服従するのが好きなのです ― 2024-04-01
≪: первый разряд, то есть материал, говоря вообще, люди по натуре своей консервативныые, чинные, живут в послушании и любят быть послушными. Помоему, они и обязаны быть послушными, потому что это их назначение, и тут решительно нет ничего для них унизительного. Второй разряд, все преступают закон, разрушители или склонны к тому, судя по способностям.≫
<試訳> 「第一の部類、つまり材料となる部類は、概して人々は本性からして保守的で行儀正しく、従順に生活して服従するのが好きなのです。僕の考えるところでは、彼等は従順であるのが義務で、それが彼等の使命であり、それは彼等にとって決して屈辱的でもなんでもありません。第2の部類は、誰もが法律を踏み越えて、才能に応じて破壊する者か、その傾向を持つ人達です。
・ 第2の部類の ゛法律を踏み越える ” 人間はいるとしても、それを認めるのは社会的に大きな問題です。まさに彼自身が第2の部類の人間だと考えているのでしょう。そんな考えに捉われて凶悪な犯行に及んだのですが、法律を犯した事、いや、あの行為そのものは、いくら正当化しようとしても許されるはずがありません。
<試訳> 「第一の部類、つまり材料となる部類は、概して人々は本性からして保守的で行儀正しく、従順に生活して服従するのが好きなのです。僕の考えるところでは、彼等は従順であるのが義務で、それが彼等の使命であり、それは彼等にとって決して屈辱的でもなんでもありません。第2の部類は、誰もが法律を踏み越えて、才能に応じて破壊する者か、その傾向を持つ人達です。
・ 第2の部類の ゛法律を踏み越える ” 人間はいるとしても、それを認めるのは社会的に大きな問題です。まさに彼自身が第2の部類の人間だと考えているのでしょう。そんな考えに捉われて凶悪な犯行に及んだのですが、法律を犯した事、いや、あの行為そのものは、いくら正当化しようとしても許されるはずがありません。
より良き事という名において ― 2024-04-02
≪Преступления этих людей, разумеется, относительны и многоразличны; большею частию они требуют, в весьма разнообразных заявлениях, разрушения настоящего во имя лучшего. Но если ему надо, для своей идеи, перешагнуть хотя бы и через труп, через кровь, то он внутри себя, по совести, может, по-моему, дать себе разрешение перешгнуть через кровь, - смотря, впрочем, по идее и по размерам её, -это заметьте.≫
<試訳> 「これらの人達の犯罪は、もちろん相対的で多様です。彼等の大多数は極めて多様な表現で、より良き事という名において現在あるものの破壊を要求しています。しかし、自分の思想のために、たとえ屍であろうと血であろうと踏み越える必要があるならば、僕が思うには、良心の声に従って血を踏み越えて進む許可を自身に与える事ができるのです。もっとも、その思想や規模によりますが、ここは注意して下さい」
・ 特定の人々には社会規範を越えて流血も許されるというのですから、彼の思想は非常に危険なものです。振り返るとそのように見える時代はありましたし、現在進行形でもあるかも知れません。けれども、踏み越えられた側が ‟ 従順に受け入れる ” はずはありません。これは強者の傲慢な観点で、弱者一人一人の苦難を無視しています。
<試訳> 「これらの人達の犯罪は、もちろん相対的で多様です。彼等の大多数は極めて多様な表現で、より良き事という名において現在あるものの破壊を要求しています。しかし、自分の思想のために、たとえ屍であろうと血であろうと踏み越える必要があるならば、僕が思うには、良心の声に従って血を踏み越えて進む許可を自身に与える事ができるのです。もっとも、その思想や規模によりますが、ここは注意して下さい」
・ 特定の人々には社会規範を越えて流血も許されるというのですから、彼の思想は非常に危険なものです。振り返るとそのように見える時代はありましたし、現在進行形でもあるかも知れません。けれども、踏み越えられた側が ‟ 従順に受け入れる ” はずはありません。これは強者の傲慢な観点で、弱者一人一人の苦難を無視しています。
次の時代になると ― 2024-04-03
