そこに、一種の心理学があるんだよ ― 2024-05-11
≪Но у них нет факта, ни одного, - всё мираж, всё о двух концах, одна идея летучая - вот они и стараются наглостью сбить. А может, и сам озлился, что фактов нет, с досады прорвался. А может, и намерение какое имеет... Он человек, кажется, умный... Может напугать меня хотел тем, что знает... Тут, брат своя психология... А впрочем, гадко это всё объяснять. Оставь!≫
<試訳> 「でも彼らは事実をつかんじゃいない、一つもね。全部幻想だよ、どっちにでも取れるあやふやな考えさ。そこで、露骨に混乱させようと躍起になっている。もしかすると証拠がない事自体に苛々して、忌々しさに堪忍袋の緒を切らしたのかも知れない。それとも、何か意図的なものがあるのか…。彼は聡明な男らしいからな…。知ってるふりをして僕を不安にさせようとしたのかも知れない…。そこに、一種の心理学があるんだよ…。けれど、こんな事をあれこれ説明するのも汚らわしい。よそうぜ!」
・ ポルフィーリイが事件に関連して語ったり質問した事について、その狙いをラスコーリニコフが推測します。残酷な罪を犯した彼自身は “ 説明するのも汚らわしい…” と言える立場ではありません。未だに反省の気持ちも感じられず、その傲慢さに驚きます。
<試訳> 「でも彼らは事実をつかんじゃいない、一つもね。全部幻想だよ、どっちにでも取れるあやふやな考えさ。そこで、露骨に混乱させようと躍起になっている。もしかすると証拠がない事自体に苛々して、忌々しさに堪忍袋の緒を切らしたのかも知れない。それとも、何か意図的なものがあるのか…。彼は聡明な男らしいからな…。知ってるふりをして僕を不安にさせようとしたのかも知れない…。そこに、一種の心理学があるんだよ…。けれど、こんな事をあれこれ説明するのも汚らわしい。よそうぜ!」
・ ポルフィーリイが事件に関連して語ったり質問した事について、その狙いをラスコーリニコフが推測します。残酷な罪を犯した彼自身は “ 説明するのも汚らわしい…” と言える立場ではありません。未だに反省の気持ちも感じられず、その傲慢さに驚きます。
どこにその根拠が潜んでるんだ ― 2024-05-12
≪- И оскорбительнор, оскорбительно! Я понимаю тебя! Но... так как мы уже теперь заговорил и ясно (а это отлично, что заговорили наконец ясно, я рад!) - то уж я тебе прямо теперь признаюсь, что давно это в них замечал, эту мысль, во всё это время, разумеется, в чуть-чутошном только виде, в ползучем, но зачем же хоть и в ползучем! Как они смеют? Где, где у них эти корни таятся?≫
<試訳> 「しかも侮辱的だ、侮辱的だよ! 君の気持が分かる! けれど… 僕らは今はもう話して、はっきりしたからね。この話を始めて実に良かった、結局はっきりしたんだし、嬉しいよ! ところで、今はもう率直に白状するけど、前からあいつらにはこの考えがあるのに気づいていたんだ、このところずっと、もっともほんの幽かにうごめく兆候だけなんだけど、うごめく程度にしても、いったいどうしてなんだろう? どうして奴らはそんな失敬な事をするんだろう? どこに、いったいどこにその根拠が潜んでるんだ?」
・ ラズミーヒンは当局がラスコーリニコフに対して嫌疑を抱いているらしい兆候を感じていました。それが不思議でならず、憤慨しています。こうして傍にいる親友が当の犯人だなどとは全く考えられないでしょう。
<試訳> 「しかも侮辱的だ、侮辱的だよ! 君の気持が分かる! けれど… 僕らは今はもう話して、はっきりしたからね。この話を始めて実に良かった、結局はっきりしたんだし、嬉しいよ! ところで、今はもう率直に白状するけど、前からあいつらにはこの考えがあるのに気づいていたんだ、このところずっと、もっともほんの幽かにうごめく兆候だけなんだけど、うごめく程度にしても、いったいどうしてなんだろう? どうして奴らはそんな失敬な事をするんだろう? どこに、いったいどこにその根拠が潜んでるんだ?」
