お前は誤解してるんだよ2010-10-20

≪- Ты ошибся, мой добрый Алёша, - проговорил он с выражением лица, которого никогда ещё Алёша у него не видел, - с выражением какой-то молодой искренность и сильно неудержимо откровенного чувства: - никогда Катерина Ивановна не любила меня! Она знала всё время, что я её люблю, хоть я и никогда не говорил ей не слова о моей любви, - знала, но меня не любила.≫

<試訳> 「お前は誤解してるんだよ、僕の優しいアリョーシャ」 これまでアリョーシャが見た事もない表情を顔に浮かべて彼は言った。それは何か若々しい誠実さと、抑えがたいほど激しい率直な気持ちのこもった表情だった。「一度だってカテリーナは僕を愛した事なんかないんだ!僕が愛しているのをこの人はずっと知っていたのさ、僕は一度も片言も僕の愛を口に出さなかったけど、知っていて僕を愛しはしなかったんだよ」

・ イワンが立ち去ろうとしつつ率直に自分の気持ちをアリョーシャに語ります。なかなか感情を表す事のない彼が、めずらしくカテリーナを愛していた事を明かします。それはアリョーシャの言った通りなのですが、彼女がイワンを愛していないというのは意外です。「誤解している」とアリョーシャを諫めますが、アリョーシャが二人を結びつけようとした必死さに「僕の優しい・・・」と親しく呼びかけ、素直に打ち明ける気になったのです。アリョーシャがいることで真実が明らかになったとも言えるでしょう。でも、どちらが事実なのかはまだ分かりません。
複雑な心理劇の展開に作者の筆力を見せつけられます。ドストエフスキーは実存主義の系譜に入れられたり、心理学に影響を与えたと言われています。文学の世界に限らず広い分野で汲みつくせない深さを持っているのだと思います。