心細い身の上を当てになさっておられた ― 2024-11-11
≪- Судя по этому замечанию, можно действительно предположить, что вы рассчитывали на нашу беспомощность, - раздражительно заметила Дуня.
- Но теперь, по крайней мере, не могу так рассчитывать и особенно не желаю помешать сообщению секретных предложений Аркадия Ивановича Свидригайлова, которыми он уполномочил вашего братца и которые, как я вижу, имеют для вас капитальное, а может быть, и весьма приятное значение.≫
<試訳> 「そのような事をおっしゃるからには、あなたは本当に、私達の心細い身の上を当てになさっておられたと推測してよさそうですわ」 苛々するようにドゥーニャが言った。
「しかし今は少なくとも、それを当てにできませんよ。それに、とりわけスビドリガロフ氏がお兄さんに全権を委任された秘密の申し出を知らせる邪魔をしたくありませんしね。私の見るところ、その申し出はあなたに大変重要で、極めて愉快な意味を持っていますな」
・ 母に向かって金に関する嫌味を言ったルージンに、ドゥーニャも気分を害します。ルージンは何を言われても引き下がるどころか、含みのある情報でさらに動揺を誘おうとします。マルファと、スビドリガイロフからの多額の金で、もう貧しくなくなるはずだと仄めかすのです。
- Но теперь, по крайней мере, не могу так рассчитывать и особенно не желаю помешать сообщению секретных предложений Аркадия Ивановича Свидригайлова, которыми он уполномочил вашего братца и которые, как я вижу, имеют для вас капитальное, а может быть, и весьма приятное значение.≫
<試訳> 「そのような事をおっしゃるからには、あなたは本当に、私達の心細い身の上を当てになさっておられたと推測してよさそうですわ」 苛々するようにドゥーニャが言った。
「しかし今は少なくとも、それを当てにできませんよ。それに、とりわけスビドリガロフ氏がお兄さんに全権を委任された秘密の申し出を知らせる邪魔をしたくありませんしね。私の見るところ、その申し出はあなたに大変重要で、極めて愉快な意味を持っていますな」
・ 母に向かって金に関する嫌味を言ったルージンに、ドゥーニャも気分を害します。ルージンは何を言われても引き下がるどころか、含みのある情報でさらに動揺を誘おうとします。マルファと、スビドリガイロフからの多額の金で、もう貧しくなくなるはずだと仄めかすのです。
出て行って下さい ― 2024-11-12
≪- Ах боже мой! - вскрикнула Пульхерия Александровна.
Разумизину не сиделось стуле.
- И тебе не стыдно теперь, сестра? - спросил Раскольников.
- Стыдно, Родя, - сказала Дуня, - Пётр Петрович, подите вон! - обратилась она к нему, побледнев от гнева.≫
<試訳> 「まあ、何という事を!」 プリヘーリヤが叫んだ。
ラズミーヒンは椅子に座っていられなかった。
「これでもお前は恥ずかしくないのか、ドゥーニャ?」 ラスコーリニコフが尋ねた。
「恥ずかしいわ、ロージャ」 ドゥーニャが言った。「ルージンさん、出て行って下さい!」 彼女は怒りに蒼ざめて、彼に叫びかけた。
・ プリヘーリヤをはじめ、ドゥーニャもラズミーヒンも、ルージンの思いやりが感じられない態度や、相手を貶めるような言葉に唖然とします。早くからそれを見抜いていたラスコーリニコフがドゥーニャに声をかけたのをきっかけに、彼女は意を決します。
Разумизину не сиделось стуле.
- И тебе не стыдно теперь, сестра? - спросил Раскольников.
