悪魔の取り持ちで ― 2012-11-01
≪И такое меня чувство взяло под конец, что сама себе удивляюсь: чего я такого мальчика боюсь? Проглочу его всего и смеяться буду. Обозлась совсем. Веришь ли тому: никто-то здесь не смеет сказать и подумать, чтоб к Аграфене Александровне за худым этим делом прийти; старик один только тут у меня, связана я ему и продана, сатана нас венчал, зато из других - никто.≫
＜試訳＞ 「そしてしまいには “どうして私はこんな坊やを怖れるだろう ”って自分でもあきれるほどの気分になってね、ひと呑みにして笑い物にしようと思ったわ。すっかり腹を立てちゃったのよ。信じてくれるかしら、この町じゃアグラフェーナ・アレクサンドロブナの所に例の良からぬ下心で近づこうと言ったり考えたりしようとする人はもう誰もいなくなったわ。あのご老体一人がいるだけ、あの人とは悪魔の取り持ちで結びつけられて売られたんだけど、その代わり他には誰もいないの」
・ グルーシェンカはまるで懺悔でもするようにアリョーシャに自分の過去を包み隠さずに語り続けます。
＜試訳＞ 「そしてしまいには “どうして私はこんな坊やを怖れるだろう ”って自分でもあきれるほどの気分になってね、ひと呑みにして笑い物にしようと思ったわ。すっかり腹を立てちゃったのよ。信じてくれるかしら、この町じゃアグラフェーナ・アレクサンドロブナの所に例の良からぬ下心で近づこうと言ったり考えたりしようとする人はもう誰もいなくなったわ。あのご老体一人がいるだけ、あの人とは悪魔の取り持ちで結びつけられて売られたんだけど、その代わり他には誰もいないの」
・ グルーシェンカはまるで懺悔でもするようにアリョーシャに自分の過去を包み隠さずに語り続けます。
やせ細った愚かな小娘が ― 2012-11-02
≪Но на тебя глядя, положила: его проглочу. Проглочу и смеяться буду. Видишь, какая я злая собака, которую ты сестрой своею назвал! Вот теперь приехал этот обидчик мой, сижу теперь и жду вести. А знаешь, чем был мне этот обидчик? Пять лет тому как завёз меня сюда Кузьма, так я сижу, бывало, от людей хоронюсь, чтоб меня не видали и не слыхали, тоненькая, глупенькая, сижу да рыдаю, ночей напролёт не сплю - думаю: "И уж где ж он теперь, мой обидчик?≫
＜試訳＞ 「でも、あなたを見て、 呑み込んでしまおうって決めたの。ひと呑みにして笑ってやるわってね。私がどんな犬畜生かこれで分ったでしょう、そんな私をあなたは姉さんと呼んだのよ！ ところが今、私を見棄てたあの男がやって来てるというので、こうして知らせを待ってる有様なの。この恥知らずの男が私にとってどんな存在か分るかしら。五年前、サムソーノフがここに私を連れて来た時には、誰にも見られず聞かれもしないように人目を忍んで身を潜め、こうして座っていたものよ。やせ細った愚かな小娘がここに座って大泣きしてね、“ あの男は今一体どこにいるんだろう、私を見棄てた男は ” って幾晩も寝ずに考え続けたわ」
＜試訳＞ 「でも、あなたを見て、 呑み込んでしまおうって決めたの。ひと呑みにして笑ってやるわってね。私がどんな犬畜生かこれで分ったでしょう、そんな私をあなたは姉さんと呼んだのよ！ ところが今、私を見棄てたあの男がやって来てるというので、こうして知らせを待ってる有様なの。この恥知らずの男が私にとってどんな存在か分るかしら。五年前、サムソーノフがここに私を連れて来た時には、誰にも見られず聞かれもしないように人目を忍んで身を潜め、こうして座っていたものよ。やせ細った愚かな小娘がここに座って大泣きしてね、“ あの男は今一体どこにいるんだろう、私を見棄てた男は ” って幾晩も寝ずに考え続けたわ」
無力な涙を流しながら ― 2012-11-03
≪"Смеётся должно быть с другою надо мной, и уж я ж его, думаю, только бы увидеть его, встретить когда: то уж я ж ему отплачу, уж я ж ему отплачу!" Ночью в темноте рыдаю в подушку и всё это передумаю, сердце моё раздираю нарочно, злобой его утоляю: "Уж я ж ему, уж я ж ему отплачу!" Так бывало и закричу в темноте. Да как вспомню вдруг, что ничего-то я ему не сделаю, а он-то надо мной смеётся теперь, а может и совсем забыл и не помнит, так кинусь с постели на пол, зальюсь бессильною слёзой и трясусь-трясусь до рассвета.≫
