子供達が子供でいられない ― 2025-04-01
≪Неужели не видала ты здесь детей, по углам, которых матери милостыню высылают просить? Я узнавал, где живут эти матери и в какой обстановке. Там детям нельзя оставаться детьми. Там семилетний развратен и вор. А ведь дети - образ Христов: "Сих есть царствие божие". Он велел их чтить и любить, они будущее человечество...≫
<試訳> 「君はこの辺の街角で、母親に物乞いに出されている子供達を見た事がないのか? 僕はそんな母親達がどこに住んで、どんな状況にあるかよく知っている。そんな所じゃ、子供達が子供でいられないんだ。そこでは7才で淫蕩にそまり、泥棒にもなる。ところが子供はキリストの化身で、“ 天国は彼等のものなり ” じゃないか。彼は子供達を尊び愛せよと命じた、彼等は未来の人類なんだ…」
・ ラスコーリニコフはカテリーナと子供達の事に関連して、社会の底辺で貧困に喘ぐ母と子の悲惨さを語ります。子供達を尊重するべきだと、聖句を口にします。あのような凶事を犯した人間の言える事か、それこそ大問題です。
<試訳> 「君はこの辺の街角で、母親に物乞いに出されている子供達を見た事がないのか? 僕はそんな母親達がどこに住んで、どんな状況にあるかよく知っている。そんな所じゃ、子供達が子供でいられないんだ。そこでは7才で淫蕩にそまり、泥棒にもなる。ところが子供はキリストの化身で、“ 天国は彼等のものなり ” じゃないか。彼は子供達を尊び愛せよと命じた、彼等は未来の人類なんだ…」
・ ラスコーリニコフはカテリーナと子供達の事に関連して、社会の底辺で貧困に喘ぐ母と子の悲惨さを語ります。子供達を尊重するべきだと、聖句を口にします。あのような凶事を犯した人間の言える事か、それこそ大問題です。
苦悩を我が身に担うのさ ― 2025-04-02
≪- Что же, что же делать? - истерически плача и ломая руки повторяла Соня.
- Что делать? Сломать, что надо, раз навсегда, да и только; и страдание взять на себя! Что? Не понимаешь? После поймёшь... Свободу и власть, а главное власть! Над всею дроржащею тварью и над всем муравейником!..≫
<試訳> 「いったいどうしたら、どうしたらいいのです?」 ヒステリックに泣きながら、手を握り合わせてソーニャが繰り返した。
「どうしたらだって? 壊すべきものを、一気にぶち壊す、それだけさ。そして苦悩を我が身に担うのさ! 何? 分からない? いずれ分かる… 。自由と権力、重要なのは権力だ! 全ての恐れおののく生き物、そしてあらゆる蟻塚を支配する力だ!…」
・ ソーニャの問いに対するラスコーリニコフの答えは抽象的で大袈裟です。彼女に向けての助言とはほど遠く、行き場を失った彼自身を奮い立たせるための叫びに聞こえます。
- Что делать? Сломать, что надо, раз навсегда, да и только; и страдание взять на себя! Что? Не понимаешь? После поймёшь... Свободу и власть, а главное власть! Над всею дроржащею тварью и над всем муравейником!..≫
<試訳> 「いったいどうしたら、どうしたらいいのです?」 ヒステリックに泣きながら、手を握り合わせてソーニャが繰り返した。
「どうしたらだって? 壊すべきものを、一気にぶち壊す、それだけさ。そして苦悩を我が身に担うのさ! 何? 分からない? いずれ分かる… 。自由と権力、重要なのは権力だ! 全ての恐れおののく生き物、そしてあらゆる蟻塚を支配する力だ!…」
・ ソーニャの問いに対するラスコーリニコフの答えは抽象的で大袈裟です。彼女に向けての助言とはほど遠く、行き場を失った彼自身を奮い立たせるための叫びに聞こえます。
君と話すのは最後かも知れない ― 2025-04-03
≪Вот цель! Помни это! Это моё тебе напутствие! Может, я с тобой в последний раз говорю. Если не приду завтра, услышишь про всё сама, и тогда припомни эти теперешние слова. И когда-нибудь, потом, через годы, с жизнию, может, и поймёшь, что они значили. Если же приду завтра, то скажу тебе, кто убил Лизавеьту. Порощай!
