殺すかも知れないよ2013-09-06

 ≪"Я ведь не знаю, не знаю", сказал он тогда; "может не убью, а может убью. Боюсь, что ненавистен он вдруг мне станет "своим лицом в ту самую минуту". Ненавижу я его кадык, его нос, его глаза, его бесстыжую насмешку. Личное омерзение чувствую. Вот этого боюсь, вот и не удержусь..."
Личное омерзение нарастало нестерпимо. Митя уже помнил себя и вдруг выхватил медный пестик из кармана...
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<試訳> “ 僕は本当に分らない、分らないんだよ ”、ミーチャはその時言ったのだった。“ もしかしたら殺さないかも知れないし、殺すかも知れないよ。親父が 『いざというその時に自分の顔でもって』 突然僕を憎悪に駆り立てやしないか心配なのさ。憎らしくて堪らないんだ、あいつののど仏、あいつの鼻、あいつの目、あいつの下劣な嘲笑がね。顔付へのひどい嫌悪を感じるんだ。気掛かりなのはそれだよ、踏み止まれそうにないしな・・・”
その顔付への嫌悪の情が耐え難いほどにつのった。ミーチャはもはや我を忘れ、不意にポケットから銅の杵を掴み出した・・・。
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・ この長編小説の展開の頂となる場面です。文末の点線が意味ありげで、作者の意図に誘われるように想像をかきたてられます。
小林秀雄は、“ 作者はここで筆を止め、棒線をひいた ” (ドストエフスキーの生活より)と書いて論じています。

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