パリの公安刑事の考え(2)2010-01-09

ミウソフは続ける。

≪Но есть из них, хотя и немного, несколько особенных людей: это в бога верующие и христиане, а в то же время и социалисты. Вот этих-то мы больше всех опасаемся, это странный народ! Социалист-христианин страшнее социалиста-безбожника.≫

<試訳> だが、彼らの中に少ないとは言え特別な奴らがいるのだ。それは神を信仰するキリスト者であり同時に社会主義者でもあるという輩だ。この奇妙な奴らこそが我々が何より恐れるものなのだ。キリスト者社会主義者は無神論社会主義者より恐ろしいのだ。

150年ほど前の西欧の思想状況が反映しています。「悪霊」などに見られるように作者は当時の社会主義に関心があったのだと思います。皇帝制の陰りの時代、宗教と新思潮の社会主義の関係を深く考えたのではないでしょうか。パリのこの刑事の恐れは年を経てロシアで現実のものになります。伝統あるロシア正教の国で社会主義革命が実現するのですから。

コメント

_ gieyon ― 2010-01-10 22:19


この公安刑事の告白には心騒ぐものがあります。私たちが目ざすべきものを示唆しているからでしょうか。前段で、無神論者の社会主義を『神なしで構築するバビロンの塔』と喩えた作者の答えのようです。

_ mir→gieyon ― 2010-01-10 22:45

バビロンの塔との関連には思い至りませんでした。確かにそうだと思います。革命後の社会主義体制下では宗教は相反するものとされましたが、現代において、新たな次元で人間の精神性と政治体制が統合されて、平和で豊かな社会の実現の可能性を信じたいです。

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