もちろん幻想さ2011-06-23

 ≪- Да стой, стой,- смеялся Иван, - как ты разгорячился. Фантазия, говоришь ты, пусть! Конечно фантазия. Но позволь однако: неужели ты в самом деле думаешь, что всё это католическое движение последних веков есть и в самом деле одно лишь желание власти для одних только грязных благ.≫

<試訳> 「まあ、待て、待て」イワンは笑った。「いやに熱くなったな。幻想か、お前はそう言うが、まあそれでもいい!もちろん幻想さ。では聞くが、お前はこのところ何世紀かのカトリックの運動の全てが、ただ汚れた幸福のための権力への志向に過ぎなかったと本当に思っているのか」

・ アリョーシャの指摘に対し、イワンは確かに大審問官はあり得ない存在だと認めます。でも彼はその幻想の人物を通してキリストの気高さと人間の愚かしさを浮かび上がらせています。そしてさらに続くイワンの説明から、当初は権力の権化という印象だった大審問官が、実は多数の人々を救うために敢えて心を翻した苦悩の人でもあるということを知り、作者の並々ならない思考の深さを感じます。