≪В этом только смысле я и говорю в моей статье об их праве на преступление. (Вы припомните, у нас ведь с юридического вопроса началось). Впрочем, тревожиться много нечего: масса никогда почти не признает за ними этого права, казнит их и вешает (более или менее) и тем, совершенно справедливо, исполняет консервативное своё назначение, с тем, однако ж, что в следующих поколениях эта же масса ставит казнённых на пьедестал и им поклоняется (белее или менее).≫
<試訳> 「この意味に限って、僕は論文の中で彼等の犯罪に対する権利を述べただけです。(僕達が法律の問題から話を始めたのを思い出して下さい)。とは言え、それほど心配する事はありません。民衆は彼等にこの権利を決して認めずに、彼等を罰したり絞首刑に処しますよ(程度の差はありますが)。そしてそれによって、完全に公正に自らの保守的な使命を実行するのです。しかし、次の時代になると、その同じ民衆が、処刑された者を台座に祭り上げて、彼等に跪拝するのです(程度の差はありますが)」
・ ラスコーリニコフの思想の開陳が止まりません。歴史を概括的に振り返ると、民衆の変わり身の早さ、権力者の盛衰、犯罪の価値観の変化など、彼が鋭く指摘する側面があるのは事実です。検閲を意識して歴史認識を修辞的に表現しているよう感じます。
<試訳> 「この意味に限って、僕は論文の中で彼等の犯罪に対する権利を述べただけです。(僕達が法律の問題から話を始めたのを思い出して下さい)。とは言え、それほど心配する事はありません。民衆は彼等にこの権利を決して認めずに、彼等を罰したり絞首刑に処しますよ(程度の差はありますが)。そしてそれによって、完全に公正に自らの保守的な使命を実行するのです。しかし、次の時代になると、その同じ民衆が、処刑された者を台座に祭り上げて、彼等に跪拝するのです(程度の差はありますが)」
・ ラスコーリニコフの思想の開陳が止まりません。歴史を概括的に振り返ると、民衆の変わり身の早さ、権力者の盛衰、犯罪の価値観の変化など、彼が鋭く指摘する側面があるのは事実です。検閲を意識して歴史認識を修辞的に表現しているよう感じます。
両者共に全く同じ存在権を持っている ― 2024-04-04
≪Первый разряд всегда - говподин настоящего, второй разряд - господин будущего. Первые сохраняют мир и приумножают его численно; вторые двигают мир и ведут его к цели. И те, и другие имеют совершенно одинаковое право существовать. Одним словом, у меня все равнсильное право имеют, и - vivi la guerre etemelle, - до Нового Иерусалима, разумеется!≫
<試訳> 「第1の部類の人々は常に、現在の支配者であり、第2の部類は将来の支配者です。第1部類の人々は世界を維持し、それを量的に拡大していき、第2の部類の人々は世界を動かしそれを目的に導いていきます。ですから両者共に全く同じ存在権を持っているのです。要するに、僕の考えでは、誰でもが同じ権利を持っているんですよ、そして ‟ 永遠の戦い万歳 ” です、もちろん、新しきエレサレムの出現までですが」
・ 彼は社会を、「天賦の才を持った者と凡人」、「支配する統治者と従順に服従する大衆」2分しています。この両者の相克が続くのが歴史だとする考え方です。 また、そのような状況でも、 ‟ 誰でもが同じ権利を持つ ” と言い切っているのは、帝政当時としてはかなり大胆です。‟ 新しきエレサレム ” は、キリスト教の聖書にある語句で、未来に出現する天国の様な都市だそうです。‟ 永遠の戦い万歳 ” はフランス語で書かれています。
<試訳> 「第1の部類の人々は常に、現在の支配者であり、第2の部類は将来の支配者です。第1部類の人々は世界を維持し、それを量的に拡大していき、第2の部類の人々は世界を動かしそれを目的に導いていきます。ですから両者共に全く同じ存在権を持っているのです。要するに、僕の考えでは、誰でもが同じ権利を持っているんですよ、そして ‟ 永遠の戦い万歳 ” です、もちろん、新しきエレサレムの出現までですが」
・ 彼は社会を、「天賦の才を持った者と凡人」、「支配する統治者と従順に服従する大衆」2分しています。この両者の相克が続くのが歴史だとする考え方です。 また、そのような状況でも、 ‟ 誰でもが同じ権利を持つ ” と言い切っているのは、帝政当時としてはかなり大胆です。‟ 新しきエレサレム ” は、キリスト教の聖書にある語句で、未来に出現する天国の様な都市だそうです。‟ 永遠の戦い万歳 ” はフランス語で書かれています。
ラザロの復活も信じますか ― 2024-04-05
≪- Так вы всё-таки верите же в Новый Иерусалим?
- Верую, - твёрдо отвечал Раскольников; говоря это и в продолжение всей длинной тирады своей, он смотрел в землю, выбрав себе точку на ковре.