＜試訳＞ 「 “ きっと他の女と一緒に私を笑いものにしているに違いない、いつかあの男を見つけ次第、必ず仕返しをしてやる、きっと恨みをはらしてやるわ！” と考えたの。夜、闇の中で枕に顔をうずめて泣きながらいつもこの事を繰り返し考え巡らしたわ。わざと心を痛めつけ憎しみで心を紛らわしてたのよ。 “ きっと、きっとあの男に仕返ししてやる！” って。暗闇でそう叫び出す事もよくあったわ。そのうち突然思うの、私はあの男に何にもできやしない、それなのに今ごろ私を嘲笑っている、もしかしたら私の事などすっかり忘れて覚えてやしないかも知れない、そう思うとベッドから床に身を投げ出して、明け方まで無力な涙を流しながら激しく泣いて身を震わせたものよ」
・ 五年前に十代の彼女を裏切った将校への激しい感情です。その彼がやって来ているのですが、彼女はどのように振舞うのでしょう。
＜試訳＞ 「 “ きっと他の女と一緒に私を笑いものにしているに違いない、いつかあの男を見つけ次第、必ず仕返しをしてやる、きっと恨みをはらしてやるわ！” と考えたの。夜、闇の中で枕に顔をうずめて泣きながらいつもこの事を繰り返し考え巡らしたわ。わざと心を痛めつけ憎しみで心を紛らわしてたのよ。 “ きっと、きっとあの男に仕返ししてやる！” って。暗闇でそう叫び出す事もよくあったわ。そのうち突然思うの、私はあの男に何にもできやしない、それなのに今ごろ私を嘲笑っている、もしかしたら私の事などすっかり忘れて覚えてやしないかも知れない、そう思うとベッドから床に身を投げ出して、明け方まで無力な涙を流しながら激しく泣いて身を震わせたものよ」
・ 五年前に十代の彼女を裏切った将校への激しい感情です。その彼がやって来ているのですが、彼女はどのように振舞うのでしょう。
五年前の小娘と同じように ― 2012-11-04
≪Поутру встану злее собаки рада весь свет проглатить. Потом, что ж ты думаешь: стала я капитал копить, без жалости сделалась, растолстела, - поумнела ты думаешь, а? Так вот нет же, никто того не видит и не знает во всей вселенной , а как сойдёт мрак ночной, всё так же как и девчёнкой, пять лет тому, лежу иной раз, скрежещу зубами и всю ночь плачу: "Уж я ж ему, да уж я ж ему", думаю! Слышал ты это всё?≫
＜試訳＞ 「朝起きると犬よりもどう猛になって、全世界を丸呑みしてやりたいと思ったわ。それからどうなったと思って。お金を貯め出したのよ、情け知らずに振舞ったし、すっかり肥ったわ、それで賢くなったと思うかしら、どう。ところがそうじゃないの、世界中の誰も見てないし知りもしないけど、今だって夜のとばりに包まれると、まるで五年前の小娘とすっかり同じように、時折身を横たえて歯軋りしながら夜通し泣くことがあるわ、“ きっと仕返ししてやる、そう、きっと ” と思うのよ。話を全部聞いてくれたかしら」
・ 五年間の苦しみが語られます。夜の闇の中で涙を流す孤独な姿を、文学の力を通して世界中の人々が見て知るのです。
＜試訳＞ 「朝起きると犬よりもどう猛になって、全世界を丸呑みしてやりたいと思ったわ。それからどうなったと思って。お金を貯め出したのよ、情け知らずに振舞ったし、すっかり肥ったわ、それで賢くなったと思うかしら、どう。ところがそうじゃないの、世界中の誰も見てないし知りもしないけど、今だって夜のとばりに包まれると、まるで五年前の小娘とすっかり同じように、時折身を横たえて歯軋りしながら夜通し泣くことがあるわ、“ きっと仕返ししてやる、そう、きっと ” と思うのよ。話を全部聞いてくれたかしら」
・ 五年間の苦しみが語られます。夜の闇の中で涙を流す孤独な姿を、文学の力を通して世界中の人々が見て知るのです。
自分を信じられなくなった ― 2012-11-05
