出て行って!2010-06-26

決別に向かう二人の険悪なやりとり

≪- Мерзавка, вон!
- Ах как стыдно, барышня, ах как стыдно, это вам даже и непристойно совсем, такие слова, милая барышня.
- Вон, продажная тварь! - завопила Катерина Ивановна. Всякая чёрточка дорожала в её совсем исказившемся лице.
- Ну уж продажная. Сами вы девицей к кавалерам за деньгами в сумерки хаживали, свою красату продавать приносили, ведь я же знаю.≫

<試訳>「人でなし、出てって!」
「あら何て恥ずかしいことを、お嬢さん、恥ずかしいことですわ、貴女にはそんなお言葉はとてもはしたなくってよ、かわいいお嬢さん」
「出てって、売女!」 カテリーナ・イワーノブナは大声で叫んだ。すっかりひきつった彼女の顔の輪郭がどこも震えていた。
「売女で結構ですとも。貴女ご自身だって若い娘の身で、お金のために独り身の男の所へ黄昏時にお忍びになられたわね。ご自分の美貌を売りに行かれのよね、私知ってるんですのよ」

二人の凄まじい応酬です。今やグルーシェンカに余裕があり優勢で、カテリーナは慎ましさを失っています。彼女は酷い言葉を投げつけますが、最初から優雅さに隠されていた本心が現れたように思います。グルーシェンカはそれを感じ取っていたからこそ逆襲したのでしょう。カテリーナに対するドミートリィの感情と共通するところがあります。

コメント

_ 慎之介 ― 2010-06-29 06:05

二人の女性のここまでの描写がこの小説には欠かせないものだったのでしょうか?

_ mir→慎之介さん ― 2010-06-29 20:27

二人の心理の変化が連続する場面なので、あまり途中を飛ばさずに流れを追いました。カテリーナにとって忘れ難いこの屈辱が後のドミートリィの裁判で決定的に影響します。ドストエフスキーは事の顛末を省略せずに実にていねいに記しています。飛躍や省略が少なく、現代の小説と比べるとむしろくどいと思うこともあります。

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