- Стыдно, Родя, - сказала Дуня, - Пётр Петрович, подите вон! - обратилась она к нему, побледнев от гнева.≫
<試訳> 「まあ、何という事を!」 プリヘーリヤが叫んだ。
ラズミーヒンは椅子に座っていられなかった。
「これでもお前は恥ずかしくないのか、ドゥーニャ?」 ラスコーリニコフが尋ねた。
「恥ずかしいわ、ロージャ」 ドゥーニャが言った。「ルージンさん、出て行って下さい!」 彼女は怒りに蒼ざめて、彼に叫びかけた。
・ プリヘーリヤをはじめ、ドゥーニャもラズミーヒンも、ルージンの思いやりが感じられない態度や、相手を貶めるような言葉に唖然とします。早くからそれを見抜いていたラスコーリニコフがドゥーニャに声をかけたのをきっかけに、彼女は意を決します。
いいですか覚悟なさい ― 2024-11-13
≪Пётр Петрович, кажется, совсем не ожидал такого конца. Он слишком надеялся на себя, на власть свою и на беспомощность своих жёртв. Не поверил и теперь. Он побледнел, и губы его затряслись.
- Авдотья Романовна, если я выйду теперь в эту дверь, при таком напутвсвии, то - рассчитайте это - я уж не ворочусь никогда. Обдумайте хорошенько! Моё слово твёрдо.≫
<試訳> ルージンはこのような結末を全く予期していなかったようだ。彼は自分の支配力と、犠牲者の心細い境遇をあまりに頼り過ぎていた。今もって信じられなかった。彼は青くなり、唇が震えていた
「アブドーチャ・ロマーノブナ、こんなはなむけの言葉をもらって、今私がこの戸口から出て行ったなら、いいですか覚悟なさい。私はもう決して戻りませんよ。よーくお考えになる事ですな!私の言葉に揺るぎはないです」
・ ルージンはドゥーニャが結婚をふいにするような強い態度に出るとは考えてもいませんでした。思い通りに運べると見込んで、貧しく弱い立場ても誇りを守ろうとする相手の存在に考えが及びませんでした。
- Авдотья Романовна, если я выйду теперь в эту дверь, при таком напутвсвии, то - рассчитайте это - я уж не ворочусь никогда. Обдумайте хорошенько! Моё слово твёрдо.≫
<試訳> ルージンはこのような結末を全く予期していなかったようだ。彼は自分の支配力と、犠牲者の心細い境遇をあまりに頼り過ぎていた。今もって信じられなかった。彼は青くなり、唇が震えていた
「アブドーチャ・ロマーノブナ、こんなはなむけの言葉をもらって、今私がこの戸口から出て行ったなら、いいですか覚悟なさい。私はもう決して戻りませんよ。よーくお考えになる事ですな!私の言葉に揺るぎはないです」
・ ルージンはドゥーニャが結婚をふいにするような強い態度に出るとは考えてもいませんでした。思い通りに運べると見込んで、貧しく弱い立場ても誇りを守ろうとする相手の存在に考えが及びませんでした。
何て厚かましいんでしょう ― 2024-11-14
≪- Что за наглость! вскричала Дуня, быстро подымаясь с места, - да я и не хочу, чтобы вы возвращались назад!
