相手を褒めあげて価値を添えようとする自己満足 ― 2026-01-30
≪Заметим здесь, что если Катерина Ивановна и хвалилась чьими-нибудь связями и состоянием, то это без всякого интереса, безо всякого личного расчёта, совершенно бескорыстно, так сказать, от полноты сердца, из одного только удовольствия восхвалить и придать ещё более цены хвалимому.≫
<試訳> ここで断わっておくが、カテリーナが誰かの縁故や財産を自慢したとしても、それは何らの利害や個人的打算ではなく全く無欲で、言わば感激のあまり、ただ単に相手を褒めあげてさらに価値を添えようとする自己満足だけからだった。
・ カテリーナが私利私欲を求めていないと強調されています。他の人をかいかぶって大袈裟に話すのは貧しい暮らしから逃避する心理かも知れません。
<試訳> ここで断わっておくが、カテリーナが誰かの縁故や財産を自慢したとしても、それは何らの利害や個人的打算ではなく全く無欲で、言わば感激のあまり、ただ単に相手を褒めあげてさらに価値を添えようとする自己満足だけからだった。
・ カテリーナが私利私欲を求めていないと強調されています。他の人をかいかぶって大袈裟に話すのは貧しい暮らしから逃避する心理かも知れません。
極めて高潔で寛大な方 ― 2026-01-29
≪то есть Амалии Ивановне, Полечке, Соне и полячку, что это благороднейший, великодушнейший человак, с огромнейшими связями и с состоянием, бывший друг её первого мужа, принятый в доме её отца и который обещал употоребить всё средства, чтобы выхлопотать ей значительный пенсион.≫
<試訳> 誰かれかまわずに、と言っても、つまり、リッペベフゼリ夫人、ポーリャ、ソーニャ、それにポーランド人にだが、ルージンと言う人は彼女の最初の夫の友人で、彼女の父親の家に出入りも許された、極めて高潔で寛大な方で、彼女がかなりの額の年金を得られるように、あらゆる方法を利用する事を約束してくれたと触れ回ったのだ。
・ ルージンが通りすがりに声掛けした僅かな言葉を、カテリーナは自分に都合よく話を誇張して作り上げて吹聴したのです。先ほどソーニャがルージンにその事について尋ねると、彼はその話を即座に否定しました。
<試訳> 誰かれかまわずに、と言っても、つまり、リッペベフゼリ夫人、ポーリャ、ソーニャ、それにポーランド人にだが、ルージンと言う人は彼女の最初の夫の友人で、彼女の父親の家に出入りも許された、極めて高潔で寛大な方で、彼女がかなりの額の年金を得られるように、あらゆる方法を利用する事を約束してくれたと触れ回ったのだ。
・ ルージンが通りすがりに声掛けした僅かな言葉を、カテリーナは自分に都合よく話を誇張して作り上げて吹聴したのです。先ほどソーニャがルージンにその事について尋ねると、彼はその話を即座に否定しました。
意識的に申し合わせたように ― 2026-01-28
≪Которые же из них постарше и посолиднее, то все, как нарочно, будто сговорившись, манкировали. Пётр Петрович лужин, например, самый, можно сказать, солиднейший из всех жильцов, не явился, а между тем ещё вчера же вечером Катерина Ивановна уже успела наговорить всем на свете,≫
<試訳> 間借人のうち、やや年配で地位のましな連中は、意識的に申し合わせたように誰一人顔を出さなかった。例えば住民の中でも最も地位がありそうなルージンが出席していなかった。ところが、昨日の晩のうちに、もうカテリーナは誰かれかまわずに吹聴していた。
・ カテリーナとしては、多少とも社会的地位のある人に出席してほしかったのでしょうが、実際には食べ物にありつきたいだけの連中が押し寄せたのです。虚栄心が彼女の不幸を増幅しています。
<試訳> 間借人のうち、やや年配で地位のましな連中は、意識的に申し合わせたように誰一人顔を出さなかった。例えば住民の中でも最も地位がありそうなルージンが出席していなかった。ところが、昨日の晩のうちに、もうカテリーナは誰かれかまわずに吹聴していた。
・ カテリーナとしては、多少とも社会的地位のある人に出席してほしかったのでしょうが、実際には食べ物にありつきたいだけの連中が押し寄せたのです。虚栄心が彼女の不幸を増幅しています。
