密かに多くの善行を積んでいた2012-03-02

 ≪Был он в гроде нашем на службе давно, место занимал видное, человек был уважаемы всеми богатый, славился благотворительностью, пожертвовал значительный капитал на богадельню и сиротский дом, и много кроме того делал благодеяний тайно, без огласки, что всё потом по смерти его и обнаружилось.≫

<試訳> 彼は永くこの町で奉職し、重要な地位にあって皆に尊敬されていた裕福な人物でした。慈善家として知られ、かなり多額の資金を養老院や孤児院に寄付し、さらに、彼の死後に全て明らかになったのですが、匿名で他にも密かに多くの善行を積んでいたのです。

・ 夜会で近づいてきた紳士についての描写です。作者は新たな人物が登場する時にはこのように詳しく記してから本題に入る場合が多いようです。死期の迫る長老については、遅ればせながらこのように回想という形の挿入で数奇な生涯を伝えたのでしょう。因みに、作家ナボコフはこの回想記録の部分はこの小説にとって全く必要ないと言っています。