・ ラズミーヒンは当局がラスコーリニコフに対して嫌疑を抱いているらしい兆候を感じていました。それが不思議でならず、憤慨しています。こうして傍にいる親友が当の犯人だなどとは全く考えられないでしょう。
侮辱に耐えているんだ ― 2024-05-13
≪Если бы ты знал, как я бесился! Как: из-за того, что бедный студент, изуродованный нищетой и ипохондрией, накануне жестокой болезни с бредом, уже, может быть, начинавшейся в нём (заметь себе!), мнительный, самолюбивый, знающий себе цену, и шесть месяцев у себя в углу никого не видавший, в рубище и в сапогах без подмёток, - стоит перед какими-то кварташками и терпит их надругательство;≫
<試訳> 「僕がどんなに憤慨したか君に分かってもらえたらなあ! 赤貧と憂鬱症にうちのめされた貧乏学生が、譫言を言うほどひどい熱病の前日に、病気がもう始まっていたかもしれない時にだよ (いいかい!)。この猜疑心と自尊心が強く、自分の真価をわきまえていて、6か月も自分の部屋に閉じこもって誰にも会わずに、ぼろ服を着て、底の抜けた長靴を履いている男が ― つまらない警官どもの前に立って侮辱に耐えているんだ」
・ ラズミーヒンがラスコーリニコフの心情を代弁しています。ラスコーリニコフへの信頼が厚く、あのような事件を起こすなどとは考えてもいませんから、当局の動きへの憤慨が止まりません。それにしても、もうドゥーニャ達の待つ建物に着いているのに、話が止まりません。ルージンがやって来る大切な会合が待っています。
<試訳> 「僕がどんなに憤慨したか君に分かってもらえたらなあ! 赤貧と憂鬱症にうちのめされた貧乏学生が、譫言を言うほどひどい熱病の前日に、病気がもう始まっていたかもしれない時にだよ (いいかい!)。この猜疑心と自尊心が強く、自分の真価をわきまえていて、6か月も自分の部屋に閉じこもって誰にも会わずに、ぼろ服を着て、底の抜けた長靴を履いている男が ― つまらない警官どもの前に立って侮辱に耐えているんだ」
・ ラズミーヒンがラスコーリニコフの心情を代弁しています。ラスコーリニコフへの信頼が厚く、あのような事件を起こすなどとは考えてもいませんから、当局の動きへの憤慨が止まりません。それにしても、もうドゥーニャ達の待つ建物に着いているのに、話が止まりません。ルージンがやって来る大切な会合が待っています。
失神せずにいられるものか ― 2024-05-14
≪а тут неожиданный долг перед носом, просроченный вексель с надворным советником Чебаровы, тухлая краска, тридцать градусов Реомюра, спёртый воздух, куча людей, рассказ об убийстве лица, у которого был накануне, и всё это - на голодное брюхо! Да как тут не случиться обмороку! И на этом-то, на этом всё основать! Чёрт возьми! Я понимаю, что это досадно, но на твоём месте, Родька, я бы захохотал всем в глаза, или лучше:≫
<試訳> 「そこに、思いがけない借金、7等文官チェバーロフに渡った期限切れの手形を鼻先に突きつけられる。すえたペンキの臭い、列氏30度暑さ、むっとする空気、人々の群れ、前日に訪ねた人が殺された人物についての話、そしてこれが全部が空きっ腹にやって来たんだ! どうしてそこで失神せずにいられるものか! そこなんだよ、そこに嫌疑の根拠をおいているのさ! 畜生め! これは実に忌々しいのは僕にも分かるさ、でも、僕が君だったら、ロージャ、僕はみんなの前で面と向かって笑い飛ばしてやるよ、いや、もっとましなのはね…」
