イワンと長老の奇妙な問答2010-01-12

内心の苦悩を鋭く指摘する長老と、イワンの問答が続く。

≪В вас этот вопрос не решен и в этом ваше великое горе, ибо ностоятельно требует разрешения... -- А может ли быть он во мне решен? Решен в сторону полжительную? – продолжал странно спрашивать Иван Фёдорович, всё с какою-то не объяснимою улыбкой смотря на старца.≫

<試訳> あなたの中でこの問題は解決されておらず、このことがあなたの大きな哀しみとなっている。なぜならしつこく解決を求めるものですからな。一体、その問題は私に解決ができるものでしょうか? 肯定的方向で解決が?とイワンはずっと何か説明しがたい微笑を浮かべて長老を見つめながら長老に奇妙な問いを続けた。

自分の論理を披露して自信に満ちていたイワンですが、長老に内心の葛藤を見抜かれて、問いを発して答えを求めようとします。周囲の参会者にはこの問答の意味は不可解なものだったでしょう。論理的思考に価値を求めるイワンと慧眼なゾシマ長老との息詰まるようなやりとりの雰囲気を感じてしまいます。

コメント

_ gieyon ― 2010-01-12 21:59

ゾシマ長老こそ、イワンの苦しみを真に理解した人ではないでしょうか。イワンを追及するのではなく、いたわりをこめて話しているように思いました。

_ mir→gieyon ― 2010-01-13 09:32

同感です。苦悩する人に接し、長老はその苦しみの根源を見抜いて、聖書の言葉や神について声高に話すのではなく寄り添って共に悩みを分かちます。苦しみを突き抜けた人の持つ思索の力なのでしょう。

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