自由だ、自由なんだ2021-02-13

 ≪Точно нарыв на сердце его, нарывавший весь месяц, вдруг прорвался. Свобода, свобода! Он свободен теперь от этих чар, от колдовства, обаяния, от наваждения!
Впоследствии, когда он припоминал это время и всё, что случилось с ним в эти дни, минуту за минутой, пункт за пунктом, черту за чертой, его до суеверия поражало всегда одно обстоятельство, хотя в сущности и не очень необычайное, но которое постоянно казалось ему потом как бы каким-то предопределением судьбы его.≫

<試訳> まるひと月も膿んで腫れた心の腫物が突然つぶれたようだった。自由だ、自由なんだ! 彼は諸々の魔力から、妖術から、幻惑から、悪魔の誘惑から今や自由になったのだ!
後になって、この数日間に彼の身に起こった事を、分刻みに、一点一画を全て思い起した時、いつも一つの出来事に迷信じみた衝撃を受けるのだった。それは実際には異常なものでもなかったのに、後になってみると何かしら運命の予言のように思われた。

・ 彼の心の霧が晴れたような不思議な瞬間です。ネヴァ河の美しい夕映えがもたらしたのかも知れません。胸を騒がす事が次々に起こるので、“ 一つの出来事 ” がその中の何を指すのか不明です。
“ 後日 ” とか “ 後になって ” の表現が良く使われますが、他の作品を読んだ印象では数日後でも数か月後でもなく、強いて言えばエピローグの様に思われます。

コメント

_ 伯 ― 2021-02-13 09:43

本当に自由になったのでしょうか?ブログに目がいってから自由をしみじみ考えました。様々な立場、状況から人々は自由をなくし組織・社会の中で体制(意図あるものから作られてしまった)の流れに流されていくような、、、、これの繰り返しの気がしています。ラスコー君が道を探り当ててくれたらうれしい。

_ mir→伯さん ― 2021-02-14 13:27

彼の状況や性格を考えると、すぐには変われないかも知れません。でも悠然と流れるネヴァ河に映える落日の神々しさに、苦悩が解き放たれて自由を感じたのでしょう。それが束の間の事でないのを願うのですが…。自然の美しさや雄大さにはそんな力がありますね。かつてその中で暮らしていた記憶が蘇るのでしょうか。
「カラマーゾフの兄弟」の中で、アリョーシャが同じように自然の神秘に心打たれる描写がありました。好きな場面です。
≪… 感激に満ちた彼の心が、自由と場所と広がりを渇望していた。静かに輝く星に満ちた天空が果てしなく広がって彼の頭上を覆っている。まだおぼろげな天の川が天頂から地平まで二筋に分かれている。清々しい静かな夜が凍りついたように大地を包み…≫
私達もこの閉塞感のある社会に組み込まれて自由とは言えませんが、それを求め続けたいものです。

_ 伯 ― 2021-02-14 18:11

現住所に引っ越してまもなく、大きな彗星と遇うことが出来たことを思い出しました。午前2時から3時毎夜目覚ましで起きては北東の空を見ました。幸い素晴らしい箒星を見ることができたのです。一人で見ているのがもったいない、自分がとても小さく感じたものです。アリョーシャが見たあの空、この冬なかなか見られません。晴れた夜は月が煌煌と、、、、月のない夜は雲が、、、、。宇宙開発は好きではありません。夜空の星をボーっと見ているのは好きです。

_ mir→伯さん ― 2021-02-15 10:53

微かに尾を引く彗星を想像します。美しい体験ですね。アリョーシャの見た空と確かに繋がっています。昔の人は彗星を畏怖の念をもって眺めたでしょうね。中学の頃、山でキャンプした時に仰ぎ見た、漆黒の空から降る様な満点の星を思い出しました。その荘厳な印象が時を経ても鮮やかで、自分がそこから来てそこに帰る様な不思議な感慨を忘れません。いつも夜空を眺められるのは羨ましいです。ショパンの夜想曲がぴったりですね。

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