私はあけすけな人間でしてね2025-06-20

 ≪Эи, послушайте старика, серьёзно говорю, Родион Романович (говоря это, едва ли тридцатипятилетний Порфирий Петрович действительно как будто вдруг весь состарился: даже голос его изменился, и как-то весь он скрючился), - к тому же я человек откровенный-с... Откровенный я человек или нет? Как по-вашему?≫

<試訳> 「まあ、老人の言う事を聞いて下さい、真剣に話しますからね、ロジオン・ロマーノビッチ、(35歳そこそこのポルフィーリィ判事が、まるで実際に急にすっかり年老いたかのようにこう言った。彼の声さえ変わって、なぜか背まで曲がったようだった) 、それに私はあけすけな人間でしてね… あけすけでしょう、違いますか? どう思われますかな?」

・ ポルフィーリィ判事がラスコーリニコフに対してことさら年令差を強調しています。老人を自称するのは、裏返せば相手が若造だと見ている事にもなり、終始容疑者を諭すような調子で優位を保っています。彼はラスコーリニコフの犯行をほぼ確信していながら、決定的な物証がありません。そのため、動揺を誘って自白へと追い詰めようとしているようです。すぐ逮捕して尋問となりそうな件ですが、帝政当時のロシアでも物証主義が尊重されていたのは意外です。

コメント

_ 潤 ― 2025-06-20 09:26

帝政時代にこのように犯罪を扱うのは、確かにビックリです。どのようであれ自白があれば、底辺に住む人たちの事件など軽く扱われると思っていましたから。現代の冤罪事件は当局による意図的な権力優勢のものが多いです。遠い昔にこんな手間のかかる仕事をする判事がいることもびっくりです。作者の願望の判事かな?と思ったりしています。判事の年齢にも驚きです。

_ mir→潤さん ― 2025-06-21 07:07

「カラマーゾフの兄弟」でも、ドミートリィの尋問に予審判事が関わっている描写がありました。作者自身、逮捕され収監や裁判を体験していて、当局の事情には詳しいので作中に取り入れているのでしょう。ポルフィーリイ判事が " 作者の願望の判事 ” 説、なるほどです。大いにありそうですね。しつこくて嫌味なところはありながら、基本的には温かみがあります。つい最近も冤罪のニュースがありましたが、考えさせられます。

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