愛を全うさせて下さい2014-01-10

 ≪Но дай и мне долюбить... здесь, теперь долюбить, всего пять часов до горячего луча твоего... Ибо люблю царицу души моей. Люблю и не могу не любить. Сам видишь меня всего. Прискачу, паду пред нею: права ты, что мимо меня прошла... Прощай и забудь твою жёртву, не тревожь себя никогда!≫

<試訳> 「でも、私に愛を全うさせて下さい・・・ あなたの熱い光が射すまでの5時間ばかりの間、この世で今、愛を全うさせて下さい・・・。なぜなら、私は心の女王を愛しているのです。愛しています、愛さずにはいられないのです。すべて私の事はお見通しでしょう。そう私はこれから駆けつけてあの人の前でひれ伏すのです。“ お前が僕の側を素通りしたのはもっともなんだ・・・。さようなら、お前が犠牲にした者など忘れていい、気遣う事など全然ないんだ!” と言って」

・ ドミートリィが祈りの言葉を借りてグルーシェンカへの強い愛を表白します。彼女への愛を全うするために、“ 今は裁かないでほしい、猶予してほしい ” と祈っています。神の力を借りたいと祈っているのではなく、あくまで主体として行動する自分の意志に基づいていて、他力本願で “ お助け下さい、何とかして下さい ” と解決を願ってはいません。神の概念や信仰の在り方を深く考えさせられます。また、“ あなたの熱い光が射すまで ” と、神を太陽と重ねているのも、彼が何度かアポロンに拘っていた事とあわせて興味深いところです。