井戸に唾するんじゃないよ2020-08-28

 ≪Настасья так и покатилась со смеху. Она была из смешливых и, когда рассмешат, смеялась неслышно, колыхаясь и трясясь всем телом, до тех пор, что самой тошно уж становилось.
- Денег-то много, что ль, надумал? - смогла она наконец выговорить.
- Без сапог нельзя детей учить. Да и наплевать.
- А ты в колодезь не плюй.≫

<試訳> ナスターシャは突然笑い転げた。彼女は笑い上戸だったので、一旦笑わせると全身を震わて揺らしながら、すっかり飽きるまで声も立てずに笑い続けるのだった。
「お金がたんまりできる事を考え出したってわけ?」 やっとのことで彼女はこう話す事ができた
「靴もなしに家庭教師に行けやしない。全く唾を吐きたいくらいさ」
「でもあんた、井戸に唾するんじゃないよ、いつか助けられる事もあるんだからね」

・ 笑い転げるナスターシャの明るさが、この狭く荒れた部屋とラスコーリニコフの鬱屈した心を今だけは照らしてくれます。
“ в колодезь не плюй ” は、“ Не плюй в колодезь, пригодится воды напиться ” ( 井戸に唾するな、いつかその水を飲む事もある ) という諺を前半だけ言ったのですが、( 他人に意地悪をするな、いつかその人に助けられる事もある ) の意味もあるので、彼女は言ってないのですが、この意味を後半に加えました。何か暗示的な響きがあります。

コメント

_ 伯 ― 2020-08-28 08:44

昔昔から人は痛烈な諺を何処の誰にでもわかることように残しています。そこが人の優しさ、厳しさに通じるのでしょう。宗教に関係なく納得できますから。

_ mir→伯さん ― 2020-08-29 08:32

諺にはしみじみと心に伝わるものがありますね。庶民の生活実感から生まれたものが多いからでしょうか。暮らしの知恵や、時には慰めが込められています。もっとも、“ 先んずれば人を制す ” と “ 急いては事を仕損じる ” のように、どんな場合にも当てはまるように、対の諺がちゃんと用意されているのも面白いところです。

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