Соня вся вздрогнула от испуга.≫
<試訳> 「これが目的なんだ! 覚えておくんだよ! これが君へのはなむけの言葉だ!もしかすると、君と話すのは最後かも知れない。もし明日来なかったら、何もかも君自身が聞くことになるだろう。その時今言った言葉を思い出してくれ。そして何年か後、生活を重ねたいつの日か、この言葉の意味が分かるかも知れない。もしあす来られたら、誰がリザベータを殺したのかを、君に教えよう。さよならだ!」
ソーニャは驚いて全身を震わせた。
・ “ もし明日来なかったら ” とか、“ 明日来られたら ” と言っているのは、ラスコーリニコフが当局に捕縛されるのが近い事を覚悟しているからでしょう。既に家族とも別れてきました。彼は納得のいく説明もないまま、不可解な言葉を連ねてソーニャにも別れを告げます。
Соня вся вздрогнула от испуга.≫
<試訳> 「これが目的なんだ! 覚えておくんだよ! これが君へのはなむけの言葉だ!もしかすると、君と話すのは最後かも知れない。もし明日来なかったら、何もかも君自身が聞くことになるだろう。その時今言った言葉を思い出してくれ。そして何年か後、生活を重ねたいつの日か、この言葉の意味が分かるかも知れない。もしあす来られたら、誰がリザベータを殺したのかを、君に教えよう。さよならだ!」
ソーニャは驚いて全身を震わせた。
・ “ もし明日来なかったら ” とか、“ 明日来られたら ” と言っているのは、ラスコーリニコフが当局に捕縛されるのが近い事を覚悟しているからでしょう。既に家族とも別れてきました。彼は納得のいく説明もないまま、不可解な言葉を連ねてソーニャにも別れを告げます。
前から君を選んでいた ― 2025-04-04
≪- Да разве вы знаете, кто убил? - спросила она, леденея от ужаса и дико смотря на него.
- Знаю и скажу... Тебе, одной тебе! Я тебя выбрал. Я не прощения приду просить к тебе, я просто скажу. Я тебя давно выбрал, чтоб это сказать тебе, ещё тогда, когда отец про тебя говорил и когда Лизавета была жива, я это подумал. Порощай. Руки не давай. Завтра!≫
<試訳> 「じゃあ、あなたは知ってるんですの、誰が殺したか?」 ソーニャは恐怖で息が止まりそうになり、恐る恐るラスコーリニコフを見つめながら尋ねた。
「知っているから言うんだ…。君に、君だけに! 僕は君を選んだ。僕は君に許しを請いに来るんじゃなく、言いに来るだけだよ。僕はこの事を話す相手として、前から君を選んでいた。まだ君のお父さんが君の事を話していた時から、リザベータが生きていた時からそう考えていたのさ。さようなら。握手は要らない。じゃあ明日!
・ ソーニャの父マルメラードフは、困窮する家庭の状況でソーニャが犠牲となって身を売って一家を支える事になった経緯を語りました。ラスコーリニコフはその時すでに彼女の事を深く心に刻んでいたのです。そして今、自分の犯行を告白する相手としてソーニャを選んだのです。
- Знаю и скажу... Тебе, одной тебе! Я тебя выбрал. Я не прощения приду просить к тебе, я просто скажу. Я тебя давно выбрал, чтоб это сказать тебе, ещё тогда, когда отец про тебя говорил и когда Лизавета была жива, я это подумал. Порощай. Руки не давай. Завтра!≫
<試訳> 「じゃあ、あなたは知ってるんですの、誰が殺したか?」 ソーニャは恐怖で息が止まりそうになり、恐る恐るラスコーリニコフを見つめながら尋ねた。
「知っているから言うんだ…。君に、君だけに! 僕は君を選んだ。僕は君に許しを請いに来るんじゃなく、言いに来るだけだよ。僕はこの事を話す相手として、前から君を選んでいた。まだ君のお父さんが君の事を話していた時から、リザベータが生きていた時からそう考えていたのさ。さようなら。握手は要らない。じゃあ明日!