- И-и-и в бога веруете? Извините, что так любопытствую.
- Верую, - повторил Раскольников, поднимая глаза на Порфирия.
- И-и в воскресение Лазаря веруете?
- Ве-верую. Зачем вам всё это?
- Буквально веруете?
- Буквально.
<試訳> 「それじゃ、いずれにしてもあなたは新しいエレサレムを信じておられるんですな?」
「信じています」 きっぱりとラスコーリニコフが答えた。こう言いながらも、そして長広舌を続けている間も、ずっと彼は絨毯の1点を選んでじっと床を見つめていた。
「そ、そ、そして、神も信じておりますかな? あい済みません、とても興味がありまして」
「信じています」 ポルフィーリイの方に目を上げて、ラスコーリニコフが繰り返した。
「そ、それに、ラザロの復活も信じますか?」
「信じ、信じます。なぜあれこれとお聞きなんです?」
「文字通り信じておられますかな?」
「文字通りですよ」
・ ポルフィーリイがラスコーリニコフの信仰について畳みかける様に執拗に問います。答えは全てイエスで、彼等は少なくとも宗教では共通の土台があるわけです。私達がこのように、相手に信仰を問う事はほとんどないと言っていいでしょう。その違いを強く感じます。
- Верую, - твёрдо отвечал Раскольников; говоря это и в продолжение всей длинной тирады своей, он смотрел в землю, выбрав себе точку на ковре.
- И-и-и в бога веруете? Извините, что так любопытствую.
- Верую, - повторил Раскольников, поднимая глаза на Порфирия.
- И-и в воскресение Лазаря веруете?
- Ве-верую. Зачем вам всё это?
- Буквально веруете?
- Буквально.
<試訳> 「それじゃ、いずれにしてもあなたは新しいエレサレムを信じておられるんですな?」
「信じています」 きっぱりとラスコーリニコフが答えた。こう言いながらも、そして長広舌を続けている間も、ずっと彼は絨毯の1点を選んでじっと床を見つめていた。
「そ、そ、そして、神も信じておりますかな? あい済みません、とても興味がありまして」
「信じています」 ポルフィーリイの方に目を上げて、ラスコーリニコフが繰り返した。
「そ、それに、ラザロの復活も信じますか?」
「信じ、信じます。なぜあれこれとお聞きなんです?」
「文字通り信じておられますかな?」
「文字通りですよ」
・ ポルフィーリイがラスコーリニコフの信仰について畳みかける様に執拗に問います。答えは全てイエスで、彼等は少なくとも宗教では共通の土台があるわけです。私達がこのように、相手に信仰を問う事はほとんどないと言っていいでしょう。その違いを強く感じます。
生きているうちに栄華を誇る ― 2024-04-06
≪- Вот как-с... так полюбопыствовал. Извините-с. Но позвольте, - обращаюсь к давешнему, - ведь их не всегда же казнят, иные напротив...
- Торжествуют при жизни? О да, иные достигают и при жизни, и тогда...
- Сами начинают казнить?
- Если надо и, знаете, даже большею частию. Вообще замечание ваше остроумно.≫
<試訳> 「おや、そうでしたか…、大いに好奇心をそそられまして。失礼しました。ところで、先ほどの問題に戻らせもらいますが、非凡人が必ずしも処刑されるとは限らないではありませんか、ある者達は逆に…」
「生きているうちに栄華を誇ると? それはそうです、ある者達は生きているうちに目的を達しますが、その時は…」
「自分から人を罰し始めるのですか?」
「必要とあらばですが、大部分がそうだとさえ言えますよね。全般的に、あなたのご指摘は鋭いですね」
・ ラスコーリニコフと判事は互いに知力をぶつけあっている感じです。相手の言おうとしている事をすぐ理解して切り返すやりとりに、緊張感があります。
- Торжествуют при жизни? О да, иные достигают и при жизни, и тогда...
- Сами начинают казнить?
