父と呼ぶわけにはいきません2019-08-04

 ≪Но со словом, господа присяжные, надо обращаться честно, и я позволю назвать предмет собственным его словом, собственным наименованием: такой отец, как убитый старик Карамазов, не может и неостоин называться отцом. Любовь к отцу, не оправданная отцом, есть нелепость, есть невозможность. Нельзя создать любовь из ничего, из ничего только бог творит.≫

<試訳> しかし陪審員の皆さん、言葉に誠実に向かい合わねばなならないのです。私も自分の言葉で、自分なりの名称で対象を呼ばせてもらいます。と言うのは、殺されたカラマーゾフ老人のような父親は、父と呼ぶわけにはいきませんし、また呼ぶに相応しくありません。父と容認できないような父親への愛情は無意味であり不可能です。無から愛を創造する事はできず、無から創り出せるのは神のみであります。

・ フョードルはドミートリィに対して父親らしく接しないどころか敵意さえ持つ有様で、二人の関係は不幸なものでした。二つのカラマーゾフ気質が激しくぶつかり合う事になりました。今にして思うと、そんな父のもとをドミートリィは早々に立ち去るべきだったのでしょう。
弁護士は誤解されたドミートリィの内面を語ってきましたが、さらに “ 殺されたのは父親ではない ” という論調を強めます。弁護の方向に変化を感じます。