≪Ну так как же ты теперь понимаешь меня: месяц тому приходит ко мне вдруг это самое письмо: едет он, овдовел, со мной повидаться хочет. Дух у меня тогда весь захватило, господи, да вдруг и подумала: а приедет да свистнет мне, позовёт меня, так я как собаченка к нему поползу битая, виноватая! Думаю это я и сама себе не верю: "Подлая я аль не подлая, побегу я к нему аль не побегу?" И такая меня злость взяла теперь на самое себя во весь этот месяц, что хуже ещё, чем пять лут тому.≫
＜試訳＞「それじゃあ今度は私をどう思うかしら。実は、ひと月ほど前に私の所に突然こんな手紙が届いて、彼がやって来る事、奥さんを亡くしたので私にと会いたい、とあったのよ。読んだ時はすっかり息が詰まりそうだったわ。でも何てことでしょう、私、ふとこう思ったりもしたのよ、あの男が来て口笛を吹いて私を呼んだら、私は打たれて叱られた犬のように這いつくばって彼のところに行くんじゃないかしらって！ そう考えると “ 私は卑屈な女かしら、それとも違うかしら、あの男の元に駆けつけるかしら、それとも行かないかしら ” って、自分を信じられなくなったわ。そしてこの一ヶ月と言うもの、そんな自分が腹立たしくって、五年前よりもずっとひどいくらいなの」
・ 五年の間あれほど強く報復を心に誓っていたのに、一通の手紙がグルーシェンカの気持をあっけなく動揺させます。人生を変えてしまった相手なのですが、想いを断ち切れてはいなかったのでしょう。
＜試訳＞「それじゃあ今度は私をどう思うかしら。実は、ひと月ほど前に私の所に突然こんな手紙が届いて、彼がやって来る事、奥さんを亡くしたので私にと会いたい、とあったのよ。読んだ時はすっかり息が詰まりそうだったわ。でも何てことでしょう、私、ふとこう思ったりもしたのよ、あの男が来て口笛を吹いて私を呼んだら、私は打たれて叱られた犬のように這いつくばって彼のところに行くんじゃないかしらって！ そう考えると “ 私は卑屈な女かしら、それとも違うかしら、あの男の元に駆けつけるかしら、それとも行かないかしら ” って、自分を信じられなくなったわ。そしてこの一ヶ月と言うもの、そんな自分が腹立たしくって、五年前よりもずっとひどいくらいなの」
・ 五年の間あれほど強く報復を心に誓っていたのに、一通の手紙がグルーシェンカの気持をあっけなく動揺させます。人生を変えてしまった相手なのですが、想いを断ち切れてはいなかったのでしょう。
あの男に走らないため ― 2012-11-06
≪Видишь ли теперь, Алёша, какая я неистовая, какая я яростная, всю тебе правду выразила! Митей забавлялась, чтобы к тому не бежать. Молчи, Ракитка, не тебе меня судить, не тебе говорила. Я теперь до вашего прихода лежала здесь, ждала, думала, судьбу мою всю разрешала, и никогда вам не узнать, что у меня в сердце было.≫
＜試訳＞ 「私がどんなに荒い気性で狂暴かこれで分ったでしょう、アリョーシャ、あなたには本当の事をすっかりお話したんだから！ ミーチャを相手に戯れたのも、あの男に走らないためだったのよ。黙ってて、ラキートカ、あんたなんかに私を裁けやしない、あんたに話してるんじゃないわ。今し方あんた達がやって来るまで、ここで横になって待ちながら、考えて、私の運命にすっかり決着をつけようとしていたところなの。私の胸の内がどんなだったか、決して分らないでしょうよ」
・ ここで初めてグルーシェンカがドミートリィに対して本気ではなかった事が明かされますが、これは大きな意味を持ちます。父と争って彼女に夢中になっているドミートリィはもちろん知らないのです。
＜試訳＞ 「私がどんなに荒い気性で狂暴かこれで分ったでしょう、アリョーシャ、あなたには本当の事をすっかりお話したんだから！ ミーチャを相手に戯れたのも、あの男に走らないためだったのよ。黙ってて、ラキートカ、あんたなんかに私を裁けやしない、あんたに話してるんじゃないわ。今し方あんた達がやって来るまで、ここで横になって待ちながら、考えて、私の運命にすっかり決着をつけようとしていたところなの。私の胸の内がどんなだったか、決して分らないでしょうよ」
・ ここで初めてグルーシェンカがドミートリィに対して本気ではなかった事が明かされますが、これは大きな意味を持ちます。父と争って彼女に夢中になっているドミートリィはもちろん知らないのです。
ナイフを持って行くかもしれない ― 2012-11-07
≪Нет, Алёша, скажи своей барышне, чтоб она за третьёводнишнее не сердилась!.. И не знает никто во всем свете, каково мне теперь, да и не может знать... Потому я может быть сегодня туда с собой нож возьму, я ещё того не решила... И вымолвив это "жалкое" слово, Грушенька вдруг не выдержала, не докончила, закрыла лицо руками, бросилась на диван в подушки и зарыдала как малое дитя.≫