- Если надо и, знаете, даже большею частию. Вообще замечание ваше остроумно.≫
<試訳> 「おや、そうでしたか…、大いに好奇心をそそられまして。失礼しました。ところで、先ほどの問題に戻らせもらいますが、非凡人が必ずしも処刑されるとは限らないではありませんか、ある者達は逆に…」
「生きているうちに栄華を誇ると? それはそうです、ある者達は生きているうちに目的を達しますが、その時は…」
「自分から人を罰し始めるのですか?」
「必要とあらばですが、大部分がそうだとさえ言えますよね。全般的に、あなたのご指摘は鋭いですね」
・ ラスコーリニコフと判事は互いに知力をぶつけあっている感じです。相手の言おうとしている事をすぐ理解して切り返すやりとりに、緊張感があります。
何をもって凡人と非凡人を見分けるのですか ― 2024-04-07
≪- Благодарю-с. Но вот что скажите: чем же бы отличить этих необыкногвенных- то от обыкновенных? При рождении, что ль, знаки такие есть? Я в том смысле, что тут надо бы поболее точности, так сказать, более наружной определённости: извитите во мне естественное беспокойство практического и благонамеренного человека, но нельзя ли тут одежду, например, особую завести, носить что-нибудь, клеймы там, что ли, какое?..≫
<試訳> 「ありがとう。しかし、そこでお聞きしたいのですが、何をもってこれらの凡人と非凡人を見分けるのですかな? 生まれた際に、なにかそのような印でもありますか? 私は、そこにもっと正確さが、言わば、より外面的な明確さが必要だという意味でお聞きするのですが。私のような実際的で思想穏健な人間の自然な不安としてお許し願いたいのですが、そこで、例えば特別な衣服を着るとか、何か印をつけるとかしては、どんなものでしょうか?…」
・ 判事はいやに丁寧な言い方ですか、明らかにラスコーリニコフの考えを茶化している様に思われます。凡人と非凡人に分けるなら、それを見分ける方法を、と無理を承知で問いかけるのです。
<試訳> 「ありがとう。しかし、そこでお聞きしたいのですが、何をもってこれらの凡人と非凡人を見分けるのですかな? 生まれた際に、なにかそのような印でもありますか? 私は、そこにもっと正確さが、言わば、より外面的な明確さが必要だという意味でお聞きするのですが。私のような実際的で思想穏健な人間の自然な不安としてお許し願いたいのですが、そこで、例えば特別な衣服を着るとか、何か印をつけるとかしては、どんなものでしょうか?…」
・ 判事はいやに丁寧な言い方ですか、明らかにラスコーリニコフの考えを茶化している様に思われます。凡人と非凡人に分けるなら、それを見分ける方法を、と無理を承知で問いかけるのです。
他の部類に属すると空想して ― 2024-04-08
≪Потому, согласитесь если произойдёт путаница и один из одного разряда вообразит, что он принадлежит к другому разряду, и начнёт "устранять всё препятствия", как вы весьма счастливо выразились, так ведь тут...
- О, это весьма часто бывает! Это замечание ваше ещё даже остроумнее давешнего...
- Благодарю-с..
- Не стоит-с; но примите в соображение, что ошибка возможна ведь только со строны первого разряда, то есть "обыкновенных" людей (как я, может быть очень неудачно, их назвал).≫
<試訳> 「というのは、お分かりいただけるでしょうが、もし混乱が生じて片方の部類の人間が他の部類に属すると空想して、あなたが大いに上手に表現なされた様に、‟ あらゆる障害を取り除き ” 始めたなら、その時は…」
「ああ、それは大いによくある事です! そのご指摘は先ほどよりもいっそう鋭いくらいで…」
「これはどうもありがとう…」
「どういたしまして。しかし考えていただきたいのは、そのような間違いは実際には第1の部類、つまり、‟ 凡人 ” ( 非常にまずい言い方かもしれませんが、私がそう呼んでいる ) の側からだけ起こり得るという事です」
・ 判事が人間を2つの部類に分ける事についての問題点を指摘します。まずどのように見分けるのか、次に、自分の所属とは違うと感じて他の所属を望む人間が現れた場合についてです。ラスコーリニコフはこれに答えなければなりません。彼自身の事でもあるようで、鋭い質問です。
- О, это весьма часто бывает! Это замечание ваше ещё даже остроумнее давешнего...
- Благодарю-с..
