もちろん幻想さ2011-06-23

 ≪- Да стой, стой,- смеялся Иван, - как ты разгорячился. Фантазия, говоришь ты, пусть! Конечно фантазия. Но позволь однако: неужели ты в самом деле думаешь, что всё это католическое движение последних веков есть и в самом деле одно лишь желание власти для одних только грязных благ.≫

<試訳> 「まあ、待て、待て」イワンは笑った。「いやに熱くなったな。幻想か、お前はそう言うが、まあそれでもいい!もちろん幻想さ。では聞くが、お前はこのところ何世紀かのカトリックの運動の全てが、ただ汚れた幸福のための権力への志向に過ぎなかったと本当に思っているのか」

・ アリョーシャの指摘に対し、イワンは確かに大審問官はあり得ない存在だと認めます。でも彼はその幻想の人物を通してキリストの気高さと人間の愚かしさを浮かび上がらせています。そしてさらに続くイワンの説明から、当初は権力の権化という印象だった大審問官が、実は多数の人々を救うために敢えて心を翻した苦悩の人でもあるということを知り、作者の並々ならない思考の深さを感じます。

コメント

_ 慎之介 ― 2011-06-24 09:38

単純にイワンがキリストと思われる男に話させると考えていましたが、そうはならず裏の裏をかかれた感じで、ため息が出てしまいました。

_ mir→慎之介さん ― 2011-06-24 10:31

登場した主役級の人物がひと言も語らないという劇があるでしょうか。それでいて多くの事を語っているのですから、すごいとしか言いようがありません。キリストのこの沈黙の意味を自分なりにいろいろ考えてみています。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
この小説が書かれた国の名をカタカナ3文字でご記入下さい。

コメント:

トラックバック