鳥に似たものだった ― 2018-01-21
≪На вид ему было лет сорок. Лицо его было бы и приятным, если бы не глаза его, сами по себе небольшие и невыразительные, но до редкости близко один от другого поставленные, так что их разделяла всего только одна тонкая косточка его продолговатого тонкого носа. Словом, физиономия эта имела в себе что-то резко птичье, что поражало.≫
<試訳> 見たところ弁護士は40歳前後だった。彼の目そのものは小さく特徴はなかったのだが、稀なほど両目が近い位置にあり、細長い鼻梁がやっとそれらを分けていた具合で、目がこのようでなければ彼の顔は感じの良いものだったろう。端的に言うと、この風貌は驚くほど何かひどく鳥に似たものだった。
・ 作者は弁護士の顔のデッサン画を描くように、細部を浮かび上がらせます。映画監督ならこの描写を参考に弁護士役をキャスティングするでしょう。それにしても、これだけ多くの登場人物の一人一人の容貌や性格を、鮮やかに描き分ける文の力にあらためて驚きます。
<試訳> 見たところ弁護士は40歳前後だった。彼の目そのものは小さく特徴はなかったのだが、稀なほど両目が近い位置にあり、細長い鼻梁がやっとそれらを分けていた具合で、目がこのようでなければ彼の顔は感じの良いものだったろう。端的に言うと、この風貌は驚くほど何かひどく鳥に似たものだった。
・ 作者は弁護士の顔のデッサン画を描くように、細部を浮かび上がらせます。映画監督ならこの描写を参考に弁護士役をキャスティングするでしょう。それにしても、これだけ多くの登場人物の一人一人の容貌や性格を、鮮やかに描き分ける文の力にあらためて驚きます。
コメント
_ mir→Rさん ― 2018-01-21 11:16
いわゆる青空文庫にロシア語のドストエフスキーライブラリーのサイトがあり、この作品を選んでA4に整形してプリントしたものを数行ずつ訳しています。稀に誤植があって気づかずに苦労します。その時は2分冊の小型の原書で確認しますが、じつはこれにもかなりの落丁がある事が判明しびっくり。20年ほど前にナウカで買ったものです。それで最近手前の1冊ものを買いました。それで見ると、エピローグまで残り少ない感じです。辞書は岩波と研究社、どうしても辞書にない単語はロシアのweb辞書、露露、露英を利用します。今後ともよろしくお願いします。
_ 慎之介 ― 2018-01-21 13:35
目の位置、おまけに鼻のおかげで目がふたつになっているとばかりの描写、私には大きなお世話ほっといて、、、と言った感じですが、そうも行かないのが作者の思いなのでしょう
_ mir→慎之介さん ― 2018-01-21 14:54
試みに人の顔を思い出そうとしても、残っているのは漠然とした印象だけ、私はほとんど意識せずに生活しています。作者は人間の全て、内面だけではなく外面をも詳しく表現しますが、特にこの箇所では弁護士の風貌を伝える必要があると考えたのでしょう。鋭敏な観察眼と表現力があるからこそできる事です。
_ 慎之介 ― 2018-01-22 09:13
訳をされる中でのこと、緻密なご苦労のあるのがわかりました。翻訳本を読む時、古くて名作といわれるものほど、難しいものと心して読むようにします。
_ R ― 2018-01-28 13:05
青空文庫と原書のハイブリッドなんですね。青空文庫の誤植は、フィードバックすると完成度に貢献して恩返しできますね。
小型の原書は、装丁からはカラマーゾフの兄弟とわかりませんでした。でも、よくよく眺めるとそうなのですね。では、雑誌連載や初版はどんな本だったのかと思いを馳せます。
ご愛用の辞書は、使い込まれた味がありますね。web辞書も七つ道具なのですね。ご紹介ありがとうございました。
小型の原書は、装丁からはカラマーゾフの兄弟とわかりませんでした。でも、よくよく眺めるとそうなのですね。では、雑誌連載や初版はどんな本だったのかと思いを馳せます。
ご愛用の辞書は、使い込まれた味がありますね。web辞書も七つ道具なのですね。ご紹介ありがとうございました。
_ mir→Rさん ― 2018-01-28 13:46
フィードバックまでは考え及びませんでした、ありがとうございます。
俗語や廃語の可能性もあるので(結構使われています)、誤植と気付かずにさんざん調べた末に 「なんだ、そうだったのか」 と、やっと前に進みます。自分の語彙の少なさを思い知らされます。
俗語や廃語の可能性もあるので(結構使われています)、誤植と気付かずにさんざん調べた末に 「なんだ、そうだったのか」 と、やっと前に進みます。自分の語彙の少なさを思い知らされます。
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