あなたは神様のおそばを離れたんですわ ― 2026-09-08
≪- О, молчите, молчите! - вскрикнула Соня, всплеснув руками. - От бога вы отошли, и вас бог поразил, дьяволу предал!..
- Кстати, Соня, это когда я в темноте-то лежэал и мне всё представлялось, это ведь дьявол смущал меня? а?
- Молчите! Не смейтесь, богохульник, ничего, ничего-то вы не понимаете! О господи! Ничего-то, ничего-то он не поймёт!≫
<試訳> 「ああ、黙って、黙って下さい!」 ソーニャが両手を打ち鳴らして叫んだ。「あなたは神様のおそばを離れたんですわ、それで神様があなたを懲らしめて悪魔にお渡しになったのです!…」
「それなんだけどね、ソーニャ、これは僕が暗闇の中で横になっている時に絶えず頭に思い浮かんでね、とすると悪魔が唆したのかな? そうかい?」
「黙って下さい! ふざけるのはよして、あなたは神を冒瀆する人ですよ、何も、何もあなたは分かっていないのです! ああ、神様! 何も、本当に何もこの人は分からないのです!
・ ラスコーリニコフが、傲慢な理屈で殺人行為を正当化した事に対して、ソーニャが神の意志を推しはかって批判し、取り合わない彼を嘆きます。彼女は信仰が大きなよりどころです。彼の母も、手紙で 「 あなたは、昔のように神様にお祈りを捧げていますか。(略) 私は心ひそかに、近頃はやりの不信心があなたを見舞ってやしないかと案じています。そうだったら、私はお前のためにお祈りをしましょう」 と書いています。
実際、彼は母の懸念通り、信仰に触れる事はありません。ただ一か所、ソーニャが遣わした義妹の小さなポーリャが、階段を下りていく彼を呼び止めて伝言を伝えた時 「いつか僕のためにも祈ってくれないか」 と頼んだ印象的な場面がありました。
もし彼に強い信仰心があったなら、考え方や行動は違っていたでしょう。
- Кстати, Соня, это когда я в темноте-то лежэал и мне всё представлялось, это ведь дьявол смущал меня? а?
- Молчите! Не смейтесь, богохульник, ничего, ничего-то вы не понимаете! О господи! Ничего-то, ничего-то он не поймёт!≫
<試訳> 「ああ、黙って、黙って下さい!」 ソーニャが両手を打ち鳴らして叫んだ。「あなたは神様のおそばを離れたんですわ、それで神様があなたを懲らしめて悪魔にお渡しになったのです!…」
「それなんだけどね、ソーニャ、これは僕が暗闇の中で横になっている時に絶えず頭に思い浮かんでね、とすると悪魔が唆したのかな? そうかい?」
「黙って下さい! ふざけるのはよして、あなたは神を冒瀆する人ですよ、何も、何もあなたは分かっていないのです! ああ、神様! 何も、本当に何もこの人は分からないのです!
・ ラスコーリニコフが、傲慢な理屈で殺人行為を正当化した事に対して、ソーニャが神の意志を推しはかって批判し、取り合わない彼を嘆きます。彼女は信仰が大きなよりどころです。彼の母も、手紙で 「 あなたは、昔のように神様にお祈りを捧げていますか。(略) 私は心ひそかに、近頃はやりの不信心があなたを見舞ってやしないかと案じています。そうだったら、私はお前のためにお祈りをしましょう」 と書いています。
実際、彼は母の懸念通り、信仰に触れる事はありません。ただ一か所、ソーニャが遣わした義妹の小さなポーリャが、階段を下りていく彼を呼び止めて伝言を伝えた時 「いつか僕のためにも祈ってくれないか」 と頼んだ印象的な場面がありました。
もし彼に強い信仰心があったなら、考え方や行動は違っていたでしょう。
勇気を出してしようと思っただけさ ― 2026-09-07
≪У меня тогда одна мысль выдумалась, в первый раз в жизни, которую никто и никогда ещё до меня не выдумывал! Никто! Мне вдруг ясно, как солнце, представилось, что как же это ни единый до сих пор не посмел и не смеет, проходя мимо всей этой нелепости, взять просто-запросто всё за хвост и стряхнуть к черту! Я... я захотел осмелиться и убил... я только осмелиться захотел, Соня, вот вся причина!
