всё более и более. Голова начала кружиться.
- Ты с Лизаветой дружна была?≫
<試訳> 「分かるよ… じゃあ、明日のお父さんの埋葬にも行かないのかい?」
「行きます。先週も行きましたわ…追善供養に」
「誰の?」
「リザベータの。あの人、斧で殺されたんです」
ラスコーリニコフの神経がますます苛立ってきた。頭がくらくらし始めた。
「君はリザベータと仲が良かったのかい?」
・ リザベータの名前は彼の精神を棘のように刺すだろうと想像します。老婆の殺害に続いて、ソーニャの友の命を奪った人間が、カテリーナや子供達の行く末を語る “ 資格はありません ” .。
神を見んとする方 ― 2025-03-08
≪- Да... Она была справедливая... она приходила... редко... нельзя было. Мы с ней читали и... говорили. Она бога узрит.
Странно звучали для него эти книжные слова, и опять новость: какие-то таинственные сходки с Лизаветой, и обе - юродивые.
"Тут и сам станешь юродивым! Заразительно!" - подумал он. - Читай! - воскликнул он вдруг настойчиво и раздразительно!"≫
<試訳> 「ええ…。あの人は心の真実な方で… ここに来られました… たまにです… そうは来られなかったので。一緒に聖書を読んだり… お話しをしました。あの方は神を見んとする方です」
彼にとって、この文語的な言葉は異様に響いた。また、新たな事実として、リザベータとの秘密めいた会合、そして、二人とも聖なる愚者なのだと悟った。
“ これじゃあ自分まで聖愚者になりかねんぞ! 伝染性だ!” と彼は思った。「読んでくれ!」 彼は不意に苛立って執拗に叫んだ。
・ 文語的な言葉、“ 神を見んとする ” は、聖書に 「心の清き者は幸福なり、かれら神を見んとすればなり」 を指しているようです。彼は二人を聖なる愚者と断じます。そんな聖なる者に手をかけた、自身への苛立ちを感じます。
Странно звучали для него эти книжные слова, и опять новость: какие-то таинственные сходки с Лизаветой, и обе - юродивые.
"Тут и сам станешь юродивым! Заразительно!" - подумал он. - Читай! - воскликнул он вдруг настойчиво и раздразительно!"≫
<試訳> 「ええ…。あの人は心の真実な方で… ここに来られました… たまにです… そうは来られなかったので。一緒に聖書を読んだり… お話しをしました。あの方は神を見んとする方です」
彼にとって、この文語的な言葉は異様に響いた。また、新たな事実として、リザベータとの秘密めいた会合、そして、二人とも聖なる愚者なのだと悟った。
“ これじゃあ自分まで聖愚者になりかねんぞ! 伝染性だ!” と彼は思った。「読んでくれ!」 彼は不意に苛立って執拗に叫んだ。
・ 文語的な言葉、“ 神を見んとする ” は、聖書に 「心の清き者は幸福なり、かれら神を見んとすればなり」 を指しているようです。彼は二人を聖なる愚者と断じます。そんな聖なる者に手をかけた、自身への苛立ちを感じます。
あなたは信じていらっしゃらないのでしょう ― 2025-03-09
≪Соня всё колебалась. Сердце её стучало. Не смела как-то она ему читать. Почти с мучением смотрел он на "несчастную помешанную".
- Зачем вам? Ведь вы не веруете?.. - прошептала она тихо и как-то задыхаясь.
- Читай! Я так хочу! - настаивал он, - читала же Лизасете!≫
<試訳> ソーニャはまだためらっていた。心臓がドキドキしていた。なぜかラスコーリニコフに読んでやる勇気がなかった。彼は苦しいほどの思いで、“ 精神を病む不幸な女 ” を見つめていた。
「どうしてあなたに読むのです? だってあなたは信じていらっしゃらないのでしょう?」 彼女は妙に息を切らしながら小声で囁いた。
「読んでくれ! そうしてほしいんだよ!」 彼は言い張った。「リザベータには読んでやったじゃないか!」
・ 不信心のラスコーリニコフですが、 “ ラザロの復活 ” の場面を読んで欲しいと指定したのですから、内容を知っているはずです。リザベータの聖書のその部分をソーニャに読んでもらう事に、隠された意味を感じます。彼は彼女を精神を病んでいると思っていますが、むしろ悲しいほどまともで、むしろ彼の方が、これまでの精神状態や言行が普通ではありません。
- Зачем вам? Ведь вы не веруете?.. - прошептала она тихо и как-то задыхаясь.
- Читай! Я так хочу! - настаивал он, - читала же Лизасете!≫
<試訳> ソーニャはまだためらっていた。心臓がドキドキしていた。なぜかラスコーリニコフに読んでやる勇気がなかった。彼は苦しいほどの思いで、“ 精神を病む不幸な女 ” を見つめていた。
「どうしてあなたに読むのです? だってあなたは信じていらっしゃらないのでしょう?」 彼女は妙に息を切らしながら小声で囁いた。
「読んでくれ! そうしてほしいんだよ!」 彼は言い張った。「リザベータには読んでやったじゃないか!」
・ 不信心のラスコーリニコフですが、 “ ラザロの復活 ” の場面を読んで欲しいと指定したのですから、内容を知っているはずです。リザベータの聖書のその部分をソーニャに読んでもらう事に、隠された意味を感じます。彼は彼女を精神を病んでいると思っていますが、むしろ悲しいほどまともで、むしろ彼の方が、これまでの精神状態や言行が普通ではありません。
ここに病める者あり ― 2025-03-10
≪Соня развернула книгу и отыскала место. Руки её дрожали, голосу не хватало. Два раза начинала она, и всё не выговаривалсь первого слога.
"Был же болен некто Лазарь, из Вифании..." - произнесла она наконец, с усилием, но вдруг, с третьего слова, голос зазвенел и порвался, как слишком натянутая струна. Дух пересекло, и в груди стеснилось.≫
<試訳> ソーニャは本を開いて場所を探した。手が震え、声が出なかった。二度読みかけたが、やはり最初の音節が発音できなかった。
“ここに病める者あり、ラザロと言いて、ベタニア人なり…” とうとう彼女は懸命に読みだしたが、三語目あたりから声が上ずって、張り過ぎた弦のように突然とぎれた。息が詰まって胸が苦しくなったのだ。
・ ソーニャはまだよく知らない男性の前で、聖書の指定の箇所を読む辛さが窺えます。その部分の訳は聖書を参考にしました。
"Был же болен некто Лазарь, из Вифании..." - произнесла она наконец, с усилием, но вдруг, с третьего слова, голос зазвенел и порвался, как слишком натянутая струна. Дух пересекло, и в груди стеснилось.≫
<試訳> ソーニャは本を開いて場所を探した。手が震え、声が出なかった。二度読みかけたが、やはり最初の音節が発音できなかった。
“ここに病める者あり、ラザロと言いて、ベタニア人なり…” とうとう彼女は懸命に読みだしたが、三語目あたりから声が上ずって、張り過ぎた弦のように突然とぎれた。息が詰まって胸が苦しくなったのだ。
・ ソーニャはまだよく知らない男性の前で、聖書の指定の箇所を読む辛さが窺えます。その部分の訳は聖書を参考にしました。
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