侮辱する者を憎まないことですぞ2010-07-31

死期の迫ったゾシマ長老が切々と説く

≪Паки говорю, - не гордитесь. Не гордитесь пред малыми, не гордитесь и пред великими. Не ненавидьте и отвергающих вас, позорящих вас, поносящих вас и на вас клевещущих. Не ненавидьте атеистов, злоучителей, материалистов, даже злых из них, не токмо добрых, ибо и из них много добрых, наипаче в наше время.≫

<試訳>「もう一度言うのじゃが、高慢にならぬことですぞ。小さき者を前にしても高ぶらず、大いなる者を前にしても高ぶらぬことじゃ。あなた方を受け入れぬ人々、侮辱する人々、罵る人々そして中傷する人々を憎むことのないようにな。無神論者達、悪を教える者達、実利主義者達を憎まないことじゃ、彼らの中の良き人だけではなく酷い人達をもじゃ、なぜかと言うに、殊にこの時代にはその人達の中にもたくさんの善き人々がいるのじゃからな」

死に臨んでもなお信仰に基づいて自らの役割を果たしている長老です。聖職者が特別の存在ではないことを強調し、驕り高ぶることを特に戒めています。聖書の言葉を教条的に語るのではなく、彼自身の明晰な思考と信念を平易に丁寧に伝えています。作者の思考を代弁しているかのようです。