<試訳> 「その時、人生で初めて一つの考えが浮かんだ。それは僕が思いつくまで誰も未だかつて思いつかなかった事だよ! 誰も! 突然、僕に太陽のように明らかに思い浮かんだのは、つまり今まで誰一人として、こんな不合理の傍を通りながら全くその尻尾をつかんで隅に放り捨てる事を思い切ってしなかったし、今もしない! 僕は… 僕は勇気を出してそれをしようと思い、それで殺した… 敢えてそれをしたいと思ったんだ、ソーニャ、だから殺した… 勇気を出してしようと思っただけさ、ソーニャ、 これが全ての理由なんだよ!」
・ ラスコーリニコフが説明する犯行に至った理由は、依然として抽象的で、果たしてソーニャに伝わったのか疑問です。誰もしなかった事を自分が敢行したのだと、善行を誇るかのようで、そこに罪の意識は全く感じられません。しかも、リザベータまで巻き添えにした事はどうなのか、問い質したいです。
<試訳> 「その時、人生で初めて一つの考えが浮かんだ。それは僕が思いつくまで誰も未だかつて思いつかなかった事だよ! 誰も! 突然、僕に太陽のように明らかに思い浮かんだのは、つまり今まで誰一人として、こんな不合理の傍を通りながら全くその尻尾をつかんで隅に放り捨てる事を思い切ってしなかったし、今もしない! 僕は… 僕は勇気を出してそれをしようと思い、それで殺した… 敢えてそれをしたいと思ったんだ、ソーニャ、だから殺した… 勇気を出してしようと思っただけさ、ソーニャ、 これが全ての理由なんだよ!」
・ ラスコーリニコフが説明する犯行に至った理由は、依然として抽象的で、果たしてソーニャに伝わったのか疑問です。誰もしなかった事を自分が敢行したのだと、善行を誇るかのようで、そこに罪の意識は全く感じられません。しかも、リザベータまで巻き添えにした事はどうなのか、問い質したいです。
敢然と実行することだけだ ― 2026-09-06
≪Он был в каком-то мрачном восторге. (Действительно, он слишком долго ни с кем не говорил!) Соня поняла, что этот мрачный катехизис стал его верой и законом.
- Я догадался тогда, Соня, - продолжал он восторженно, - что власть даётся только тому, кто посмеет наклониться и взять её. Тут одно только, одно: стоит только посметь!≫
<試訳> ラスコーリニコフは何か暗い歓喜に浸っていた。 (実際、彼はあまりに長い間、誰とも話していなかった!) ソーニャは、このような陰鬱な教理が彼の信仰と法となっているのだと悟った。
「僕はその時悟ったんだ、ソーニャ」 彼は昂って話し続けた。「権力というのは、身を屈めてそれを取る勇気のある者に与えられるんだ。そこにあるのは、ただ一つ、敢然と実行することだけだ!」
・ ラスコーリニコフの考えが明らかになってきます。自分がその勇気ある者でありたいとの思いを募らせ、暗く孤独な状況から抜け出したい気持が、さらにそれを増幅させたのでしょう。
- Я догадался тогда, Соня, - продолжал он восторженно, - что власть даётся только тому, кто посмеет наклониться и взять её. Тут одно только, одно: стоит только посметь!≫
<試訳> ラスコーリニコフは何か暗い歓喜に浸っていた。 (実際、彼はあまりに長い間、誰とも話していなかった!) ソーニャは、このような陰鬱な教理が彼の信仰と法となっているのだと悟った。
「僕はその時悟ったんだ、ソーニャ」 彼は昂って話し続けた。「権力というのは、身を屈めてそれを取る勇気のある者に与えられるんだ。そこにあるのは、ただ一つ、敢然と実行することだけだ!」
・ ラスコーリニコフの考えが明らかになってきます。自分がその勇気ある者でありたいとの思いを募らせ、暗く孤独な状況から抜け出したい気持が、さらにそれを増幅させたのでしょう。
盲目な者だけが見抜けない ― 2026-09-05
≪Кто много посмеет, тот у них и прав. Кто на большее может плюнуть, тот у них и законодатель, а кто больше всех может посметь, тот и всех правее! Так доселе велось и так всегда будет! Только слепой не разглядит!