・ ラズミーヒンがラスコーリニコフの置かれていた状況を並べ立てて、当局の疑念に抗して弁護を続けます。ラスコーリニコフは、この友の気持ちをどのように受け止めているのか知りたいです。
列氏温度(レオミュール度)は1730年にフランスの物理学者のルネ・レオミュールが発表したものでアルコールの熱膨張をもとにしたもので、現在はほとんど使われていません。[°C] = [°Ré] × 5⁄4 なので、列氏30度は37.5℃になります。(Wiki)
<試訳> 「そこに、思いがけない借金、7等文官チェバーロフに渡った期限切れの手形を鼻先に突きつけられる。すえたペンキの臭い、列氏30度暑さ、むっとする空気、人々の群れ、前日に訪ねた人が殺された人物についての話、そしてこれが全部が空きっ腹にやって来たんだ! どうしてそこで失神せずにいられるものか! そこなんだよ、そこに嫌疑の根拠をおいているのさ! 畜生め! これは実に忌々しいのは僕にも分かるさ、でも、僕が君だったら、ロージャ、僕はみんなの前で面と向かって笑い飛ばしてやるよ、いや、もっとましなのはね…」
・ ラズミーヒンがラスコーリニコフの置かれていた状況を並べ立てて、当局の疑念に抗して弁護を続けます。ラスコーリニコフは、この友の気持ちをどのように受け止めているのか知りたいです。
列氏温度(レオミュール度)は1730年にフランスの物理学者のルネ・レオミュールが発表したものでアルコールの熱膨張をもとにしたもので、現在はほとんど使われていません。[°C] = [°Ré] × 5⁄4 なので、列氏30度は37.5℃になります。(Wiki)
卑屈になったのが忌々しいよ ― 2024-05-15
≪на-пле-вал бы всем в рожу, да погуще, да раскидал бы на все стророны десятка два плюх, умненько, как и всегда их надо давать, да тем бы и покончил. Плюнь! Ободрись! Стыдно!
"Он, однако ж, это хорошо изложил!, - подумал Раскольников.
- Плюнь? А завтра опять допрос! - проговорил он с горечью, - неужели ж мне с ними в объяснение войти? Мне и то досадно, что вчера я унизился в трактире до Заметова...≫
<試訳> 「いっそ連中の顔に唾を吐きかけてやるのさ、それも粘っこいほうがいい、さらに、四方八方に20発も平手打ちを食わすんだ。それが賢いやり方だよ。いつも連中にはこの手でいかなけりゃだめだ、それできっと落着する。平気だ! 元気を出せよ! 恥ずかしいじゃないか!」
“ それにしても、うまい事を言うな!” と、ラスコーリニコフは思った。
「平気だと? 明日また尋問なんだぜ!」 彼は悲しげに言った。「またあいつらを相手に弁解することになるな? 昨日居酒屋でザメートフなんかに卑屈になったのが忌々しいよ…」
・ ラズミーヒンは激しい口調で言いたい放題ですが、実際に矢面に立つのはスコーリニコフです。明日、質入れ品を取り戻すための申請書を持って行き、そこで判事に会わなければならず、さらに厳しい状況が続きそうです。
<試訳> 「いっそ連中の顔に唾を吐きかけてやるのさ、それも粘っこいほうがいい、さらに、四方八方に20発も平手打ちを食わすんだ。それが賢いやり方だよ。いつも連中にはこの手でいかなけりゃだめだ、それできっと落着する。平気だ! 元気を出せよ! 恥ずかしいじゃないか!」
“ それにしても、うまい事を言うな!” と、ラスコーリニコフは思った。
「平気だと? 明日また尋問なんだぜ!」 彼は悲しげに言った。「またあいつらを相手に弁解することになるな? 昨日居酒屋でザメートフなんかに卑屈になったのが忌々しいよ…」
・ ラズミーヒンは激しい口調で言いたい放題ですが、実際に矢面に立つのはスコーリニコフです。明日、質入れ品を取り戻すための申請書を持って行き、そこで判事に会わなければならず、さらに厳しい状況が続きそうです。
職人についての質問が罠だと ― 2024-05-16
≪Чёрт возьми! Пойду сам к Порфирию! И уж прижму ж я его, по-родственному; пусть выложит мне всё до корней! А уж Заметова...
"Наконец-то догадался!" - подумал Раскольников.