人並みの格好もしていない ― 2026-01-27
≪Другая неприятность тоже отчасти способствовала раздражению Катерины Ивановны: на похоронах из жильцов, званых на похороны, кроме полячка, который успел-таки забежать и на кладбище, никто почти не был; к поминкам же, то есть к закуске, явились из них всё самые незначительные и бедные, многие из них не в своём даже виде, так, дрянь какая-то.≫
<試訳> もう一つ不愉快な事も、カテリーナの苛立ちを募らせる一部の要因となった。葬式の場には、招いていた間借り人のうち何とか墓地に駆けつけたポーランド人の他には誰もいなかった。それなのに、供養には、つまり御馳走となると、ごくつまらない貧乏人達がぞろぞろ現れて、そのほとんどが人並みの格好もしていない、言わばやくざな連中だった。
・ 場をわきまえない身なりで、図々しく御馳走にありつこうとする人達に、カテリーナは苛立ちます。それでも、ここまで漕ぎつけたのはラスコーリニコフの援助があったからです。彼があの居酒屋でマルメラードフと出会わなかったら、このような葬儀はできなかったでしょう。
<試訳> もう一つ不愉快な事も、カテリーナの苛立ちを募らせる一部の要因となった。葬式の場には、招いていた間借り人のうち何とか墓地に駆けつけたポーランド人の他には誰もいなかった。それなのに、供養には、つまり御馳走となると、ごくつまらない貧乏人達がぞろぞろ現れて、そのほとんどが人並みの格好もしていない、言わばやくざな連中だった。
・ 場をわきまえない身なりで、図々しく御馳走にありつこうとする人達に、カテリーナは苛立ちます。それでも、ここまで漕ぎつけたのはラスコーリニコフの援助があったからです。彼があの居酒屋でマルメラードフと出会わなかったら、このような葬儀はできなかったでしょう。
しばらくは、ただそっけなくあしらって、 ― 2026-01-26
≪Впрочем, Катерина Ивановна положила до времени не высказывать своих чувств, хотя и решила в своём сердце, что Амалию Ивановну непременно надо будет сегодня же осадить и напомнить ей её настоящее место, а то она бог знает что об себе замечтает, покамест же обошлась с ней только холодно.≫
<試訳> カテリーナは心の中で、リッペベフゼリ夫人を今日にも必ず鼻柱をくじいて身の程を知らせてやらなければならない、でないとどこまで思い上がるかしれたものではない、と決心した。それでも、しばらくは、ただそっけなくあしらって、いざという時が来るまで自分の感情を言い出さずにしておく事にした。
・ リッペベフゼリ夫人の善意を素直に受け取れないカテリーナの屈折した感情です。散々世話になっていながら、誇らしげに見えてしまう相手が腹立たしいのです。病勢の亢進も影響しているのかも知れません。
<試訳> カテリーナは心の中で、リッペベフゼリ夫人を今日にも必ず鼻柱をくじいて身の程を知らせてやらなければならない、でないとどこまで思い上がるかしれたものではない、と決心した。それでも、しばらくは、ただそっけなくあしらって、いざという時が来るまで自分の感情を言い出さずにしておく事にした。
・ リッペベフゼリ夫人の善意を素直に受け取れないカテリーナの屈折した感情です。散々世話になっていながら、誇らしげに見えてしまう相手が腹立たしいのです。病勢の亢進も影響しているのかも知れません。
お慈悲でだって ― 2026-01-25
≪Не понравился ей тоже и чепец с новыми лентами: "уж не гордится ли, чего доброго, эта глупая немка тем, что она хозяйка и из милости согласилась помочь бедным жильцам? Из милости! Прошу покорно! У папеньки Катерины Ивановны, который был полковник и чуть-чуть не губернатор, стол накрывался иной раз на сорок персон, так что какую-нибудь Амалию Ивановну, или лучше сказать Людвиговну, туда и на кухню бы не пустили..."≫