Раскольников, говоря это, хоть и смотрел на Соню, но уж не заботился более: поймёт она или нет. Лихорадка вполне охватила его.≫
<試訳> 「多くの事を勇敢になし得る者、そいつが人々の間では正しいのさ。より多くの人を無視できる者、そいつが人々の立法者となる。誰よりも思い切って実行できる者が、誰よりも正しいんだ! これまでそうだったし、これからも常にそうなるだろう! ただ盲目な者だけが見抜けない!」
ラスコーリニコフはそう語りながら、ソーニャを見つめていたけれども、彼女が理解しているかどうかを、もう気にかけていなかった。彼はすっかり激しい興奮にとらわれていた。
・ ラスコーリニコフが持論を展開します。愚かな大衆を、力もった者が支配する、力こそ正義になっていると強調します。しかもその状況はいつまでも変わらないと固定的に見ています。人間や社会の進歩に対する失望や諦めが感じられます。話しているうちに興奮して病的に熱を帯びてくる、いつもの彼の様子です。
実際には帝政ロシアはやがて崩壊し、新しい価値観の体制となるのですが、それもまた崩れます。現今の状況に照らして、予言の様な彼の考えについて、あらためて考えさせられます。
Раскольников, говоря это, хоть и смотрел на Соню, но уж не заботился более: поймёт она или нет. Лихорадка вполне охватила его.≫
<試訳> 「多くの事を勇敢になし得る者、そいつが人々の間では正しいのさ。より多くの人を無視できる者、そいつが人々の立法者となる。誰よりも思い切って実行できる者が、誰よりも正しいんだ! これまでそうだったし、これからも常にそうなるだろう! ただ盲目な者だけが見抜けない!」
ラスコーリニコフはそう語りながら、ソーニャを見つめていたけれども、彼女が理解しているかどうかを、もう気にかけていなかった。彼はすっかり激しい興奮にとらわれていた。
・ ラスコーリニコフが持論を展開します。愚かな大衆を、力もった者が支配する、力こそ正義になっていると強調します。しかもその状況はいつまでも変わらないと固定的に見ています。人間や社会の進歩に対する失望や諦めが感じられます。話しているうちに興奮して病的に熱を帯びてくる、いつもの彼の様子です。
実際には帝政ロシアはやがて崩壊し、新しい価値観の体制となるのですが、それもまた崩れます。現今の状況に照らして、予言の様な彼の考えについて、あらためて考えさせられます。
皆が賢くなるなんて事は決してない ― 2026-09-04
≪Потом я узнал, Соня, что если ждать, пока всё станут умными, то слишком уж долго будет... Потом я ещё узнал, что никогда этого и не будет, что не переменятся люди, и не переделать из никому, и труда не стоит тратить! Да, это так! Это из закон... Закон, Соня! Это так!.. И я теперь знаю, Соня, что кто крепок и силен умом и дуом, тот над ними и властелин!≫
<試訳> 「やがて僕は分かったんだよ、ソーニャ、もし皆が賢くなるまで待つとなると、それはあまりにも時間がかかり過ぎるだろうと…。さらに分かったのは、皆が賢くなるなんて事は決してない、人間は変わらないし誰にも作り変えられやしない、そんな努力をする値打ちもないという事さ! 全くその通りなんだ! これは法則…。法則なんだ、ソーニャ! そうだよ!… そして今や思い知ったよ、ソーニャ、頭脳と精神が堅固で強力な者が、人々の上に立つ支配者となるんだ!」
・ ラスコーリニコフが辿り着いた人間観です。観念的に人間をひとくくりにして、愚かで変わらないものだと決めつけています。個々の人間の尊厳を認めないこのような考え方が、極端な行動の背景となったのです。
<試訳> 「やがて僕は分かったんだよ、ソーニャ、もし皆が賢くなるまで待つとなると、それはあまりにも時間がかかり過ぎるだろうと…。さらに分かったのは、皆が賢くなるなんて事は決してない、人間は変わらないし誰にも作り変えられやしない、そんな努力をする値打ちもないという事さ! 全くその通りなんだ! これは法則…。法則なんだ、ソーニャ! そうだよ!… そして今や思い知ったよ、ソーニャ、頭脳と精神が堅固で強力な者が、人々の上に立つ支配者となるんだ!」