- Стой! - закричал Разумихин, хватая вдруг его за плечо, - стой! Ты наврал! Я надуамался: ты наврал! Ну какой это подвох? Ты говоришь, что вопрос о работниках был подвох?≫
<試訳> 「畜生め!僕がポルフィーリイのところに行くよ! そして親戚として奴を押さえつけて、何もかも全部打ち明けさせるんだ! ザメートフのやつは…」
“ やっと気がついたか!” とラスコーリニコフは考えた。
「待てよ!」ふいに彼の肩をつかんでラズミーヒンが叫んだ。「待て! 君は間違ったことを言ってるぞ! 考えてみたが、間違ってる! あれが何の罠なもんか? 君は職人についての質問が罠だと言うんだな?」
・ ラズミーヒンはラスコーリニコフへの嫌疑に腹を立て、あくまでも彼の力になろうと熱を込めます。職人の件とは、ラスコーリニコフが下見をした時と事件の日とを、判事が混同して “ ペンキ職人を見たかどうか ” 質問した事を指しています。
"Наконец-то догадался!" - подумал Раскольников.
- Стой! - закричал Разумихин, хватая вдруг его за плечо, - стой! Ты наврал! Я надуамался: ты наврал! Ну какой это подвох? Ты говоришь, что вопрос о работниках был подвох?≫
<試訳> 「畜生め!僕がポルフィーリイのところに行くよ! そして親戚として奴を押さえつけて、何もかも全部打ち明けさせるんだ! ザメートフのやつは…」
“ やっと気がついたか!” とラスコーリニコフは考えた。
「待てよ!」ふいに彼の肩をつかんでラズミーヒンが叫んだ。「待て! 君は間違ったことを言ってるぞ! 考えてみたが、間違ってる! あれが何の罠なもんか? 君は職人についての質問が罠だと言うんだな?」
・ ラズミーヒンはラスコーリニコフへの嫌疑に腹を立て、あくまでも彼の力になろうと熱を込めます。職人の件とは、ラスコーリニコフが下見をした時と事件の日とを、判事が混同して “ ペンキ職人を見たかどうか ” 質問した事を指しています。
明らかに嫌悪の様子を浮かべて ― 2024-05-17
≪Раскуси: ну если б это ты сделал, мог ли б ты проговориться, что видел, как мазали квартиру... и работников? Напротив: ничего не видал, если бы даже и видел! Кто ж сознается против себя?
- Если б я то дело сделал, то уж непременно бы сказал, что видел и работников и квартиру, - с неохотою и с видимым отвращением продолжал отвечать Раскольников.≫
<試訳> 「考えてみな、もし君があれをやったとしたなら、どんな風に部屋を塗装していたかとか… ペンキ職人を見たとか言うだろうか? 反対だよ。もし見たとしても、何も見なかったと言うだろう。自分に不利な事を誰が言うもんか」
「仮に僕があの事をやったとしたら、職人も部屋も見たと、きっと言うだろうよ」 明らかに嫌悪の様子を浮かべて、しぶしぶ答えを続けた。
・ ラスコーリニコフの答えは明らかに事実に反します。彼は判事の問いに対して、“「 …ペンキ職人たちを? いいえ、見ませんでした…」 ゆっくりと、記憶を掘り起こすかのようにしてラスコーリニコフが答えた ” のでした。これまでは犯行をわざと仄めかしたり、はぐらかしたり、口をつぐんだりしていたたのですが、この時は事実を偽りました。友を偽ったのは初めてではないかと思います。
- Если б я то дело сделал, то уж непременно бы сказал, что видел и работников и квартиру, - с неохотою и с видимым отвращением продолжал отвечать Раскольников.≫
<試訳> 「考えてみな、もし君があれをやったとしたなら、どんな風に部屋を塗装していたかとか… ペンキ職人を見たとか言うだろうか? 反対だよ。もし見たとしても、何も見なかったと言うだろう。自分に不利な事を誰が言うもんか」
「仮に僕があの事をやったとしたら、職人も部屋も見たと、きっと言うだろうよ」 明らかに嫌悪の様子を浮かべて、しぶしぶ答えを続けた。
・ ラスコーリニコフの答えは明らかに事実に反します。彼は判事の問いに対して、“「 …ペンキ職人たちを? いいえ、見ませんでした…」 ゆっくりと、記憶を掘り起こすかのようにしてラスコーリニコフが答えた ” のでした。これまでは犯行をわざと仄めかしたり、はぐらかしたり、口をつぐんだりしていたたのですが、この時は事実を偽りました。友を偽ったのは初めてではないかと思います。
違う光に照らし出すような ― 2024-05-18
≪- Да зачем же против себя говорить?
