それでもそこから出ようと思わなかった ― 2026-09-01
≪Работает же Разумихин! Да я озлился и не захотел. Именно озлился (это слово хорошее!). Я тогда, как паук, к себе в угол забился. Ты ведь была в моей конуре, видела... А знаешь ли, Соня, что низкие потолки и тесные комнаты душу и ум теснят! О, как ненавидел я эту конуру! А всё-таки выходить из неё не хотел. Нарочно не хотел!≫
<試訳> 「ラズミーヒンだって働いているんだ! それを僕は意地になってやろうとしなかった。まさに意地になったんだ ( この言葉がぴったりだ!) 僕はその時は蜘蛛のように、自分の部屋の隅に潜んでいた。君は僕の穴倉に来たから、見ただろう…。分かるだろうか、ソーニャ、低い天井と狭い部屋が精神と頭脳を締め付けるものなんだ! ああ、僕はあの部屋をどれほど憎んだか知れない! それでもやはりそこから出ようと思わなかった。わざとそうしたくなかったんだ!」
・ ラスコーリニコフがあの犯行の策略を練り、反芻していたのは棺のように暗く狭い屋根裏部屋です。そこでは正常な思考が妨げられるのを知っていながら、自虐的にそこを根城にして凶行の準備をし、現場へと出かけて行ったのでした。
<試訳> 「ラズミーヒンだって働いているんだ! それを僕は意地になってやろうとしなかった。まさに意地になったんだ ( この言葉がぴったりだ!) 僕はその時は蜘蛛のように、自分の部屋の隅に潜んでいた。君は僕の穴倉に来たから、見ただろう…。分かるだろうか、ソーニャ、低い天井と狭い部屋が精神と頭脳を締め付けるものなんだ! ああ、僕はあの部屋をどれほど憎んだか知れない! それでもやはりそこから出ようと思わなかった。わざとそうしたくなかったんだ!」
・ ラスコーリニコフがあの犯行の策略を練り、反芻していたのは棺のように暗く狭い屋根裏部屋です。そこでは正常な思考が妨げられるのを知っていながら、自虐的にそこを根城にして凶行の準備をし、現場へと出かけて行ったのでした。
横になって考え事をするのが好きだった」 ― 2026-09-02
≪По суткам не выходил, и работать не хотел, и даже есть не хотел, всё лежал. Принесёт Настасья - поем, не принесёт - так и день пройдёт; нарочно со зла не спрашивал!
Ночью огня нет, лежу в темноте, а на свечи не хочу заработать. Надо было учиться, я книги распродал; а на столе у меня, на записках да на тетрадях, на палец и теперь пыли лижит. Я лучше любил лежать и думать.≫
<試訳> 「何日も外へ出なかったし、働きたくもなかった。食べるのさえ嫌で、寝てばかりいたんだ。ナスターシャが持ってきたら少し食べ、持ってこなければ一日中そのままだ。意地を張ってわざと頼まなかった!
夜は蝋燭もないので、暗い中で寝た。蝋燭代のために働くのは嫌だった。勉強しなけれならないのに、本を売り飛ばしてまった。それで机の上の手帳やノートには今じゃ埃が積もっているよ。僕はむしろ横になって考え事をするのが好きだった」
・ ラスコーリニコフは、大学をやめて屋根裏部屋の下宿で無為な生活を送っていた事を、ありのままソーニャに話します。彼女に聞いてもらいながら、犯行に至るまでの自分自身を振り返るのです。
Ночью огня нет, лежу в темноте, а на свечи не хочу заработать. Надо было учиться, я книги распродал; а на столе у меня, на записках да на тетрадях, на палец и теперь пыли лижит. Я лучше любил лежать и думать.≫
<試訳> 「何日も外へ出なかったし、働きたくもなかった。食べるのさえ嫌で、寝てばかりいたんだ。ナスターシャが持ってきたら少し食べ、持ってこなければ一日中そのままだ。意地を張ってわざと頼まなかった!
夜は蝋燭もないので、暗い中で寝た。蝋燭代のために働くのは嫌だった。勉強しなけれならないのに、本を売り飛ばしてまった。それで机の上の手帳やノートには今じゃ埃が積もっているよ。僕はむしろ横になって考え事をするのが好きだった」
・ ラスコーリニコフは、大学をやめて屋根裏部屋の下宿で無為な生活を送っていた事を、ありのままソーニャに話します。彼女に聞いてもらいながら、犯行に至るまでの自分自身を振り返るのです。
自分に問い質したものさ ― 2026-09-03
≪И всё думал... И всё такие у меня были сны, странные, разные сны, нечего говорить какие! Но только тогда начало мне тоже мерещиться, что... Нет, это не так! Я опять не так рассказываю! Видишь, я тогда всё себя спрашивал: зачем я так глуп, что если другие глупы и коли я знаю уж наверно, что они глупы, то сам не хочу быть умнее?≫
<試訳> 「そしていつも考えていた… そしていつも僕は、奇妙な様々な夢を見ていた、語るほどの事もない夢を! けれども、その時ようやく頭に浮かび始めたんだ、例の…。いや、そうじゃない! また僕は違う事を言っている! いいかい、僕はいつも自分に問い質したものさ。どうして僕はこんなに馬鹿なんだ、もし他の連中が馬鹿で、僕が連中の馬鹿さ加減を確かに知っているなら、なぜ自分がもっと賢くなろうと思わないのかと。」