<試訳> カテリーナには新しい喪章を垂らした室内帽も気に入らなかった。 “ この愚かなドイツ女は、家主だからと、お慈悲で貧乏な間借人を助けるのを承知してやったと、偉ぶってるんじゃないだろうね? お慈悲でだって? あきれたものさ! カテリーナ様の父親は大佐で県知事も同然だったんだよ。時には40人のもてなしをしたものさ。だから、アマリア・イワーノブナ、いやドイツ名のリュドビーゴブナなんて台所にも入れてもらえなかったろうさ…”
・ すっかり食卓の準備を整えてもらったというのに、カテリーナはそれを素直に受け止められないのです。またも自分の親の地位を持ち出して鬱憤を晴らそうとしています。
<試訳> カテリーナには新しい喪章を垂らした室内帽も気に入らなかった。 “ この愚かなドイツ女は、家主だからと、お慈悲で貧乏な間借人を助けるのを承知してやったと、偉ぶってるんじゃないだろうね? お慈悲でだって? あきれたものさ! カテリーナ様の父親は大佐で県知事も同然だったんだよ。時には40人のもてなしをしたものさ。だから、アマリア・イワーノブナ、いやドイツ名のリュドビーゴブナなんて台所にも入れてもらえなかったろうさ…”
・ すっかり食卓の準備を整えてもらったというのに、カテリーナはそれを素直に受け止められないのです。またも自分の親の地位を持ち出して鬱憤を晴らそうとしています。
すっかりめかしこんで何とも得意気に ― 2026-01-24
≪и Амашия Ивановна, чувствуя, что отлично исолнила дело, встретила возвратившихся даже с некоторою гордостию, вся разодетая, в чепце с новыми траурными лентами и в чёрном платье. Это гордость, хотя и заслуженная, не понравилась почему-то Катерине Ивановне; "в самом деле, точно без Амалии Ивановны и стола бы не сумели накрыть!"
<試訳> そし立派に仕事をなしとげたと感じながら、リッペベフゼリ夫人は黒い服を着て新しい喪章をつけた室内帽をかぶり、すっかりめかしこんで何とも得意気に、帰って来た人達を迎えた。この得意気な様子は、当然だったとはいえ、なぜかカテリーナには気に入らなかった。“ まるで、夫人がいなけりゃ、テーブルの支度もできなかったとでも言わんばかりだよ!”
・ 夫人は皆が墓地から帰るまでの間に完璧に供養の席の準備を仕事を終えました。着替えて盛装した彼女の様子に、カテリーナの気持は複雑です。
<試訳> そし立派に仕事をなしとげたと感じながら、リッペベフゼリ夫人は黒い服を着て新しい喪章をつけた室内帽をかぶり、すっかりめかしこんで何とも得意気に、帰って来た人達を迎えた。この得意気な様子は、当然だったとはいえ、なぜかカテリーナには気に入らなかった。“ まるで、夫人がいなけりゃ、テーブルの支度もできなかったとでも言わんばかりだよ!”
・ 夫人は皆が墓地から帰るまでの間に完璧に供養の席の準備を仕事を終えました。着替えて盛装した彼女の様子に、カテリーナの気持は複雑です。
食事の準備は何もかも立派にできた ― 2026-01-23
≪Её уполномочила во всем и оставила по себе Катерина Ивановна, сама отправляясь на кладбище. Действительно, всё было приготовлено на славу: стол был накрыт даже довольно чисто, посуда, вилки, ножи, рюмки, стаканы, чашки - всё это, конечно, было сборное, разнофасонное и разнокалиберное, от разных жильцов, но всё было к известному часу на своём месте,≫
<試訳> カテリーナはリッペベフゼリ夫人に一切を任せ、後を頼んで自分は墓地に出かけた。実際、食事の準備は何もかも立派にできた。食卓はかなりさっぱりした布でおおわれていたし、食器、フォーク、ナイフ、グラス、コップ、茶碗 ― これらはみな、もちろん、あちこちの間借り人から集められた、見かけの異なるまちまちの大きさのものだったが、定刻までに全部しかるべき場所に並べられた。
・ このような行事の際は、しっかりした人物が中心になって指揮しないと物事が進まないものですが、夫人に全権を委ねられています。家主でもあるので適役でしょう。
<試訳> カテリーナはリッペベフゼリ夫人に一切を任せ、後を頼んで自分は墓地に出かけた。実際、食事の準備は何もかも立派にできた。食卓はかなりさっぱりした布でおおわれていたし、食器、フォーク、ナイフ、グラス、コップ、茶碗 ― これらはみな、もちろん、あちこちの間借り人から集められた、見かけの異なるまちまちの大きさのものだったが、定刻までに全部しかるべき場所に並べられた。
