敷居の上に跪いている夫2020-08-10

 ≪Женщина, увидев незнакомого, рассеянно остановилась перед ним, на мгновение очнувштсь и как бы соображая: зачем это он вошёл? Но, верно, ей тотчас же представилось, что он идёт в другие комнаты, так как ихняя была проходая. Сообразив это и не обращая уже более на него внимания, она пошла к сенным дверям, чтобы притворить их, и вдруг вскрикнула, увидев на самом пороге стоящего на коленках мужа.≫

<試訳> 見知らぬ男を目にして、夫人はぼんやりと彼の前に立ち止まった。はっと我に返り、どうして入って来たのかと考えを巡らしているようだった。しかし、すぐに、他の部屋に行くところなのだと思ったらしい。この部屋は通り道になっていたからだ。そう判断するとそれ以上はもう男を気にとめもせずに、戸を閉めようと入口の方へ歩み寄った。そしてその敷居の上に跪いている夫を目にすると、突然鋭い叫び声をあげた。

・ カテリーナがマルメラードフに気づきます。5日も家に帰らず給料を飲み尽くした夫が不意に眼前に現れた瞬間の、彼女の感情の昂りを想像します。快く迎えられるはずがありませんが、彼が帰るべき場所はここしかないのです。

コメント

_ 伯 ― 2020-08-10 14:06

家族の住む部屋が他の人が住む場所への通り道になっているとは、、、少し前、TVでロシアの革命後の映画をコミカルに描いたものを見ました。その時に、そんな場面がありました。これは革命前の話でしたね。普通にこんな状況下に人々は置かれていたのは世界中であったことなのでしょう。日本でも似たり寄ったりの貧富の差はある時代でした。
今またこんな状況が作られているような気がします。家族を裏切っても裏切っても帰るところはここと思い込んでいるのは家族にとって不幸です。

_ mir→伯さん ― 2020-08-11 10:04

戦禍や災害や圧制下で、家や職を失った人々が雑居せざるを得ない状況が想像されます。現在進行形の問題ですね。この帝政ロシアの時代、ここサンクトペテルブルクに冬宮(現エルミタージュ美術館) のような華麗を極めた宮殿があるのを思うと、あまりの違いに疑問を感じます。作者が執拗に底辺の人々の悲惨を描こうとしたのが分かる気がします。

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