- А потому, что только одни мужики, иль уж самые неопытные новички, на допросах прямо и сряду во всем запираются. Чуть-чуть же человек развитой и бывалый, непременно и по возможности старается сознаться во всех внешних и неустранимых фактах; только причины им другие подыскивает, черту такую свою, особенную и неожиданную ввернеет, которая совершенно им другое значение придаст и в другом свете их выставит.≫
<試訳> 「どうして自分に不利な事を話すんだい?」
「なぜって、尋問で何もかも知らぬ存ぜぬと言い続けるのは農民か、または、無経験な者たちだけさ。多少とも教養があり経験のある人間ならきっと、避けられない外面的な事実はすっかり自白しようと努めるに違いないんだ。ただ、別の原因を探し出して、その事実に特別な意味を与えて、違う光に照らし出すような、思いがけない特徴を差しはさむのさ。
・ ラスコーリニコフは、策を弄して意図的に不利な事実を肯定する場合があるのだと言います。自分はそうしなかったのですから “ 無経験な者 ” でした。経験豊かな判事を相手に思い通りに事を運べるのかどうか、明日のやり取りが見ものです。
- А потому, что только одни мужики, иль уж самые неопытные новички, на допросах прямо и сряду во всем запираются. Чуть-чуть же человек развитой и бывалый, непременно и по возможности старается сознаться во всех внешних и неустранимых фактах; только причины им другие подыскивает, черту такую свою, особенную и неожиданную ввернеет, которая совершенно им другое значение придаст и в другом свете их выставит.≫
<試訳> 「どうして自分に不利な事を話すんだい?」
「なぜって、尋問で何もかも知らぬ存ぜぬと言い続けるのは農民か、または、無経験な者たちだけさ。多少とも教養があり経験のある人間ならきっと、避けられない外面的な事実はすっかり自白しようと努めるに違いないんだ。ただ、別の原因を探し出して、その事実に特別な意味を与えて、違う光に照らし出すような、思いがけない特徴を差しはさむのさ。
・ ラスコーリニコフは、策を弄して意図的に不利な事実を肯定する場合があるのだと言います。自分はそうしなかったのですから “ 無経験な者 ” でした。経験豊かな判事を相手に思い通りに事を運べるのかどうか、明日のやり取りが見ものです。
つまらん事でひっかけようとしたんだ ― 2024-05-19
≪Порфирий мог именно рассчитывать, что я непременно буду так отвечать и непременно скажу, что видел, для правдоподобия, и при этом вверну что-нибудь в объяснение...