- Не стоит-с; но примите в соображение, что ошибка возможна ведь только со строны первого разряда, то есть "обыкновенных" людей (как я, может быть очень неудачно, их назвал).≫
<試訳> 「というのは、お分かりいただけるでしょうが、もし混乱が生じて片方の部類の人間が他の部類に属すると空想して、あなたが大いに上手に表現なされた様に、‟ あらゆる障害を取り除き ” 始めたなら、その時は…」
「ああ、それは大いによくある事です! そのご指摘は先ほどよりもいっそう鋭いくらいで…」
「これはどうもありがとう…」
「どういたしまして。しかし考えていただきたいのは、そのような間違いは実際には第1の部類、つまり、‟ 凡人 ” ( 非常にまずい言い方かもしれませんが、私がそう呼んでいる ) の側からだけ起こり得るという事です」
・ 判事が人間を2つの部類に分ける事についての問題点を指摘します。まずどのように見分けるのか、次に、自分の所属とは違うと感じて他の所属を望む人間が現れた場合についてです。ラスコーリニコフはこれに答えなければなりません。彼自身の事でもあるようで、鋭い質問です。
自分を先駆者で破壊者だと妄想して ― 2024-04-09
≪Несмотря на врождённую склонность их к послушанию, по некоторой игривости природы, в которой не отказано даже и корове, весьма многие из них любят воображать себя передовыми людьми, "разрушителями" и лезть в "новое слово", и это совершенно искренно-с. Действительно же новых они в то же время весьма часто не замечают и даже презирают, как отсталых и унизительно думающих людей.≫
<試訳> 「凡人は従順な傾向を生まれつき持っているにもかかわらず、牛でさえも持っている自然のいたずらによって、彼等のうちのかなり多くの者達が自分を先駆者で ゛破壊者 ” だと妄想して、゛新しい言葉 ” を発したがります。しかもこれが全く大真面目なのです。同時に、事実彼等らは、真の新しい人々を認めない場合が非常に多く、時代遅れの卑劣な考えをする者達だと軽蔑さえするのです」
・ 文が混み入っていて訳の難しい箇所です。凡人が非凡人だと考えがちだというのは、まるでラスコーリニコフそのものではないかと思わせます。それを自覚しているのかどうか分かりませんが、判事に誘導されて自身の犯罪心理を分析し、手の内を見せているようです。
<試訳> 「凡人は従順な傾向を生まれつき持っているにもかかわらず、牛でさえも持っている自然のいたずらによって、彼等のうちのかなり多くの者達が自分を先駆者で ゛破壊者 ” だと妄想して、゛新しい言葉 ” を発したがります。しかもこれが全く大真面目なのです。同時に、事実彼等らは、真の新しい人々を認めない場合が非常に多く、時代遅れの卑劣な考えをする者達だと軽蔑さえするのです」
・ 文が混み入っていて訳の難しい箇所です。凡人が非凡人だと考えがちだというのは、まるでラスコーリニコフそのものではないかと思わせます。それを自覚しているのかどうか分かりませんが、判事に誘導されて自身の犯罪心理を分析し、手の内を見せているようです。
自分で自分を鞭打ちます ― 2024-04-10
≪Но, по-моему, тут не может быть значительной опасности, и вам, право, нечего беспокоиться, потому что они никогда длеко не шагают. За увлечение, конечно, из можно иногда бы посечь, чтобы напомнить им своё место, но не более; тут и исполнителя даже не надо: они сами себя посекут, потому что очень благонравны; иные друг дружке эту услугу оказывают, а другие сами себя собственноручено...≫
<試訳> 「けれども、私が思うに、そこに格別の危険はありませんので、本当にご心配には及びません。なぜなら、凡人たちは決して遠くまでは歩まないからです。増長したなら、もちろん、自分の位置を認識させるために時に鞭打つのは構いませんが、それ以上はいけません。刑吏もいらないくらいです。彼等は自分で自分を鞭打ちますからね、なにしろとても品行方正だからですよ。お互いに罰し合う者もいるでしょうし、ある者は自分の手で罰します…」
・ ラスコーリニコフの主張は社会を単純化してあまりに観念的です。現実の社会はもっと重層的で複雑に入り組んでいて、二分するだけでは説明がつかないはずです。凡人についても独断的ですが、専制時代という背景も考慮しなければなりません。
<試訳> 「けれども、私が思うに、そこに格別の危険はありませんので、本当にご心配には及びません。なぜなら、凡人たちは決して遠くまでは歩まないからです。増長したなら、もちろん、自分の位置を認識させるために時に鞭打つのは構いませんが、それ以上はいけません。刑吏もいらないくらいです。彼等は自分で自分を鞭打ちますからね、なにしろとても品行方正だからですよ。お互いに罰し合う者もいるでしょうし、ある者は自分の手で罰します…」
・ ラスコーリニコフの主張は社会を単純化してあまりに観念的です。現実の社会はもっと重層的で複雑に入り組んでいて、二分するだけでは説明がつかないはずです。凡人についても独断的ですが、専制時代という背景も考慮しなければなりません。
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