・ ラスコーリニコフが辿り着いた人間観です。観念的に人間をひとくくりにして、愚かで変わらないものだと決めつけています。個々の人間の尊厳を認めないこのような考え方が、極端な行動の背景となったのです。
自分に問い質したものさ ― 2026-09-03
≪И всё думал... И всё такие у меня были сны, странные, разные сны, нечего говорить какие! Но только тогда начало мне тоже мерещиться, что... Нет, это не так! Я опять не так рассказываю! Видишь, я тогда всё себя спрашивал: зачем я так глуп, что если другие глупы и коли я знаю уж наверно, что они глупы, то сам не хочу быть умнее?≫
<試訳> 「そしていつも考えていた… そしていつも僕は、奇妙な様々な夢を見ていた、語るほどの事もない夢を! けれども、その時ようやく頭に浮かび始めたんだ、例の…。いや、そうじゃない! また僕は違う事を言っている! いいかい、僕はいつも自分に問い質したものさ。どうして僕はこんなに馬鹿なんだ、もし他の連中が馬鹿で、僕が連中の馬鹿さ加減を確かに知っているなら、なぜ自分がもっと賢くなろうと思わないのかと。」
<試訳> ラスコーリニコフは大学で学ぶのをやめ、何も行動せずに陰鬱な部屋で思索にふけり、極端な考えに陥っていきました。その心理の過程をソーニャに語り続けます。ありのままの自分を取り戻そうと努力しているように感じます。
<試訳> 「そしていつも考えていた… そしていつも僕は、奇妙な様々な夢を見ていた、語るほどの事もない夢を! けれども、その時ようやく頭に浮かび始めたんだ、例の…。いや、そうじゃない! また僕は違う事を言っている! いいかい、僕はいつも自分に問い質したものさ。どうして僕はこんなに馬鹿なんだ、もし他の連中が馬鹿で、僕が連中の馬鹿さ加減を確かに知っているなら、なぜ自分がもっと賢くなろうと思わないのかと。」
<試訳> ラスコーリニコフは大学で学ぶのをやめ、何も行動せずに陰鬱な部屋で思索にふけり、極端な考えに陥っていきました。その心理の過程をソーニャに語り続けます。ありのままの自分を取り戻そうと努力しているように感じます。
横になって考え事をするのが好きだった」 ― 2026-09-02
≪По суткам не выходил, и работать не хотел, и даже есть не хотел, всё лежал. Принесёт Настасья - поем, не принесёт - так и день пройдёт; нарочно со зла не спрашивал!
Ночью огня нет, лежу в темноте, а на свечи не хочу заработать. Надо было учиться, я книги распродал; а на столе у меня, на записках да на тетрадях, на палец и теперь пыли лижит. Я лучше любил лежать и думать.≫
<試訳> 「何日も外へ出なかったし、働きたくもなかった。食べるのさえ嫌で、寝てばかりいたんだ。ナスターシャが持ってきたら少し食べ、持ってこなければ一日中そのままだ。意地を張ってわざと頼まなかった!
夜は蝋燭もないので、暗い中で寝た。蝋燭代のために働くのは嫌だった。勉強しなけれならないのに、本を売り飛ばしてまった。それで机の上の手帳やノートには今じゃ埃が積もっているよ。僕はむしろ横になって考え事をするのが好きだった」
・ ラスコーリニコフは、大学をやめて屋根裏部屋の下宿で無為な生活を送っていた事を、ありのままソーニャに話します。彼女に聞いてもらいながら、犯行に至るまでの自分自身を振り返るのです。
Ночью огня нет, лежу в темноте, а на свечи не хочу заработать. Надо было учиться, я книги распродал; а на столе у меня, на записках да на тетрадях, на палец и теперь пыли лижит. Я лучше любил лежать и думать.≫
<試訳> 「何日も外へ出なかったし、働きたくもなかった。食べるのさえ嫌で、寝てばかりいたんだ。ナスターシャが持ってきたら少し食べ、持ってこなければ一日中そのままだ。意地を張ってわざと頼まなかった!
