待ちわびていたところですわ2010-06-12

カテリーナに呼ばれてグルーシェンカが登場する

≪- А я только и ждала за занавеской, что вы позовёте, - произнёс нежный, несколько слащавый даже, женский голос. Поднялась портьера и ... сама Грушенька, смеясь и радуясь, подошла к столу. В Алёше как будто что передернулось. Он приковался к ней взглядом, глаз отвести не мог. ≫

<試訳>「私、カーテンの陰であなたが呼んでくださるのを、待ちわびていたところですわ」 柔らかな、心もち甘ったる気な女性の声がした。とばりが持ち上げられ、そして・・・当のグルーシェンカがほほ笑みながら、嬉しそうにテーブルに近づいてきた。アリョーシャの内心はまるでひきつったかのようであった。彼はグルーシェンカをじっと見つめ、目をそらすことができなかった。

彼にとって思いもよらないグルーシェンカの登場です。カテリーナが話がついていることを示すために呼び出します。これまで父や兄が酷い表現で語っていたイメージがあるので、彼が初めて出会う彼女に驚くのも無理はありません。「柔らかで甘ったるい」様子は、カテリーナと対比されてもいます。先程は男どうしの暴力的な騒ぎ、そして今度は女性二人の対決、内心を翻弄されるようなアリョーシャはどのような役割をするのでしょう。それにしても、とばりを持ち上げながらの彼女の登場の仕方は印象的で、作者の彼女への思い入れを感じます。