頭を冷やし ― 2013-04-11
≪Двери растворили, отоворили окно, открыли трубу. Митя притащил из сеней ведро с водой, сперва намочил голову себе, а затем, найдя какую-то тряпку, окунул её в воду и приложил к голове Дягавого. Сторож же продолжал относиться ко всему событию как-то даже презрительно и, отворив окно, произнёс угрюмо: "ладно и так", и пошёл опять спать, оставив Мите зажжённый железный фонарь.≫
<試訳> 戸が開け放たれ、窓が開かれ、通風孔も開けられた。ミーチャは土間から水の入った桶を引っ提げてきてまず自分の頭を冷やし、それから布切れのようなものを見つけて水に浸しレガービィの頭に押しあてた。森番は侮蔑的な態度すら見せながら、あれこれと事態に対応し続けていた。そして窓を開け放し終えると、“ これで大丈夫でさ ” と不機嫌そうに口にすると、ミーチャに火をともしたカンテラを預けてまた寝に帰った。
・ 一酸化炭素騒ぎが一段落します。憎悪を感じていたのに、レガービィに何かあってはと恐れるドミートリィが彼の頭を冷やしてやる光景が滑稽です。
<試訳> 戸が開け放たれ、窓が開かれ、通風孔も開けられた。ミーチャは土間から水の入った桶を引っ提げてきてまず自分の頭を冷やし、それから布切れのようなものを見つけて水に浸しレガービィの頭に押しあてた。森番は侮蔑的な態度すら見せながら、あれこれと事態に対応し続けていた。そして窓を開け放し終えると、“ これで大丈夫でさ ” と不機嫌そうに口にすると、ミーチャに火をともしたカンテラを預けてまた寝に帰った。
・ 一酸化炭素騒ぎが一段落します。憎悪を感じていたのに、レガービィに何かあってはと恐れるドミートリィが彼の頭を冷やしてやる光景が滑稽です。
死んだように眠りこんだ ― 2013-04-12
≪Митя провозился с угоревшим пьяницей с полчаса, всё намачивая ему голову, и серьёзно уже намеревался не спать всю ночь, но измучившись присел как-то на одну минутку, чтобы перевести дух, и мгновенно закрыл глаза, затем тотчас же бессознательно протянулся на лавке и заснул как убитый.≫
<試訳> ミーチャは30分ほど一酸化炭素を吸った酔っ払いにかかりきりで、ずっと彼の頭を冷やし続け、こうなったら夜通し眠らずに過ごそうと真剣に思っていた。だが、へとへとに疲れてほんの1分ほど一息つこうと腰をおろし一瞬目をつぶると、途端に無意識のうちにベンチに身を伸ばして死んだように眠り込んでしまった。
・ 疲れ切ったドミートリィが一瞬のうちに眠りに落ちる状況が良く分ります。若い彼とは言え心身共に酷使し続けているのですから無理もありません。
<試訳> ミーチャは30分ほど一酸化炭素を吸った酔っ払いにかかりきりで、ずっと彼の頭を冷やし続け、こうなったら夜通し眠らずに過ごそうと真剣に思っていた。だが、へとへとに疲れてほんの1分ほど一息つこうと腰をおろし一瞬目をつぶると、途端に無意識のうちにベンチに身を伸ばして死んだように眠り込んでしまった。
・ 疲れ切ったドミートリィが一瞬のうちに眠りに落ちる状況が良く分ります。若い彼とは言え心身共に酷使し続けているのですから無理もありません。
またしても酒を飲み ― 2013-04-13
≪Проснулся он ужасно поздно. Было примерно уже часов девять утра. Солнце ярко сияло в два оконца избушки. вчерашний кудрявый мужик сидел на лавке, уже одетый в поддёвку. Пред ним стоял новый самовар и новый штоф. Старый вчерашний был уже допит, а новый пророжнен более чем на половину. Митя вскочил и мигом догадался, что проклятый мужик пьян опять, пьян глубоко и невозвратимо.≫