夜は蝋燭もないので、暗い中で寝た。蝋燭代のために働くのは嫌だった。勉強しなけれならないのに、本を売り飛ばしてまった。それで机の上の手帳やノートには今じゃ埃が積もっているよ。僕はむしろ横になって考え事をするのが好きだった」
・ ラスコーリニコフは、大学をやめて屋根裏部屋の下宿で無為な生活を送っていた事を、ありのままソーニャに話します。彼女に聞いてもらいながら、犯行に至るまでの自分自身を振り返るのです。
それでもそこから出ようと思わなかった ― 2026-09-01
≪Работает же Разумихин! Да я озлился и не захотел. Именно озлился (это слово хорошее!). Я тогда, как паук, к себе в угол забился. Ты ведь была в моей конуре, видела... А знаешь ли, Соня, что низкие потолки и тесные комнаты душу и ум теснят! О, как ненавидел я эту конуру! А всё-таки выходить из неё не хотел. Нарочно не хотел!≫
<試訳> 「ラズミーヒンだって働いているんだ! それを僕は意地になってやろうとしなかった。まさに意地になったんだ ( この言葉がぴったりだ!) 僕はその時は蜘蛛のように、自分の部屋の隅に潜んでいた。君は僕の穴倉に来たから、見ただろう…。分かるだろうか、ソーニャ、低い天井と狭い部屋が精神と頭脳を締め付けるものなんだ! ああ、僕はあの部屋をどれほど憎んだか知れない! それでもやはりそこから出ようと思わなかった。わざとそうしたくなかったんだ!」
・ ラスコーリニコフがあの犯行の策略を練り、反芻していたのは棺のように暗く狭い屋根裏部屋です。そこでは正常な思考が妨げられるのを知っていながら、自虐的にそこを根城にして凶行の準備をし、現場へと出かけて行ったのでした。
<試訳> 「ラズミーヒンだって働いているんだ! それを僕は意地になってやろうとしなかった。まさに意地になったんだ ( この言葉がぴったりだ!) 僕はその時は蜘蛛のように、自分の部屋の隅に潜んでいた。君は僕の穴倉に来たから、見ただろう…。分かるだろうか、ソーニャ、低い天井と狭い部屋が精神と頭脳を締め付けるものなんだ! ああ、僕はあの部屋をどれほど憎んだか知れない! それでもやはりそこから出ようと思わなかった。わざとそうしたくなかったんだ!」
・ ラスコーリニコフがあの犯行の策略を練り、反芻していたのは棺のように暗く狭い屋根裏部屋です。そこでは正常な思考が妨げられるのを知っていながら、自虐的にそこを根城にして凶行の準備をし、現場へと出かけて行ったのでした。
大学を続けられたかも知れないんだ ― 2026-08-31
≪(Уж пусть всё зараз! Про сумашествие-то говорил прежде, я заметил!) Я вот тебе сказал давеча, что в университете себя содержать не мог. А знаешь ли ты, что я, может, и мог? Мать прислала бы, чтобы внести, что надо, а на сапоги, платье и на хлеб я бы и сам заработал; наверно! Уроки выходили; по полтиннику предлагали.≫
<試訳> 「(こうなったら何もかも一度にばらしてしまおう! 精神錯乱については前から言われてたし、気づいていた!) さっき君に、大学を続けられなくなったと話したね。ところがもしかしたら続けられたかも知れないんだ? 大学に納める分は母が送ってくれるだろうし、例えばブーツや衣服、パンなどを買う金は、自分でも稼げたと思う。確かに稼げたんだ! 家庭教師の口がいくらかあって、一回につき50コペイかもらえたんだからね」
・ 先ほどソーニャの窮地を救うために熱心に弁護したラスコーリニコフが、今度はソーニャに自分の事を細かに話して聞いてもらっています。今は気取りや自惚れもなく、事実経過を伝えていますが、自分自身に語りかけているようにも聞こえます。大学をやめたのはかなり心残りだったようです。