＜試訳＞ 「ねえ、アリョーシャ、あのお嬢さんに話しといて、おとといの事を怒らないでって！･･･。私が今どんな有様か、この世で誰一人知らない、知るはずがないんだわ･･･。だってもしかしたら、私、今日あそこへナイフを持って行くかも知れない、それもまだ決心がつかないの･･･」 そしてこの “ みじめな ” 言葉を口にすると、グルーシェンカは急にこらえ切れなくなって、しまいまで言い終えずに両手で顔を覆ってソファのクッションに倒れ込み、小さな子供のように声をあげて泣き出した。
・ グルーシェンカのしたたかさの内側に抱えていた哀しい気持が、アリョーシャを前にして堰切ったように溢れます。彼にはどうする事もできないのですが、今の彼女の気持を黙って受け止めてくれるのは彼だけなのです。
＜試訳＞ 「ねえ、アリョーシャ、あのお嬢さんに話しといて、おとといの事を怒らないでって！･･･。私が今どんな有様か、この世で誰一人知らない、知るはずがないんだわ･･･。だってもしかしたら、私、今日あそこへナイフを持って行くかも知れない、それもまだ決心がつかないの･･･」 そしてこの “ みじめな ” 言葉を口にすると、グルーシェンカは急にこらえ切れなくなって、しまいまで言い終えずに両手で顔を覆ってソファのクッションに倒れ込み、小さな子供のように声をあげて泣き出した。
・ グルーシェンカのしたたかさの内側に抱えていた哀しい気持が、アリョーシャを前にして堰切ったように溢れます。彼にはどうする事もできないのですが、今の彼女の気持を黙って受け止めてくれるのは彼だけなのです。
多くを求めちゃいけない ― 2012-11-08
≪Алёша встал с места и подошёл к Ракитину.
- Миша, - проговорил он, - не сердись. Ты обижен ею, но не сердись. Слышал ты её сейчас? Нельзя с души человека столько спрашивать, надо быть милосерднее...
Алёша проговорил это в неудержимом порыве сердца. Ему надо было высказаться, и он обратился к Ракитину. Есль б не было Рктитина, он стал бы восклицатьодин≫
＜試訳＞ アリョーシャが立ち上がりラキーチンに歩み寄った。
「ミーシャ、腹を立てないでくれ」と彼は言った。「あの人に侮蔑されたろうけど怒るんじゃないよ。今あの人が言った事、聞いただろう。人の心からそう多くを求めちゃいけないんだ、もっと寛容でなければ･･･」
アリョーシャは抑え難い感情の昂りに捉えられてこう言った。想いを語らずにいられなかったので、ラキーチンに言ったのだった。もしラキーチンがいなかったら、彼は一人で叫び出していただろう。
・ 悲嘆にくれるグルーシェンカの告白を聞いて、ついにアリョーシャが口を開きます。泣いている彼女にではなくラキーチンに声をかけるところが彼らしいです。ラキーチンはミハイル・オーシポヴィッチ・ラキーチンが正式名で愛称がミーシャです。ドミートリィはミーチャです。
- Миша, - проговорил он, - не сердись. Ты обижен ею, но не сердись. Слышал ты её сейчас? Нельзя с души человека столько спрашивать, надо быть милосерднее...
Алёша проговорил это в неудержимом порыве сердца. Ему надо было высказаться, и он обратился к Ракитину. Есль б не было Рктитина, он стал бы восклицатьодин≫
＜試訳＞ アリョーシャが立ち上がりラキーチンに歩み寄った。
「ミーシャ、腹を立てないでくれ」と彼は言った。「あの人に侮蔑されたろうけど怒るんじゃないよ。今あの人が言った事、聞いただろう。人の心からそう多くを求めちゃいけないんだ、もっと寛容でなければ･･･」
アリョーシャは抑え難い感情の昂りに捉えられてこう言った。想いを語らずにいられなかったので、ラキーチンに言ったのだった。もしラキーチンがいなかったら、彼は一人で叫び出していただろう。
・ 悲嘆にくれるグルーシェンカの告白を聞いて、ついにアリョーシャが口を開きます。泣いている彼女にではなくラキーチンに声をかけるところが彼らしいです。ラキーチンはミハイル・オーシポヴィッチ・ラキーチンが正式名で愛称がミーシャです。ドミートリィはミーチャです。
嘲笑するのはよせよ ― 2012-11-09
≪Но Ракитин поглядел насмешливо, и Алёша вдруг остановился.