<試訳> ミーチャが目を覚ましたのはひどく遅かった。もうかれこれ朝の9時頃だった。太陽が輝いて部屋の二つの窓を明るく照らしていた。昨夜の縮れ毛の男がもう半外套を着てベンチに腰掛けていた。彼の前には新しいサモワールと新しいうウォッカ瓶があった。昨日のものはもう飲み尽くされていて、新しいのも半分以上空いていた。ミーチャは跳ね起き、忌々しい農民がまたしても酒を飲み、取り返しのつかないほどひどく酔っ払っている事に瞬時に気づいた。
・ 寝ずの番をしようと思いながら睡魔に襲われたドミートリィが寝過ごしてしまいます。既に深酒をしている相手にどう交渉するのでしょう。彼にとって困難な状況が続きます。
<試訳> ミーチャが目を覚ましたのはひどく遅かった。もうかれこれ朝の9時頃だった。太陽が輝いて部屋の二つの窓を明るく照らしていた。昨夜の縮れ毛の男がもう半外套を着てベンチに腰掛けていた。彼の前には新しいサモワールと新しいうウォッカ瓶があった。昨日のものはもう飲み尽くされていて、新しいのも半分以上空いていた。ミーチャは跳ね起き、忌々しい農民がまたしても酒を飲み、取り返しのつかないほどひどく酔っ払っている事に瞬時に気づいた。
・ 寝ずの番をしようと思いながら睡魔に襲われたドミートリィが寝過ごしてしまいます。既に深酒をしている相手にどう交渉するのでしょう。彼にとって困難な状況が続きます。
侮蔑するように平然と ― 2013-04-14
≪Он глядел на него с минуту, выпучив глаза. Мужик же поглядывал на него моча и лукаво, с каким-то обидным спокойствием, даже с презрительным каким-то высокомерием, как показалось Мите. Он бросился к нему.
- Позвольте, видете... я... вы вероятно слышали от здесьнего сторожа в той избе: я поручик Дмитрий Карамазов, сын старика Карамазова, у которого вы изволите рощу торговать...≫
<試訳> ミーチャはしばし目を見張って男を眺めた。男もまた無言でずるそうに彼を眺め返したが、侮蔑するように平然としていて、見下すような横柄な態度だとミーチャには思われた。ミーチャは彼に駆け寄った。
「すみませんが、実は・・・ 私は・・・ 多分ここの小屋の番人からお聞きでしょうが、私は陸軍中尉ドミートリィ・カラマーゾフです。あなたが森を買おうとなさっているカラマーゾフ老人の息子ですが・・・」
- Позвольте, видете... я... вы вероятно слышали от здесьнего сторожа в той избе: я поручик Дмитрий Карамазов, сын старика Карамазова, у которого вы изволите рощу торговать...≫
<試訳> ミーチャはしばし目を見張って男を眺めた。男もまた無言でずるそうに彼を眺め返したが、侮蔑するように平然としていて、見下すような横柄な態度だとミーチャには思われた。ミーチャは彼に駆け寄った。
「すみませんが、実は・・・ 私は・・・ 多分ここの小屋の番人からお聞きでしょうが、私は陸軍中尉ドミートリィ・カラマーゾフです。あなたが森を買おうとなさっているカラマーゾフ老人の息子ですが・・・」
嘘っぱちだ! ― 2013-04-15
≪Это ты врёшь! - вдруг твёрдо и спокойно отчеканил мужик.
- Как вру? Фёдора Павловича изволите знать?
- Никакого твоего Фёдора Павловича не изволю знать. - как-то грузно ворочая языком, проговорил мужик.
