従順は幸せをもたらさない2010-09-29

 ≪Алёша чувствовал каким-то инстинктом, что такому характеру как Катерина Ивановно надо было властвовать, а властвовать она могла бы лишь над таким, как Дмитрий, и ринюдь не над таким как Иван. Ибо Дмитрий только (положим, хоть в долгий срок) мог бы смириться наконец пред нею "к своему же счастию" (чего даже желал бы Алёша), но Иван нет, Иван не мог бы пред нею смириться, да и смирение это не дало бы ему счастия.≫

<試訳> カテリーナのような性格にとっては支配することが必要で、それもドミートリィのような人間だけを支配できるのであって、決してイワンのような人間ではないという事を、アリョーシャは何かしら本能的に感じていた。なぜなら、ドミートリィは(例え長い期間がかかるにせよ)結局は彼女に従順になるのだ “彼自身にとっても幸せなことに”(その事をアリョーシャは望みさえしたろうが)。だがイワンは違う、イワンは彼女に従順になるはずがない。そうなのだ、そのような従順は彼に幸せをもたらさないだろう。

 アリョーシャの想念が激しく巡ります。関わる人達の心理を本能的な直感で読み解くのですが、知らぬ間に彼と一緒になって想い巡らしている自分に気づきます。カテリーナやイワンやドミートリィの性格がリアルに浮かびあがって来ます。
 それにしても、これはホフラコワ夫人と共に客間に足を踏み入れた瞬間の事で、イワンが退室しようと椅子から腰を上げた時点なのですが、時間が止まったかようにかなり長い間アリョーシャの気持ちが綴られています。カテリーナとグルーシェンカの諍い、父とドミートリィの修羅場、少年達との出会いなどたくさんのドラマがほんの昨日今日の中で起こっているように、作者の時間は実に濃密です。