・ ソーニャの父マルメラードフは、困窮する家庭の状況でソーニャが犠牲となって身を売って一家を支える事になった経緯を語りました。ラスコーリニコフはその時すでに彼女の事を深く心に刻んでいたのです。そして今、自分の犯行を告白する相手としてソーニャを選んだのです。
あの言葉はどんな意味かしら ― 2025-04-05
≪Он вышел. Соня смотрела на него как на помешанного; но она и сама была как безумная и чувствовала это. Голова у ней кружилась. "Господи! как он згнает, кто убил Лизавену? Что значили эти слова? Страшно это!" Но в то же время мысль не приходила ей в голову. Никак! Никак!... ≫
<試訳> ラスコーリニコフは出て行った。ソーニャは気のふれた人でも見るように彼を見送った。だが、彼女自身も正気を失ったかのようで、それを感じていた。頭がくらくらした。“ ああ!どうしてあの人はリザベータを殺した人を知ってるのだろう? あの言葉はどんな意味かしら? 恐ろしい事だわ!” けれども、この時彼女の頭に、もしや、という考えは思い浮かばなかった。決して! 決して!…
・ リザベータはソーニャと共に聖書を読み合っていた仲です。誰が彼女を殺したかを明日教えると言ったラスコーリニコフの言葉がソーニャに衝撃を与えます。疑問は何度も、何度も襲ってくることでしょう。ラスコーリニコフへの疑念は全くありません。
<試訳> ラスコーリニコフは出て行った。ソーニャは気のふれた人でも見るように彼を見送った。だが、彼女自身も正気を失ったかのようで、それを感じていた。頭がくらくらした。“ ああ!どうしてあの人はリザベータを殺した人を知ってるのだろう? あの言葉はどんな意味かしら? 恐ろしい事だわ!” けれども、この時彼女の頭に、もしや、という考えは思い浮かばなかった。決して! 決して!…
・ リザベータはソーニャと共に聖書を読み合っていた仲です。誰が彼女を殺したかを明日教えると言ったラスコーリニコフの言葉がソーニャに衝撃を与えます。疑問は何度も、何度も襲ってくることでしょう。ラスコーリニコフへの疑念は全くありません。
あの人は恐ろしいほど不幸なんだわ ― 2025-04-06
≪"О, он должен быть ужасно несчастен!.. Он бросил мать и сестру. Зачем? Что было? И что у него в намерениях? Что это он ей говорил? Он ей поцеловал ногу и говорил... говорил (да, он ясно это сказал), что без неё уже жить не может... О господи!"≫
<試訳> “ ああ、あの人は恐ろしいほど不幸なんだわ!…。お母様と妹さんを捨てたんですもの。どうして? 何があったの? 何を目論んでいるのかしら? あの人が言った意味は何かしら? 足に接吻して言ったわ… (そう、はっきりと、こう言った) 私なしにはもう生きていけないと…。ああ、どうしよう!”
・ ラスコーリニコフが出て行った後、ソーニャはあらためて彼の言った事を反芻します。けれども彼の曖昧な言い方では意図が分かりません。実際には重大な事実が隠れているわけです。その事実を、明日彼女に語るでしょうか。
<試訳> “ ああ、あの人は恐ろしいほど不幸なんだわ!…。お母様と妹さんを捨てたんですもの。どうして? 何があったの? 何を目論んでいるのかしら? あの人が言った意味は何かしら? 足に接吻して言ったわ… (そう、はっきりと、こう言った) 私なしにはもう生きていけないと…。ああ、どうしよう!”
・ ラスコーリニコフが出て行った後、ソーニャはあらためて彼の言った事を反芻します。けれども彼の曖昧な言い方では意図が分かりません。実際には重大な事実が隠れているわけです。その事実を、明日彼女に語るでしょうか。
燃えるような目をした彼を ― 2025-04-07
≪В лихорадке и в бреду провела всю. ночь Соня. Она вскакивала иногда, плакала, руки ломала, то забывалась опять лихорадочным сном, и ей снились Полечка, Катерина Ивановна Лизавета, чтение Евангелия и он... он, с его бледным лицом, с горящими глазами... Он целует ей ноги плачет... О господи!≫
<試訳> ソーニャは一晩中熱に浮かされ、うなされて過ごした。彼女は時折跳ね起き、泣いたり手を揉みしだいたりしたかと思うと、再び熱に浮かされて眠りに落ちて前後を忘れた。そしてポーレチカや、カテリーナや、リザベータや、聖福音書の朗読、そしてラスコーリニコフの夢を見た… 蒼ざめた顔をした、燃えるような目をした彼を…。 彼は彼女の足に接吻して泣いている…。おお、神よ!
・ ラスコーリニコフがソーニャの心をかき乱してしまいました。それほど彼の言動が彼女に強い印象を与えたのです。問い詰められるままに、我が身の境涯も語りました。彼の厳しい言葉の裏に、彼女をそこまで追いやった状況への憤懣と、そして彼女への憐れみを感じます。
<試訳> ソーニャは一晩中熱に浮かされ、うなされて過ごした。彼女は時折跳ね起き、泣いたり手を揉みしだいたりしたかと思うと、再び熱に浮かされて眠りに落ちて前後を忘れた。そしてポーレチカや、カテリーナや、リザベータや、聖福音書の朗読、そしてラスコーリニコフの夢を見た… 蒼ざめた顔をした、燃えるような目をした彼を…。 彼は彼女の足に接吻して泣いている…。おお、神よ!