- Рощу, рощу вы у него трогуете; да проснитесь, опомнитесь. Отец Павел Ильинский меня проводил сюда... Вы к Самсонову писпли и он меня к вам поислал... - задыхался Митя.≫
<試訳> 「嘘っぱちだ!」 男が突然きっぱり、しかも平然として断言した。
「嘘ですって? あなたはフョードル・パーブロビッチをご存じでしょう?」
「フョードル・パーブロビッチなんてのは知っちゃいねえな」 男は何か重たそうに舌を回しながら言った。
「山林を、あなたは父から山林を買おうとなさっているでしょう。目を覚まして気を確かにして下さい。イリインスキー神父がここに案内してくれたんです・・・ あなたはサムソーノフへ手紙を出されたでしょう、それで彼が私をこちらへ差し向けたんですよ・・・」 ミーチャは息を切らした。
・ 酔っているレガービィは始めからドミートリィの話を受け付けません。もともとサムソーノフのからかいを真に受けたドミートリィの行動が招いた状況で、レガービィに罪はないのです。
- Как вру? Фёдора Павловича изволите знать?
- Никакого твоего Фёдора Павловича не изволю знать. - как-то грузно ворочая языком, проговорил мужик.
- Рощу, рощу вы у него трогуете; да проснитесь, опомнитесь. Отец Павел Ильинский меня проводил сюда... Вы к Самсонову писпли и он меня к вам поислал... - задыхался Митя.≫
<試訳> 「嘘っぱちだ!」 男が突然きっぱり、しかも平然として断言した。
「嘘ですって? あなたはフョードル・パーブロビッチをご存じでしょう?」
「フョードル・パーブロビッチなんてのは知っちゃいねえな」 男は何か重たそうに舌を回しながら言った。
「山林を、あなたは父から山林を買おうとなさっているでしょう。目を覚まして気を確かにして下さい。イリインスキー神父がここに案内してくれたんです・・・ あなたはサムソーノフへ手紙を出されたでしょう、それで彼が私をこちらへ差し向けたんですよ・・・」 ミーチャは息を切らした。
・ 酔っているレガービィは始めからドミートリィの話を受け付けません。もともとサムソーノフのからかいを真に受けたドミートリィの行動が招いた状況で、レガービィに罪はないのです。
あんたは染物屋だ ― 2013-04-16
≪- В-врёшь! - отчеканиил опять Лягавый. У Мити похолодели ноги.
- Помилосердуйте, ведь это не шутка! Вы может быть хмелны. Вы можете же наканец говорить, понимать... мначе... иначе я ничего не понимаю!
- Ты красильщик!
- Помилосердуйте, я Карамазов, Дмитрий Карамазов, имею к вам предложение... выгодное предложение... весьма выгодное... именно по поводу рощи.≫
<試訳> 「嘘をつけ!」 リャガービィがまたきっぱりと断じた。ミーチャは両足が冷たくなるのを感じた。
「何と言う事を、これは冗談じゃないんですよ! あなたは酔っておいでかも知れませんが、そろそろまともに話をして、理解してくれてもいいじゃありませんか・・・ でないと・・・ 私はさっぱり分りません」
「あんたは染物屋だ!」
「いい加減にして下さい、私はカラマーゾフ、ドミートリィ・カラマーゾフで、あなたに商談があるんです・・・ 儲け話ですよ・・・ 大変有利な話なんです・・・ 例の山林についての」
・ レガービィが突然ドミートリィを“ 染物屋だ ” と言います。 “ カラマーゾフ ” と言う名前には “ 黒く塗る ” の意味があると言われています。作者は意図的にこのような名を与えたのだと思います。隠された意味を登場人物の名前に託すのは他の作品にも見られます。
- Помилосердуйте, ведь это не шутка! Вы может быть хмелны. Вы можете же наканец говорить, понимать... мначе... иначе я ничего не понимаю!
- Ты красильщик!
