夢中になりかけたくらいです2020-03-11

 ≪Мы сидели рядом, потом ходили в фойе.
- Вы похудели, - сказала она. - Вы были больны?
- Да. У меня простужено плечо, и в дождливую погоду я дурно сплю.
- У вас вялый вид. Тогда, весной, когда вы приходили обедать, вы были моложе, бодрее. Вы тогда были воодушевлёны и много говорили, были очень интересны, и, признаюсь, я даже увлеклась вами немножко.≫

<試訳> 私達は並んで座り、その後ロビーにき行きました。
「お痩せになりましたわね」 彼女が言いました。「ご病気をなさったの?」
「ええ。肩を痛めまして、雨模様の天気の時はよく眠れないのです」
「元気のない様子ですわね。春にお食事にいらした時は、もっと若々しくて溌溂とされてましたわ。あの時は張り切って、たくさんお話し下さり、とても面白い方でいらしたので、実を申しますと私、夢中になりかけたくらいですのよ」

・ しばらくぶりに図らずも二人だけで語り合う機会が訪れます。秋の終わりですから、農作業が一段落してやっと気持に余裕ができた頃です。心にかけていた人と話せる幸運に夢心地です。彼女も再会を喜んで自分から親しく話しかけています。

コメント

_ ひまわり ― 2020-03-11 09:23

毎日会えるのも一緒にいられるのもいいですが、彼の場合相手が既婚者である事を思うと、こんな機会しかないわけで、しかも相手から細やかな観察からの話しかけを得られるなんて、思っても見ないことだったでしょう。目の前にバラが一斉に開花した感じだったのでは?

_ mir→ひまわりさん ― 2020-03-11 10:21

若く多感な青年にとって、麗しい貴婦人の何もかもが心を奪うものだったでしょう。“ 人妻ゆえに 我恋めやも ” のモチーフはチェーホフの他の短編にもいくつかあり、実体験ではとも言われています。もっとも古今東西たくさんある悲喜劇ですね。

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