- Да ведь он бы тебе тотчас и сказал, что за два дня работников там и быть не могло и что, стало быть, ты именно был в день убийства, в восьмом часу. На пустом бы и сбил!≫
<試訳> 「ポルフィーリイは、僕が必ずそう答えて、本当らしくするために、見たと言い、さらに説明に何かをさしはさむだろうと判断したに違いないよ…」
「そうか、だって彼はその時は即座に、2日前に職人達があそこにいることはあり得ない、ということは、君が凶行の日の7時過ぎにそこにいた事になると、君に言いそうなものじゃないか。つまらん事でひっかけようとしたんだ!」
・ 話を整理すると、判事の 「ペンキ職人を見たか?」 との問いに、ラスコーリニコフは 「いえ、見なかった」 と答えました。実際には事件当日には、彼は見たのです。先ほど彼は、経験豊かな実行犯なら何もかも否定するのではなく、一部の事実を自白して説明を加えると説明していました。つまりもし自分が犯人なら、今の場合は 「見た」 と答えるし、判事もそう考えただろうと推測します。そこでラズミーヒンは、もし 「見た」 と肯定していたなら、判事がすぐに事件当日のラスコーリニコフの存在を立証したはずだというわけです。2日前と当日の状況を意図的に混同し、またラスコーリニコフの性格を見抜いたうえでの判事の心理作戦のようです。
- Да ведь он бы тебе тотчас и сказал, что за два дня работников там и быть не могло и что, стало быть, ты именно был в день убийства, в восьмом часу. На пустом бы и сбил!≫
<試訳> 「ポルフィーリイは、僕が必ずそう答えて、本当らしくするために、見たと言い、さらに説明に何かをさしはさむだろうと判断したに違いないよ…」
「そうか、だって彼はその時は即座に、2日前に職人達があそこにいることはあり得ない、ということは、君が凶行の日の7時過ぎにそこにいた事になると、君に言いそうなものじゃないか。つまらん事でひっかけようとしたんだ!」
・ 話を整理すると、判事の 「ペンキ職人を見たか?」 との問いに、ラスコーリニコフは 「いえ、見なかった」 と答えました。実際には事件当日には、彼は見たのです。先ほど彼は、経験豊かな実行犯なら何もかも否定するのではなく、一部の事実を自白して説明を加えると説明していました。つまりもし自分が犯人なら、今の場合は 「見た」 と答えるし、判事もそう考えただろうと推測します。そこでラズミーヒンは、もし 「見た」 と肯定していたなら、判事がすぐに事件当日のラスコーリニコフの存在を立証したはずだというわけです。2日前と当日の状況を意図的に混同し、またラスコーリニコフの性格を見抜いたうえでの判事の心理作戦のようです。
些細な事で引っかかる ― 2024-05-20
≪- Да на это-то он и рассчитывал, что я не успею сообразить, и именно поспешу отвечать правдоподобнее да и забуду, что за два дня работников быть не могло.
- Да как же это забыть?
- Всего легче! На таких-то пустейших вещах вего легче и сбиваются хитрые-то люди. Чем хитрей человек, те он меньше подозревает, что его не простом собьют. Хитрефйшего человека именно на простейшем надо сбивать. Порфирий совсем не так глуп, как ты думаешь...≫
<試訳> 「そうなんだ、それで彼はそれを見込んだんだよ。僕がよく考える間もなしにもっともらしく答えようとあせって、2日前に職人がいるはずがないのを忘れるだろうとね」
「どうして、そんな事を忘れるはずはないだろう?」
「よくある事さ! そんなつまらない事柄で、簡単に引っかかるものさ、頭のまわる連中ほどね。狡猾な人間であればあるほど、些細な事で引っかかるとは思ってもいない。ポルフィーリイは君が思っているほど馬鹿じゃないな…」
・ ラスコーリニコフはラズミーヒンに、判事の質問の裏に潜む意図とそれにこたえる容疑者の心理を説明します。彼は犯行を自白しているわけではなく一般論として語っています。ラズミーヒンは彼を疑っていません。
- Да как же это забыть?
- Всего легче! На таких-то пустейших вещах вего легче и сбиваются хитрые-то люди. Чем хитрей человек, те он меньше подозревает, что его не простом собьют. Хитрефйшего человека именно на простейшем надо сбивать. Порфирий совсем не так глуп, как ты думаешь...≫
<試訳> 「そうなんだ、それで彼はそれを見込んだんだよ。僕がよく考える間もなしにもっともらしく答えようとあせって、2日前に職人がいるはずがないのを忘れるだろうとね」
「どうして、そんな事を忘れるはずはないだろう?」
「よくある事さ! そんなつまらない事柄で、簡単に引っかかるものさ、頭のまわる連中ほどね。狡猾な人間であればあるほど、些細な事で引っかかるとは思ってもいない。ポルフィーリイは君が思っているほど馬鹿じゃないな…」
・ ラスコーリニコフはラズミーヒンに、判事の質問の裏に潜む意図とそれにこたえる容疑者の心理を説明します。彼は犯行を自白しているわけではなく一般論として語っています。ラズミーヒンは彼を疑っていません。










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