- Помилосердуйте, я Карамазов, Дмитрий Карамазов, имею к вам предложение... выгодное предложение... весьма выгодное... именно по поводу рощи.≫
<試訳> 「嘘をつけ!」 リャガービィがまたきっぱりと断じた。ミーチャは両足が冷たくなるのを感じた。
「何と言う事を、これは冗談じゃないんですよ! あなたは酔っておいでかも知れませんが、そろそろまともに話をして、理解してくれてもいいじゃありませんか・・・ でないと・・・ 私はさっぱり分りません」
「あんたは染物屋だ!」
「いい加減にして下さい、私はカラマーゾフ、ドミートリィ・カラマーゾフで、あなたに商談があるんです・・・ 儲け話ですよ・・・ 大変有利な話なんです・・・ 例の山林についての」
・ レガービィが突然ドミートリィを“ 染物屋だ ” と言います。 “ カラマーゾフ ” と言う名前には “ 黒く塗る ” の意味があると言われています。作者は意図的にこのような名を与えたのだと思います。隠された意味を登場人物の名前に託すのは他の作品にも見られます。
卑劣漢だ、お前は ― 2013-04-17
≪Мужик важно поглаживал бороду.
- Нет, ты подряд снимал и подлец вышел. Ты подлец!
- Уверяю же вас, что вы ошибаетесь! - в отчаянии ломал руки Митя. Мужик всё гладил бороду и вдруг лукаво прищурил глаза.
- Нет, ты вот что укажи: укажи ты мне такой закон, чтобы позволено было пакости строить, слышишь ты! Ты подлец, понимаешь ты это?≫
<試訳> 男は勿体ぶって鬚をなでた。
「いや、お前は請負った仕事を投げ出して卑劣な男になったんだ。卑劣漢だ、お前は!」
「あなたの思い違いです、誓ってもいいです!」 絶望的な気持でミーチャは手を揉みしごいた。男は相変わらず髭をなで、ふと、ずるそうに目を細めた。
「いいや、ひとつ俺に教えてほしいもんだ、人に厭な思いをさせてもいいという法があるのかい、どうなんだい! お前は卑劣な男なんだよ、分ったか?」
・ ドミートリィは卑劣漢呼ばわりされ、話が全くかみ合わず取引どころではありません。彼の苦労は報いられないのです。
- Нет, ты подряд снимал и подлец вышел. Ты подлец!
- Уверяю же вас, что вы ошибаетесь! - в отчаянии ломал руки Митя. Мужик всё гладил бороду и вдруг лукаво прищурил глаза.
- Нет, ты вот что укажи: укажи ты мне такой закон, чтобы позволено было пакости строить, слышишь ты! Ты подлец, понимаешь ты это?≫
<試訳> 男は勿体ぶって鬚をなでた。
「いや、お前は請負った仕事を投げ出して卑劣な男になったんだ。卑劣漢だ、お前は!」
「あなたの思い違いです、誓ってもいいです!」 絶望的な気持でミーチャは手を揉みしごいた。男は相変わらず髭をなで、ふと、ずるそうに目を細めた。
「いいや、ひとつ俺に教えてほしいもんだ、人に厭な思いをさせてもいいという法があるのかい、どうなんだい! お前は卑劣な男なんだよ、分ったか?」
・ ドミートリィは卑劣漢呼ばわりされ、話が全くかみ合わず取引どころではありません。彼の苦労は報いられないのです。
当惑して立ちすくむ ― 2013-04-19
≪Митя мрачно отступил и вдруг его как бы "что-то ударило по лбу", как он сам потом выразился. В один миг произошло каое-то озарение в уме его, "загорелся светоч, и я всё постиг". В остолбенении стоял он, недоумевая, как мог он, человек всё же умный, поддаться на такую глупость, втюриться в этакое приключение и продолжать всё это почти целые сутки, возиться с этим Лягавым, мочить ему голову...≫