- Это тебя твоим старцем давеча зарядили, и теперь ты своим старцем в меня и выпалил, Алёшенька, божий человечек, - с ненавистною улыбкой проговорил Ракитин.
- Не смейся, Ракитин, не усмнехайся, не говори про покойника: он выше всех, кто был на земле! - с плачем в голосе прокричал Алёша.≫
＜試訳＞ しかし、ラキーチンは嘲るように睨んだので、アリョーシャは急に口を閉ざした。
「さっき長老様を弾丸として籠められたんで、今僕にそいつをぶっ放したってわけだ、神の使いアリョーシェニカ君よ」 忌々しそうな薄笑いをしてラキーチンが言った。
「笑わないでよラキーチン、亡き人を話題にして嘲笑うのはよしてくれ。あの方は地上の誰より気高い方だったんだ！」 涙声になってアリョーシャは叫んだ。
- Это тебя твоим старцем давеча зарядили, и теперь ты своим старцем в меня и выпалил, Алёшенька, божий человечек, - с ненавистною улыбкой проговорил Ракитин.
- Не смейся, Ракитин, не усмнехайся, не говори про покойника: он выше всех, кто был на земле! - с плачем в голосе прокричал Алёша.≫
＜試訳＞ しかし、ラキーチンは嘲るように睨んだので、アリョーシャは急に口を閉ざした。
「さっき長老様を弾丸として籠められたんで、今僕にそいつをぶっ放したってわけだ、神の使いアリョーシェニカ君よ」 忌々しそうな薄笑いをしてラキーチンが言った。
「笑わないでよラキーチン、亡き人を話題にして嘲笑うのはよしてくれ。あの方は地上の誰より気高い方だったんだ！」 涙声になってアリョーシャは叫んだ。
僕の狭い心のせいさ ― 2012-11-10
≪- Я не как судья тебе встал говорить, а сам как последний из подсудимых. Кто я пред нею? Я шёл сюда, чтобы погибнуть и говорил: "пусть, пусть!" и это из-за моего малодушия, а она, через пять лет муки, только что кто-то первый пришёл и ей искреннее слово сказал - всё простила, всё забыла и плачет! Обидчик её воротился, зовёт её, и она всё прощает ему и спешит к нему в радости, и не возьмёт ножа, не возьмёт! нет, я не таков. Я не знаю, таков ли ты, Миша, но я не таков!≫
＜試訳＞ 「僕は裁く者として君に言おうと立ちあがったんじゃないよ、それより僕自身が裁かれるべき最悪の者だよ。この人を前にして僕は一体何様だろう。僕がここに来たのは、自分を堕落させて“ かまうもんか、かまうもんか！” と言うためだった。これは僕の狭い心のせいさ。ところがこの人は五年も苦悩したのに、誰かが初めてやって来て心からの言葉をかけると全てを赦したんだ、何もかも忘れて泣いてるじゃないか! 自分を棄てた男が戻って来てこの人を呼ぶと、その元へ喜んで急ごうとしている、ナイフなんか持たずにね、持って行くもんか！ ところが僕はとてもそうはできない。ミーシャ、君はどうか知らないけど、僕はそのような人間じゃないよ！」
・ 苦しみを受けながらも相手を赦そうとするグルーシェンカを前にアリョーシャが自らを省みます。どんな人にも気高さを見出して敬う彼の姿は、作者の信念を体現していると言えるでしょう。
＜試訳＞ 「僕は裁く者として君に言おうと立ちあがったんじゃないよ、それより僕自身が裁かれるべき最悪の者だよ。この人を前にして僕は一体何様だろう。僕がここに来たのは、自分を堕落させて“ かまうもんか、かまうもんか！” と言うためだった。これは僕の狭い心のせいさ。ところがこの人は五年も苦悩したのに、誰かが初めてやって来て心からの言葉をかけると全てを赦したんだ、何もかも忘れて泣いてるじゃないか! 自分を棄てた男が戻って来てこの人を呼ぶと、その元へ喜んで急ごうとしている、ナイフなんか持たずにね、持って行くもんか！ ところが僕はとてもそうはできない。ミーシャ、君はどうか知らないけど、僕はそのような人間じゃないよ！」
・ 苦しみを受けながらも相手を赦そうとするグルーシェンカを前にアリョーシャが自らを省みます。どんな人にも気高さを見出して敬う彼の姿は、作者の信念を体現していると言えるでしょう。
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