- Как? Так вот ка-а-к-с! - вскричал Лужин, совершенно не веровавший, до последнего мгновения, такой развязке, а потому совсем потерявший теперь нитку, - так так-то-с! Но знаете ли, Авдотья Романовна, что я мог бы и протестовать-с.≫
<試訳> 「何て厚かましいんでしょう!」 素早く席を立ってドゥーニャが叫んだ。「私、お戻りになっていただきたくありませんわ」
「何ですと? なーるほど、そうですか!」 最後の瞬間まで、このような結末は夢にも思っていなかったルージンが、完全に度を失って大声で言った。「なるほど、そういうわけですか! ですが、ご存じでしょうか、アブドーチャ・ロマーノブナ、私は抗議することもできるのですよ」
・ 決然としたドゥーニャの応答に、ルージンはうろたえつつも、最後の手段があると脅します。窮地にあっても何らかの可能性を探し出して簡単には引き下がらないところに、弁護士らしさが出ています。 このように気持が離れたままでは、結婚などとても無理だと感じるのですが。
- Как? Так вот ка-а-к-с! - вскричал Лужин, совершенно не веровавший, до последнего мгновения, такой развязке, а потому совсем потерявший теперь нитку, - так так-то-с! Но знаете ли, Авдотья Романовна, что я мог бы и протестовать-с.≫
<試訳> 「何て厚かましいんでしょう!」 素早く席を立ってドゥーニャが叫んだ。「私、お戻りになっていただきたくありませんわ」
「何ですと? なーるほど、そうですか!」 最後の瞬間まで、このような結末は夢にも思っていなかったルージンが、完全に度を失って大声で言った。「なるほど、そういうわけですか! ですが、ご存じでしょうか、アブドーチャ・ロマーノブナ、私は抗議することもできるのですよ」
・ 決然としたドゥーニャの応答に、ルージンはうろたえつつも、最後の手段があると脅します。窮地にあっても何らかの可能性を探し出して簡単には引き下がらないところに、弁護士らしさが出ています。 このように気持が離れたままでは、結婚などとても無理だと感じるのですが。
私達自身のせいです ― 2024-11-15
≪- Какое право вы имеете так говорить с ней! - горячо вступилась Пульхерия Александровна, - чем вы можете протестовать? И какие это ваши права? Ну, отдам я вам, такому, мою Дуню? Подите, оставьте нас совсем! Мы сами виноваты, что на несправедливое дело пошли, а всех больше я...
- Однако ж, Пульхерия Александровна, - горячился с бешенстве Лужин,≫
<試訳> 「どんな権利があって、娘にそんな口の利き方をなさるのですか!」 プリヘーリヤが熱くなって口をはさんだ。「どうして抗議などできるのです? どんな権利がありますか? そのような方に可愛いドゥーニャをどうしてあげられましょう? 出て行って下さい、私たちに金輪際関わらないで! 正しくない行動をとってしまったのは、私達自身のせいです、とりわけ私が一番…」
「そうおっしゃいますがね、プリヘーリヤ・アレクサンドロブナ」 怒りにまかせてルージンが叫んだ。
・ プリヘーリヤがドゥーニャを擁護して、ルージンに去るように厳しく迫ります。彼が相手では娘の幸福は望めないと見限ったのです。それでもまだルージンは引き下がろうとしません。
- Однако ж, Пульхерия Александровна, - горячился с бешенстве Лужин,≫
<試訳> 「どんな権利があって、娘にそんな口の利き方をなさるのですか!」 プリヘーリヤが熱くなって口をはさんだ。「どうして抗議などできるのです? どんな権利がありますか? そのような方に可愛いドゥーニャをどうしてあげられましょう? 出て行って下さい、私たちに金輪際関わらないで! 正しくない行動をとってしまったのは、私達自身のせいです、とりわけ私が一番…」
「そうおっしゃいますがね、プリヘーリヤ・アレクサンドロブナ」 怒りにまかせてルージンが叫んだ。
・ プリヘーリヤがドゥーニャを擁護して、ルージンに去るように厳しく迫ります。彼が相手では娘の幸福は望めないと見限ったのです。それでもまだルージンは引き下がろうとしません。
余計な出費をさせられた ― 2024-11-16
≪- вы связали меня данным словом, от которого теперь отрекаетесь... и наконец... наконец, я вовлечён был, так сказать, через то в издержки...