<試訳> ミーチャは悄然として後ずさり、彼が自ら表現したように、突然 ”何かが額を殴った ” かのようだった。一瞬の内に彼の脳裏にある閃きが生れ “ たいまつが燃え出して、僕は全てを理解した ” のだ。ともかく分別ある人間のはずの自分があんな愚かな話に乗っかってこんな出来事にのめり込んで、ほとんどまる一昼夜もそれをやり続け、このレガービィにかかずらって頭を冷やしてやるなんて事がどうしてできたのか腑に落ちず、彼は当惑して立ちすくんでいた…。
・ ここに至ってドミートリィは自分に思慮がたりなかったことに思い当たるのです。思い描いた筋書きを一途に追い求めて行動してきた事の愚かさに悄然とする彼の衝撃を想像します。
<試訳> ミーチャは悄然として後ずさり、彼が自ら表現したように、突然 ”何かが額を殴った ” かのようだった。一瞬の内に彼の脳裏にある閃きが生れ “ たいまつが燃え出して、僕は全てを理解した ” のだ。ともかく分別ある人間のはずの自分があんな愚かな話に乗っかってこんな出来事にのめり込んで、ほとんどまる一昼夜もそれをやり続け、このレガービィにかかずらって頭を冷やしてやるなんて事がどうしてできたのか腑に落ちず、彼は当惑して立ちすくんでいた…。
・ ここに至ってドミートリィは自分に思慮がたりなかったことに思い当たるのです。思い描いた筋書きを一途に追い求めて行動してきた事の愚かさに悄然とする彼の衝撃を想像します。
何て事をしてしまったんだ ― 2013-04-20
≪"Ну, пьян человек, пьян до чортиков и будет пить запоем ещё недулю, - чего же тут ждать? А что если Самсонов меня нарочно прислал сюда? А что если она... О боже, что я наделал!.."≫
<試訳> “ 何て事だ、この男は酔っぱらっている、酔って前後不覚で、これから一週間もがぶ飲みし続けるだろう ― どうしてそれを待つ事があるんだ? しかも、もしサムソーノフがわざと僕をここに差し向けたのだとしたら? それにもし彼女が… ああ、僕は何て事をしてしまったんだ!・・・”
<試訳> “ 何て事だ、この男は酔っぱらっている、酔って前後不覚で、これから一週間もがぶ飲みし続けるだろう ― どうしてそれを待つ事があるんだ? しかも、もしサムソーノフがわざと僕をここに差し向けたのだとしたら? それにもし彼女が… ああ、僕は何て事をしてしまったんだ!・・・”
幼子のように弱っていた ― 2013-04-21
≪Мужик сидел, глядел на него и посмеивался. Будь другой случай, и Митя может быть убил бы этого дурака со злости, но теперь он весь сам ослабел как ребёнок. Тихо подошёл он к лавке, взял своё пальто, молча надел его и вышел из избы. В другой избе сторожа ог не нашёл, нигого не было. Он вынул из кармана мелочью пятьдесят копеек и положил на стол, заночлег, за свечку и за беспокойство.≫
<試訳> 男は座ってミーチャを眺め、からかうように笑っていた。他の場合だったなら、ミーチャは憎悪のあまりこの馬鹿者を殺していたかもしれないが、今や彼は幼子の様にすっかり弱々しくなっていた。彼は静かにベンチに近寄り外套を取ると黙ってそれを着て部屋を出た。向かいの部屋に森番は見つからなかったし、誰一人いなかった。彼はポケットから小銭で50コペイカを取り出し、宿賃、蝋燭代、そして迷惑をかけた分としてテーブルに置いた。
・ 激しい嵐が急に止んだかのようです。サムソーノフの悪意を見抜けずに一人相撲をとっていた愚かさにやっと気づくのです。力なく引き揚げようとするドミートリィが痛々しい限りです。
<試訳> 男は座ってミーチャを眺め、からかうように笑っていた。他の場合だったなら、ミーチャは憎悪のあまりこの馬鹿者を殺していたかもしれないが、今や彼は幼子の様にすっかり弱々しくなっていた。彼は静かにベンチに近寄り外套を取ると黙ってそれを着て部屋を出た。向かいの部屋に森番は見つからなかったし、誰一人いなかった。彼はポケットから小銭で50コペイカを取り出し、宿賃、蝋燭代、そして迷惑をかけた分としてテーブルに置いた。
・ 激しい嵐が急に止んだかのようです。サムソーノフの悪意を見抜けずに一人相撲をとっていた愚かさにやっと気づくのです。力なく引き揚げようとするドミートリィが痛々しい限りです。
最近のコメント