想像に病的な影響を与えた2019-06-30

 ≪Впечатление радужной пачки могло болезненно отразиться в его воображении, на первый раз пока безо всяких последствий. Высокоталантливый обвинитель с необыкновенною тонкостью очертил нам всё pro и contra предположения о возможности обвинить Смердякова в убийстве и особенно спрашивал для чего тому было притворяться в падучей?≫

<試訳> 虹色の札束の印象は、最初のうちはまだ何の事態も引き起こさなかったにせよ、彼の想像に病的な影響を与えたでしょう。才能豊かな検事は並外れた鋭さで、スメルジャコフを殺人容疑に問う可能性についてあらゆる賛否両論を私達に描き出してみせ、何のために彼が癲癇の仮病の必要などあったか、と特に疑問を呈されました。

・ 検事がドミートリィの犯行として組み立てた論告に対して、弁護士がスメルジャコフ犯行説で対抗しようとしています。相手の弁論が終わったのを受けて反論できるので、その点ではオセロゲームのように後攻めが有利な気がします。

コメント

_ 慎之介 ― 2019-06-30 08:15

いよいよ弁護士の本領そして後攻めの有利な立場を発揮できるはずです。しかし、垣間見えるドミートリィーの本心とは裏腹の言動のため支持されるとは思えずハラハラしてしまう展開です。作者はどんな思いで書き綴ったことか、作者の心境に興味がでてきます。

_ mir→慎之介さん ― 2019-06-30 22:02

作者は現実の厳しさや生きる事の苦悩を徹底して突き詰めますね。そこに妥協やごまかしはありません。苦しい状況でもそれを描き切るのは、作者自身が極限の体験と、深く考察した上での結論を持っているからではないでしょうか。検事の論告も、そして弁護士の反論も並々ならない作者の構成力なのですが、弁護士の弁論にドミートリィへの深い憐みを込めている感じがします。

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