Эта последняя претензия до того была в характере Пётра Петровича, что Раскольников, бледневший от гнева и от усилий сдержать его, вдруг не выдержал и - расхохотался. Но Пульхерия Александровна вышла из себя:≫
<試訳> 「あなたはあのような約束で私を縛っておきながら、今になってそれを破棄されたんですよ… しかも結局… 結局、私は、言わば余計な出費をさせられたのです…」
この最後の苦情があまりにルージンの性分そのものだったので、怒りを抑えるのに懸命で、真っ青になっていたラスコーリニコフは、不意にこらえきれずに大声で笑い出した。だが、プリヘーリヤは激怒した。
・ これまでにかかった費用が惜しいというルージンの本音が思わず出ました。乏しい金を工面して結婚の準備をし、故郷を捨てて遠路やっと出てきたのは母と娘の方です。しかも今問題にしているのは彼の人間性なのです。ドゥーニャの気持も思いやらずに出費の不満を口にしたルージンに、ラスコーリニコフは怒りを通り越し、あきれて笑い出したのでしょう。
Эта последняя претензия до того была в характере Пётра Петровича, что Раскольников, бледневший от гнева и от усилий сдержать его, вдруг не выдержал и - расхохотался. Но Пульхерия Александровна вышла из себя:≫
<試訳> 「あなたはあのような約束で私を縛っておきながら、今になってそれを破棄されたんですよ… しかも結局… 結局、私は、言わば余計な出費をさせられたのです…」
この最後の苦情があまりにルージンの性分そのものだったので、怒りを抑えるのに懸命で、真っ青になっていたラスコーリニコフは、不意にこらえきれずに大声で笑い出した。だが、プリヘーリヤは激怒した。
・ これまでにかかった費用が惜しいというルージンの本音が思わず出ました。乏しい金を工面して結婚の準備をし、故郷を捨てて遠路やっと出てきたのは母と娘の方です。しかも今問題にしているのは彼の人間性なのです。ドゥーニャの気持も思いやらずに出費の不満を口にしたルージンに、ラスコーリニコフは怒りを通り越し、あきれて笑い出したのでしょう。
あなたを縛ったなんて ― 2024-11-17
≪- В издержки? В какие же это издержки? Уж не про сундук ли наш вы говорите? Да ведь вам его кондуктор задаром перевёз. Господи, мы же вас и связали! Да вы опомнитесь, Пётр Петрович, это вы нас по рукам и по ногам связали, а не мы вас!
- Довольно, маменька, пожалуйста, довольно! - упрашивала Авдотья Романовна. - Пётр Петровмич, сделайте милость, уйдите!≫
<試訳> 「出費ですって? いったいそれは何の出費ですの? 私たちのトランクの事を仰ってるのじゃありませんでしょうね? それなら車掌があなたのために無料で運んでくれたはずですよ。何てことでしょう、あなたを縛ったなんて! 正気になって下さい、ルージンさん、私達の手足を縛ったのはあなたの方で、私達があなたを縛ったのではありませんよ!」
「もういいわよ、お母さん、どうか、もうよして!」 ドゥーニャが懇願した。「ルージンさん、どうかお願いですから出て行って下さい」
・ プリヘーリヤがこれまで抑えていた感情を爆発させるように、ルージンに畳みかけます。たまらずドゥーニャが制します。プリヘーリヤにはドゥーニャの結婚がうまく行くようにと、ルージンの言いなりに事を進めてしまった後悔と、自責の念があるのでしょう。
- Довольно, маменька, пожалуйста, довольно! - упрашивала Авдотья Романовна. - Пётр Петровмич, сделайте милость, уйдите!≫
<試訳> 「出費ですって? いったいそれは何の出費ですの? 私たちのトランクの事を仰ってるのじゃありませんでしょうね? それなら車掌があなたのために無料で運んでくれたはずですよ。何てことでしょう、あなたを縛ったなんて! 正気になって下さい、ルージンさん、私達の手足を縛ったのはあなたの方で、私達があなたを縛ったのではありませんよ!」
「もういいわよ、お母さん、どうか、もうよして!」 ドゥーニャが懇願した。「ルージンさん、どうかお願いですから出て行って下さい」
・ プリヘーリヤがこれまで抑えていた感情を爆発させるように、ルージンに畳みかけます。たまらずドゥーニャが制します。プリヘーリヤにはドゥーニャの結婚がうまく行くようにと、ルージンの言いなりに事を進めてしまった後悔と、自責の念があるのでしょう。