<試訳> ラスコーリニコフは大学で学ぶのをやめ、何も行動せずに陰鬱な部屋で思索にふけり、極端な考えに陥っていきました。その心理の過程をソーニャに語り続けます。ありのままの自分を取り戻そうと努力しているように感じます。
<試訳> 「そしていつも考えていた… そしていつも僕は、奇妙な様々な夢を見ていた、語るほどの事もない夢を! けれども、その時ようやく頭に浮かび始めたんだ、例の…。いや、そうじゃない! また僕は違う事を言っている! いいかい、僕はいつも自分に問い質したものさ。どうして僕はこんなに馬鹿なんだ、もし他の連中が馬鹿で、僕が連中の馬鹿さ加減を確かに知っているなら、なぜ自分がもっと賢くなろうと思わないのかと。」
<試訳> ラスコーリニコフは大学で学ぶのをやめ、何も行動せずに陰鬱な部屋で思索にふけり、極端な考えに陥っていきました。その心理の過程をソーニャに語り続けます。ありのままの自分を取り戻そうと努力しているように感じます。
皆が賢くなるなんて事は決してない ― 2026-09-04
≪Потом я узнал, Соня, что если ждать, пока всё станут умными, то слишком уж долго будет... Потом я ещё узнал, что никогда этого и не будет, что не переменятся люди, и не переделать из никому, и труда не стоит тратить! Да, это так! Это из закон... Закон, Соня! Это так!.. И я теперь знаю, Соня, что кто крепок и силен умом и дуом, тот над ними и властелин!≫
<試訳> 「やがて僕は分かったんだよ、ソーニャ、もし皆が賢くなるまで待つとなると、それはあまりにも時間がかかり過ぎるだろうと…。さらに分かったのは、皆が賢くなるなんて事は決してない、人間は変わらないし誰にも作り変えられやしない、そんな努力をする値打ちもないという事さ! 全くその通りなんだ! これは法則…。法則なんだ、ソーニャ! そうだよ!… そして今や思い知ったよ、ソーニャ、頭脳と精神が堅固で強力な者が、人々の上に立つ支配者となるんだ!」
・ ラスコーリニコフが辿り着いた人間観です。観念的に人間をひとくくりにして、愚かで変わらないものだと決めつけています。個々の人間の尊厳を認めないこのような考え方が、極端な行動の背景となったのです。
<試訳> 「やがて僕は分かったんだよ、ソーニャ、もし皆が賢くなるまで待つとなると、それはあまりにも時間がかかり過ぎるだろうと…。さらに分かったのは、皆が賢くなるなんて事は決してない、人間は変わらないし誰にも作り変えられやしない、そんな努力をする値打ちもないという事さ! 全くその通りなんだ! これは法則…。法則なんだ、ソーニャ! そうだよ!… そして今や思い知ったよ、ソーニャ、頭脳と精神が堅固で強力な者が、人々の上に立つ支配者となるんだ!」
・ ラスコーリニコフが辿り着いた人間観です。観念的に人間をひとくくりにして、愚かで変わらないものだと決めつけています。個々の人間の尊厳を認めないこのような考え方が、極端な行動の背景となったのです。
盲目な者だけが見抜けない ― 2026-09-05
≪Кто много посмеет, тот у них и прав. Кто на большее может плюнуть, тот у них и законодатель, а кто больше всех может посметь, тот и всех правее! Так доселе велось и так всегда будет! Только слепой не разглядит!
Раскольников, говоря это, хоть и смотрел на Соню, но уж не заботился более: поймёт она или нет. Лихорадка вполне охватила его.≫
<試訳> 「多くの事を勇敢になし得る者、そいつが人々の間では正しいのさ。より多くの人を無視できる者、そいつが人々の立法者となる。誰よりも思い切って実行できる者が、誰よりも正しいんだ! これまでそうだったし、これからも常にそうなるだろう! ただ盲目な者だけが見抜けない!」
ラスコーリニコフはそう語りながら、ソーニャを見つめていたけれども、彼女が理解しているかどうかを、もう気にかけていなかった。彼はすっかり激しい興奮にとらわれていた。
・ ラスコーリニコフが持論を展開します。愚かな大衆を、力もった者が支配する、力こそ正義になっていると強調します。しかもその状況はいつまでも変わらないと固定的に見ています。人間や社会の進歩に対する失望や諦めが感じられます。話しているうちに興奮して病的に熱を帯びてくる、いつもの彼の様子です。
実際には帝政ロシアはやがて崩壊し、新しい価値観の体制となるのですが、それもまた崩れます。現今の状況に照らして、予言の様な彼の考えについて、あらためて考えさせられます。
Раскольников, говоря это, хоть и смотрел на Соню, но уж не заботился более: поймёт она или нет. Лихорадка вполне охватила его.≫
<試訳> 「多くの事を勇敢になし得る者、そいつが人々の間では正しいのさ。より多くの人を無視できる者、そいつが人々の立法者となる。誰よりも思い切って実行できる者が、誰よりも正しいんだ! これまでそうだったし、これからも常にそうなるだろう! ただ盲目な者だけが見抜けない!」
ラスコーリニコフはそう語りながら、ソーニャを見つめていたけれども、彼女が理解しているかどうかを、もう気にかけていなかった。彼はすっかり激しい興奮にとらわれていた。
・ ラスコーリニコフが持論を展開します。愚かな大衆を、力もった者が支配する、力こそ正義になっていると強調します。しかもその状況はいつまでも変わらないと固定的に見ています。人間や社会の進歩に対する失望や諦めが感じられます。話しているうちに興奮して病的に熱を帯びてくる、いつもの彼の様子です。
実際には帝政ロシアはやがて崩壊し、新しい価値観の体制となるのですが、それもまた崩れます。現今の状況に照らして、予言の様な彼の考えについて、あらためて考えさせられます。





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