・ このような行事の際は、しっかりした人物が中心になって指揮しないと物事が進まないものですが、夫人に全権を委ねられています。家主でもあるので適役でしょう。
全ての仕事を引き受けると心から申し出た ― 2026-01-22
≪Амалия Ивановна тоже вдруг приобрела почему-то необыкновенное значение и необыкновенное уважение от Катерины Ивановны, единственно потому, может быть, что затеялись эти поминки и что Амалия Ивановна всем сердцем решилась участвовать во всех хлопотах: она взялась накрыть стол, доставить бельё, посуду и проч. и приготовить на своей кухне кушанье.≫
<試訳> リッペベフゼリ夫人も、突然なぜかカテリーナから異常なほどの信頼と尊敬を寄せられたのだった。それはおそらく、ひとえに、この供養をやる事になって、夫人が全ての仕事を引き受けると心から申し出たからかも知れない。彼女は食卓の準備をし、テーブルクロスや食器などを提供し、自分の台所で食事を作る事まで引き受けた。
・ リッペベフゼリ夫人の全面的な尽力がなくてはこの法要はできなかったでしょう。大家の彼女は以前からカテリーナと家賃の事などで揉めていたのですが、この法要を契機に心強い協力者になっています。
<試訳> リッペベフゼリ夫人も、突然なぜかカテリーナから異常なほどの信頼と尊敬を寄せられたのだった。それはおそらく、ひとえに、この供養をやる事になって、夫人が全ての仕事を引き受けると心から申し出たからかも知れない。彼女は食卓の準備をし、テーブルクロスや食器などを提供し、自分の台所で食事を作る事まで引き受けた。
・ リッペベフゼリ夫人の全面的な尽力がなくてはこの法要はできなかったでしょう。大家の彼女は以前からカテリーナと家賃の事などで揉めていたのですが、この法要を契機に心強い協力者になっています。
絶え間ない不幸と不運のために ― 2026-01-21
≪От прирорды была она характера смешливого, весёлого и миролюбивого, но от беспрерывных несчастий и неудач она до того яростно стала желать и требовать, чтобы все жили в мире и радости и не смели житьи иначе, что самый лёгкий диссонанс в жизни, самая малейшая неудача стали приводить её тотчас же чуть не в иссутупление, и она в один миг, после самых ярких надёжд и фантазий, начинала клясть судьбу, рвать и метать всё, что ни попадало под руку, и колотиться головой об стену.≫
<試訳> もともとカテリーナは笑い好きで陽気で、愛想がいい性格なのだが、絶え間ない不幸と不運のために、世の誰もが平和と喜びのなかで暮らし、決してその他の生活をしないようにと熱烈に渇望し要求するようになった。その結果、生活の中の最も軽微な不和、ほんのささいな失敗が彼女を瞬く間に半狂乱の状態に陥らせ、たった今、輝かしい希望と夢想を抱いていたかと思うと一瞬のうちに運命を呪い始め、手当たり次第にものを引きちぎって投げつけたり、壁に頭をぶちつけたりし出すのだ。
・ カテリーナが登場してから大分経っていますが、ここであらためて性格について詳しく記述されます。窮乏する生活の苦労に加えて結核の病勢の進行、さらには精神の病、これらが彼女の振る舞いを極端なものにしています。
<試訳> もともとカテリーナは笑い好きで陽気で、愛想がいい性格なのだが、絶え間ない不幸と不運のために、世の誰もが平和と喜びのなかで暮らし、決してその他の生活をしないようにと熱烈に渇望し要求するようになった。その結果、生活の中の最も軽微な不和、ほんのささいな失敗が彼女を瞬く間に半狂乱の状態に陥らせ、たった今、輝かしい希望と夢想を抱いていたかと思うと一瞬のうちに運命を呪い始め、手当たり次第にものを引きちぎって投げつけたり、壁に頭をぶちつけたりし出すのだ。
・ カテリーナが登場してから大分経っていますが、ここであらためて性格について詳しく記述されます。窮乏する生活の苦労に加えて結核の病勢の進行、さらには精神の病、これらが彼女の振る舞いを極端なものにしています。










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