感謝を要求してもいいほど ― 2024-11-18
≪- Уйду-с, но одно только последнее слово! - проговорил он, уже почти совсем не владея собою, - ваша мамаша, кажется, совершенно забыла, что я решился вас взять, так сказать, после городской молвы, разнесшейся по всему околотку насчёт репутации вашей. Пренебрегая для вас общественным мнением и восстановляя репутацию вашу, уж, конечно, мог бы я, весьма и весьма, понадеяться на возммездие и даже потребовать благодарности вашей...≫
<試訳> 「出て行きますとも、しかし、最後にもう一言!」 もうほとんど冷静さを保てずに彼は叫んだ。「あなたのお母様はすっかりお忘れのようですが、私があなたをもらうと決心したのは、あなたについての、あのような風評が町じゅうに広まった後なんですよ。あなたのために世間の評判を無視して、あなたの名誉を回復したのですから、報酬を大いに期待し、さらに感謝を要求してもいいほどだと思いますがね…」
・ 最後にルージンは、ドゥーニャがスビドリガイロフとの関係を誤解されて家庭教師をやめさせられたという町の噂を承知で結婚を申し込んだ事を強調します。実際にはスビドリガイロフの妻マルファが、町じゅう奔走して事実を伝えて誤解は解かれ、むしろドゥーニャの評判は以前より良くなっていました。マルファが知人を介してルージンを紹介したのはその後です。
<試訳> 「出て行きますとも、しかし、最後にもう一言!」 もうほとんど冷静さを保てずに彼は叫んだ。「あなたのお母様はすっかりお忘れのようですが、私があなたをもらうと決心したのは、あなたについての、あのような風評が町じゅうに広まった後なんですよ。あなたのために世間の評判を無視して、あなたの名誉を回復したのですから、報酬を大いに期待し、さらに感謝を要求してもいいほどだと思いますがね…」
・ 最後にルージンは、ドゥーニャがスビドリガイロフとの関係を誤解されて家庭教師をやめさせられたという町の噂を承知で結婚を申し込んだ事を強調します。実際にはスビドリガイロフの妻マルファが、町じゅう奔走して事実を伝えて誤解は解かれ、むしろドゥーニャの評判は以前より良くなっていました。マルファが知人を介してルージンを紹介したのはその後です。
あなたは卑劣で意地悪な方です ― 2024-11-19
≪И только теперь открылись глаза мои! Вижу сам, что, может быть, весьма и весьма поступил опрометчиво, пренбрегая общественным голосом...
- Да он о двух головах, что ли! - крикнул Разумихин, вскакивая со стула и уже готовясь расправиться.
- Низкий вы и злой человек! - сказал Дуня. - Ни слова! Ни жеста! - вскрикнул Рпскольников, удерживая Разумихина; затем, подойдя чуть не в упор к Лужину:
- Извольте выйти вон! - сказал он тихо и раздельно, - и ни слова более, иначе...≫
<試訳> 「たった今、私の目が開きましたよ!世間の声を聞かずに、極めて軽率な行動をとったのかも知れないのが、よく分かりまよす…」
「こいつ、頭が二つあるとでも思ってるのか!」 ラズミーヒンが椅子から飛び上がり、今にも制裁を加えようと身構えながら叫んだ。
「あなたは卑劣で、意地悪な方です!」 ドゥーニャが言った。
「何も言うな! 何もするな!」 ラズミーヒンを制止しながら、ラスコーリニコフが叫んだ。その後、ルージンにほとんど顔を突き合わさんばかりに近付いた。
「さあ、出て行って下さい」 彼は低い声ではっきりと言った。「これ以上何も言わずに、さもないと…」
・ 世間の良くない噂さがあったのに、結婚してやろうとしたのが間違いだったと言わんばかりのルージンの捨て台詞です。ラスコーリニコフが退室を厳しく求めます。ルージンは引き下がらざるを得ないでしょう。結婚の段取りなどを決めるはずだった集まりが、思わぬ幕切れになるようです。
ラズミーヒンが言った 「頭が二つあるとでも…」 は、「一つは殴り壊されてもいいと思っているのか」 つまり「殴られたいのか」 の意味のようです。
- Да он о двух головах, что ли! - крикнул Разумихин, вскакивая со стула и уже готовясь расправиться.
