私はあけすけな人間でしてね2025-06-20

 ≪Эи, послушайте старика, серьёзно говорю, Родион Романович (говоря это, едва ли тридцатипятилетний Порфирий Петрович действительно как будто вдруг весь состарился: даже голос его изменился, и как-то весь он скрючился), - к тому же я человек откровенный-с... Откровенный я человек или нет? Как по-вашему?≫

<試訳> 「まあ、老人の言う事を聞いて下さい、真剣に話しますからね、ロジオン・ロマーノビッチ、(35歳そこそこのポルフィーリィ判事が、まるで実際に急にすっかり年老いたかのようにこう言った。彼の声さえ変わって、なぜか背まで曲がったようだった) 、それに私はあけすけな人間でしてね… あけすけでしょう、違いますか? どう思われますかな?」

・ ポルフィーリィ判事がラスコーリニコフに対してことさら年令差を強調しています。老人を自称するのは、裏返せば相手が若造だと見ている事にもなり、終始容疑者を諭すような調子で優位を保っています。彼はラスコーリニコフの犯行をほぼ確信していながら、決定的な物証がありません。そのため、動揺を誘って自白へと追い詰めようとしているようです。すぐ逮捕して尋問となりそうな件ですが、帝政当時のロシアでも物証主義が尊重されていたのは意外です。