<試訳> 「(こうなったら何もかも一度にばらしてしまおう! 精神錯乱については前から言われてたし、気づいていた!) さっき君に、大学を続けられなくなったと話したね。ところがもしかしたら続けられたかも知れないんだ? 大学に納める分は母が送ってくれるだろうし、例えばブーツや衣服、パンなどを買う金は、自分でも稼げたと思う。確かに稼げたんだ! 家庭教師の口がいくらかあって、一回につき50コペイかもらえたんだからね」
・ 先ほどソーニャの窮地を救うために熱心に弁護したラスコーリニコフが、今度はソーニャに自分の事を細かに話して聞いてもらっています。今は気取りや自惚れもなく、事実経過を伝えていますが、自分自身に語りかけているようにも聞こえます。大学をやめたのはかなり心残りだったようです。
突然の考えの転換に驚いたかのように ― 2026-08-30
≪Соня понала, как он мучается. У ней тоже голова начинала кружиться. И странно он так говорил: как будто и понятно что-то, но.. "но как же! Как же! О госопди!" И она ломала руки в отчаянии.
- Нет, Соня, это не то! - начал он опять, вдруг поднимая голову, как будто внезапный поворот мыслей поразил и вновь возбудил его, - это не то! А лучше.. предположи (да! этак действительно лучше!), предположи, что я самолюбив, завистлив, зол, мерзок, мстителен, ну... и, пожалуй ещё наклонен к сумасшествию.≫
<試訳> ソーニャには彼が苦しんでいるのが分かった。彼女も頭がくらくらし出した。そして、ラスコーリニコフがあのような事を言ったのが不思議に思われた。何か分かるような気もした、だが… “ でもいったいどうして! どうしてなの! ああ、神様!” 。そして彼女は絶望のあまり両手を握り合わせて身をよじった。
「違うんだ、ソーニャ、あれはそうじゃない!」 まるで突然の考えの転換に驚いたかのように、急に頭を上げて、彼はまた話し始めた。「そうじゃないんだ! それよりいいのは… 考えてみてくれ (そうだ! 確かにその方がずっといい)、考えてみてくれ、僕が自惚れが強く、妬み深く、邪悪で、卑劣で、執念深く、その上… そしてたぶん精神錯乱の傾向のある男だと」
・ 心配するソーニャを相手に、ラスコーリニコフが自己を分析し始めます。自分の性格の欠点を、洗いざらい数えあげた上で、あの凶行の本当の理由を説明するつもりかも知れません。
- Нет, Соня, это не то! - начал он опять, вдруг поднимая голову, как будто внезапный поворот мыслей поразил и вновь возбудил его, - это не то! А лучше.. предположи (да! этак действительно лучше!), предположи, что я самолюбив, завистлив, зол, мерзок, мстителен, ну... и, пожалуй ещё наклонен к сумасшествию.≫
<試訳> ソーニャには彼が苦しんでいるのが分かった。彼女も頭がくらくらし出した。そして、ラスコーリニコフがあのような事を言ったのが不思議に思われた。何か分かるような気もした、だが… “ でもいったいどうして! どうしてなの! ああ、神様!” 。そして彼女は絶望のあまり両手を握り合わせて身をよじった。
「違うんだ、ソーニャ、あれはそうじゃない!」 まるで突然の考えの転換に驚いたかのように、急に頭を上げて、彼はまた話し始めた。「そうじゃないんだ! それよりいいのは… 考えてみてくれ (そうだ! 確かにその方がずっといい)、考えてみてくれ、僕が自惚れが強く、妬み深く、邪悪で、卑劣で、執念深く、その上… そしてたぶん精神錯乱の傾向のある男だと」
・ 心配するソーニャを相手に、ラスコーリニコフが自己を分析し始めます。自分の性格の欠点を、洗いざらい数えあげた上で、あの凶行の本当の理由を説明するつもりかも知れません。










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