- Низкий вы и злой человек! - сказал Дуня. - Ни слова! Ни жеста! - вскрикнул Рпскольников, удерживая Разумихина; затем, подойдя чуть не в упор к Лужину:
- Извольте выйти вон! - сказал он тихо и раздельно, - и ни слова более, иначе...≫
<試訳> 「たった今、私の目が開きましたよ!世間の声を聞かずに、極めて軽率な行動をとったのかも知れないのが、よく分かりまよす…」
「こいつ、頭が二つあるとでも思ってるのか!」 ラズミーヒンが椅子から飛び上がり、今にも制裁を加えようと身構えながら叫んだ。
「あなたは卑劣で、意地悪な方です!」 ドゥーニャが言った。
「何も言うな! 何もするな!」 ラズミーヒンを制止しながら、ラスコーリニコフが叫んだ。その後、ルージンにほとんど顔を突き合わさんばかりに近付いた。
「さあ、出て行って下さい」 彼は低い声ではっきりと言った。「これ以上何も言わずに、さもないと…」
・ 世間の良くない噂さがあったのに、結婚してやろうとしたのが間違いだったと言わんばかりのルージンの捨て台詞です。ラスコーリニコフが退室を厳しく求めます。ルージンは引き下がらざるを得ないでしょう。結婚の段取りなどを決めるはずだった集まりが、思わぬ幕切れになるようです。
ラズミーヒンが言った 「頭が二つあるとでも…」 は、「一つは殴り壊されてもいいと思っているのか」 つまり「殴られたいのか」 の意味のようです。
彼一人だけのせいにした ― 2024-11-20
≪Пётр Петрович несколько секунд смотрел на него с бледным и искривленныи от злости лицом, затем повернулся, вышел, и уж конечно, редко кто-нибудь уносил на кого в своём сердце столько злобной ненависти, как этот человек на Раскоьникова. Его, и его одного, он обвинял во всем. Замечательно, что, уже спускаясь с лестницы, он всё ещё воображил, что дело ещё, может быть, совсем не потеряно и, что касается одних дам, даже "весьма и весьма" поправимое.≫
<試訳> 「ルージンは蒼ざめて、憎しみに歪んだ顔つきで数秒間ラスコーリニコフを見つめ、それからくるりと背を向けて出て行った。この男が今ラスコーリニコフに対して抱いたような、これほど敵意に満ちた憎悪を抱いて誰かと別れた者はめったにいない。ルージンは全てを、ラスコーリニコフ、彼一人だけのせいにした。もう階段を降りながら、依然として事態はまだ全く壊れたわけじゃなく、二人の女性に関する限り “ 大いに、大いに ” 修復可能でさえある、と彼が考えていたのは注目に値する。
・ あれほど皆から拒絶の言葉を受けながら、まだ回復の見込みがあると考えているルージンの自信と執念に驚きます。彼はプリヘーリヤとドゥーニャなら何とかなると思っているのです。.どんな手段に出るのでしょう。
<試訳> 「ルージンは蒼ざめて、憎しみに歪んだ顔つきで数秒間ラスコーリニコフを見つめ、それからくるりと背を向けて出て行った。この男が今ラスコーリニコフに対して抱いたような、これほど敵意に満ちた憎悪を抱いて誰かと別れた者はめったにいない。ルージンは全てを、ラスコーリニコフ、彼一人だけのせいにした。もう階段を降りながら、依然として事態はまだ全く壊れたわけじゃなく、二人の女性に関する限り “ 大いに、大いに ” 修復可能でさえある、と彼が考えていたのは注目に値する。
・ あれほど皆から拒絶の言葉を受けながら、まだ回復の見込みがあると考えているルージンの自信と執念に驚きます。彼はプリヘーリヤとドゥーニャなら何とかなると思っているのです。.どんな手段に出るのでしょう。
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