グルーシェンカがここに2010-05-14

人が走り回り怒声が飛び交い広間は混乱する

≪- Ату его! -заворил старик. - Караул!... Иван Фёдрович и Алёша догняли-таки старика и силою варотили в залу.
- Чего гонитесь за ними! Он вас и впрямь там убьёт! - гневно крикнул на отца Иван Фёдорович.
- Ваничка, Лёшечка, она стало быть здесь, Грушенька здесь, сам, говорит, видел, что пробежала... ≫

<試訳>「あいつをつかまえろ!」 老人はわめきだした。「助けてくれ!」 
イワンとアリョーシャは老人に追いつくとかまわずむりやり広間につれ戻した。
「なんであいつを追ったりするんです!あいつは本当にあなたを殺しますよ!」 イワンは父親のフョードルに怒りを含んで叫んだ。
「ワーニチカ、リョーセチカ、ということはあの女はここにいるんだ、グルーシェンカがここに、あいつが喋ってるんだから、あの女が駆け込むのを自分で見たってな・・・」

グルーシェンカをめぐるフョードルとドミートリィの争いが周囲を巻き込みます。彼女がここに来たんだと思い込み制止を振り切って部屋を探し回るドミートリィと、その後を追うフョードル。共に正気を失っている様子で、切迫した場面が容赦なく描かれます。精神の限界状態を体験した作者ならではと感じます。この場の6人の登場人物の位置関係の描写も興味深いです。

コメント

_ gieyon ― 2010-05-15 16:16

イワンは怒っていても、まだどこか皮肉な余裕(?)を持っていると思っていたので、ドミートリィを『あいつ』と呼ぶのに違和感がありました。
でも、『あいつ』と呼んで熱く親しい感情を見せるイワンもいいですね。

_ mir→gieyon ― 2010-05-15 16:35

確かにこれまでのイワンの態度からすると違和感があるかな、と考えさせられました。辞書的な訳としては「彼を、あの男を、あいつを、奴を」ですが、この場合は、父がドミートリィを「あいつ」と言うのと区別する意味も含めて、「どうして兄を追うんですか!兄に本当に殺されますよ!」がいいのかも知れません。ご指摘ありがとうございます。

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