・ ラスコーリニコフがソーニャの心をかき乱してしまいました。それほど彼の言動が彼女に強い印象を与えたのです。問い詰められるままに、我が身の境涯も語りました。彼の厳しい言葉の裏に、彼女をそこまで追いやった状況への憤懣と、そして彼女への憐れみを感じます。
空部屋が賃しに出されて ― 2025-04-08
≪За дверью справа, за тою сасмою дверью, которая отделяла квартиру Сони то квартиры Гертруды Карловны Ресслих, была комната промежуточная, давно уже пустая, принадлежавшая к квартире госпожи Ресслих и отдававшаяся от неё внаём, о чём и выставлены были ярлычки на воротах и наклеены бумажечки на стеклах окон, выходивщих на канаву.≫
<試訳> 右手のドアの向こう側、ソーニャの部屋とレスリッヒ夫人の住まいを隔てている戸の向こう側には、中間に以前から空部屋があって、やはりレスリッヒ夫人の所有なのだが、それが賃しに出されていて、その広告が門口や堀割に向いた窓ガラスに貼られていた。
・ 女性が職に就くのがまだ一般的でなかった時代、間貸しで糧を得るのは珍しくなかったようです。ラスコーリニコフや、カテリーナの住まいも女主人のものです。
<試訳> 右手のドアの向こう側、ソーニャの部屋とレスリッヒ夫人の住まいを隔てている戸の向こう側には、中間に以前から空部屋があって、やはりレスリッヒ夫人の所有なのだが、それが賃しに出されていて、その広告が門口や堀割に向いた窓ガラスに貼られていた。
・ 女性が職に就くのがまだ一般的でなかった時代、間貸しで糧を得るのは珍しくなかったようです。ラスコーリニコフや、カテリーナの住まいも女主人のものです。
息をひそめて盗み聞きしていた ― 2025-04-09
≪Соня издавна привыкла считать эту комнату необитаемою. А между тем, всё это время, у двери в пустой комнате простоял господин Свидригайлов и, притаившиль, подслушивал. Когда Раскольников вышел, он постоял, подумал, сходил на цыпочках в свою комнату, смежную с пустою комнатой, ≫
<試訳> ソーニャはずっと前からこの部屋には人が住んでいないと思い込んでいた。ところが実際には、最初からずっと、空き部屋の戸の傍にはスビドリガイロフが立って息をひそめて盗み聞きしていた。ラスコーリニコフが出て行くと、彼はしばしその場に佇んで思案し、やがて、空き部屋と隣り合った自分の部屋へと爪先立ちで離れた。
・ ラスコーリニコフとソーニャの会話の一部始終を、隣室でスビドリガイロフが聞いていたのです。二人の状況を知った彼が、どの様な行動に出るのか不気味な感じです。個性の強い彼の登場で複雑な展開になりそうです。
<試訳> ソーニャはずっと前からこの部屋には人が住んでいないと思い込んでいた。ところが実際には、最初からずっと、空き部屋の戸の傍にはスビドリガイロフが立って息をひそめて盗み聞きしていた。ラスコーリニコフが出て行くと、彼はしばしその場に佇んで思案し、やがて、空き部屋と隣り合った自分の部屋へと爪先立ちで離れた。
・ ラスコーリニコフとソーニャの会話の一部始終を、隣室でスビドリガイロフが聞いていたのです。二人の状況を知った彼が、どの様な行動に出るのか不気味な感じです。個性の強い彼の登場で複雑な展開になりそうです。
より快適に陣取るため ― 2025-04-10
≪достал стул и неслышно принёс его к самым дверям, ведущим в комнату Сони. Разговор показался ему занимательным и знаменательным, и очень, очень понравился, - до того понравился, что он и стул перенёс, чтобы на будущее время, хоть завтра например, не подвергаться опять неприятности прстоять целый час на ногах, а устроиться покомфортнее, чтоб уж во всех отношениях получить полное удовольствие.≫
<試訳> 椅子を取り出して、音を立てずにソーニャの部屋に通じる戸の方へそれを持ってきた。会話が彼には興味深くて特別な意味があり、非常に面白かった。なにしろ椅子を持ってくるほど面白かったのだ。それは次の時、例えば明日にでも、まる1時間もまた立ったままの不愉快さを避けて、より快適に陣取るためだったし、あらゆる点から十分な満足を得るためだった。
・ スビドリガイロフは盗み聞きの機会がまたあると考えて椅子までセットします。ラスコーリニコフが “ 来られたら、また明日来る… 誰がリザベータを殺したかを教える ” と言っていたのも聞き逃さなかったのでしょう。
<試訳> 椅子を取り出して、音を立てずにソーニャの部屋に通じる戸の方へそれを持ってきた。会話が彼には興味深くて特別な意味があり、非常に面白かった。なにしろ椅子を持ってくるほど面白かったのだ。それは次の時、例えば明日にでも、まる1時間もまた立ったままの不愉快さを避けて、より快適に陣取るためだったし、あらゆる点から十分な満足を得るためだった。
・ スビドリガイロフは盗み聞きの機会がまたあると考えて椅子までセットします。ラスコーリニコフが “ 来られたら、また明日来る… 誰がリザベータを殺したかを教える ” と言っていたのも聞き逃さなかったのでしょう。










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