遺産に関する父との諍い2018-10-04

 ≪Там он служит, там и кутит, и конещно - большому кораблю большое и плавание. Нам надо средств-с, средств прежде всего, и вот, после долгих споров, порешено у него с отцом на последних шести тысячах рублях, и их ему высылают. Заметьте, он выдал документ и, существует письмо его, в котором он от остального почти отрекается и этими шестью тысячами препирание с отцом по наследству оканчивает.≫

<試訳> その地で彼は勤務し、そこで派手に飲み食いもしました。もちろん、大型船にとっては航海も大きいわけです。彼には資金が必要になります、何にも増してまずは資金です。そこで、長い争いの末に、彼は父親と最後の6千ルーブルで決着し、その金が彼に送られました。記憶に留めるべきは、彼が証文を渡している事です。残額をほとんど放棄し、この6千ルーブルをもって遺産に関する父との諍いにけりをつけるという書面が存在しているのです。

・ 母の遺産を巡るドミートリィと父の諍いは決着しているというのが検事の立場です。しかし、ドミートリィは父が勘定をごまかしたと言って争っています。もとはと言えば彼の浪費癖が問題で、金銭感覚が麻痺している様子は、モークロエでの酒宴での散財でも明らかです。自ら働いて糧を得る苦労を知らずにやってきたからでしょう。チェーホフの「桜の園」に、地主貴族が時代の変化に対応できずに没落していく姿が描かれていますが、そこへつながる感じがします。